デスボイス・シャウトの種類についての解説&出し方
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そもそもデスボイス・シャウトとは?
デスボイスとは、ヘヴィメタルなどの激しい音楽にて使用される「ダミ声」や「がなり声」のような歌唱法のことを指します。
一般的にデスボイスというとグロウルや低音のフォールスコード(後述)が想像されますが、最近ではピッグスクイールからグロウルまで全てをデスボイスという括りで扱われることが多いです。
シャウトとはその名の通り叫ぶ歌唱全てに当てはまる言葉ですが、メタルコアなどにおいてシャウトと言うと基本的にデスボイス、得にフォールスコードやフライスクリームを指します。
仮声帯を使用した声がデスボイス
デスボイスは、基本的に呼気を強め声帯の上にある仮声帯(かせいたい)というヒダを震わせる事で発声しています。
物理的に地声の最低音を遥に下回るデスボイスを女性が出せるのはそのためです。
その際に声帯をきちんと閉鎖・保持しなければ喉を痛めてしまうため、喉の筋肉と横隔膜の筋力双方が必要となる高度な歌唱法です。
仮声帯を揺らした音がどういうものかと言うと、息を思いっきり吐き出した時の「ゼェゼェ」という音や、「ブンブンハローユーチューブ」でお馴染みのヒューマンビートボックスなどで聞くことの出来るあの独特の声です。
(勘違いしてはいけないのが、デスボイスを出しているときとあのがなり声を出しているときでは喉の使い方も感覚も全く異なるという事です)
そしてその仮声帯の音+声帯の音をベースとし、更に口腔内の空間をうまく使い共鳴させたものがデスボイスとなります。
フォールスコードスクリーム。最も一般的なベースとなるデスボイス
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フォールスコードスクリームは、メタルコアで主に使用される最も一般的なデスボイス・シャウトのひとつです。
高さは低~中高音あたりをカバーしており、更に声質による音色の違いが一番現れやすいシャウトでもあります。
出し方としてはエッジボイスの響きを喉の奥に落とし込み、そこから呼気を強めて実声成分を乗せていくものが有名です。
グロウル。非メタラーの想像するヘヴィメタルボイス
長髪で、太っていて、頭を振りながらデスボイスで叫ぶ。一般人の考えるメタルのテンプレイメージ。
そんなテンプレイメージの中でヴォーカルが出している声です。
ハードコアバンド、マキシマムザホルモンのダイスケはんがメインで出している声の種類の一つでもあるため、それが日本におけるメタルのテンプレイメージの原因でしょうか。
しかしデスメタルにおけるメインのシャウトでもあります。
音としてはかなり低音で異質なため、シャウトというよりデスボイスと呼ばれやすいです。
またグロウル=デスメタルのイメージが強いためか、ワンオクロックなどのフォールスコードを「シャウト」と呼び、デスボイスではない別のものとして考えている方もそれなりの数見受けられます。
出し方としてはフォールスコードとほぼ同じで、あとは舌の位置や口内の広さをコントロールして音を調整します。
舌の位置を変えることにより音色がかなり変化するため、グロウルにはフライアプローチとフォールスコードアプローチの2種類があるという考え方も最近では主流です。
フォールスコードアプローチ
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正統派デスメタルや海外のメタルコアなどで使われていることが多いタイプのグロウルです。
喉はフォールスコードと同様に鳴らし、口をすぼめ低音で発生することでこのような音を出しています。
フライアプローチ
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日本だとDirやNOCTURNAL BLOODLUST、マキシマムザホルモンなどのグロウルがこのタイプです。
フォールスコードの状態から舌を喉ちんこに向けて丸めて、軟口蓋に強く息を当てるようなイメージで出します。
ガテラル。下水道ボイス
一般的にグロウルをさらに落とし込み、下水道のような独特な響きを付与した凶悪なシャウトを指すのがガテラルです。
出し方としてはフライアプローチのグロウルの呼気を強め、舌を微調整し独特な下水道のような響きを付与します。
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グロウルの発声イメージが「お」だとしたら、ガテラルは「は」や「べ」のイメージです。
フォールスコードベースの場合は、呼気を強めて仮声帯をより強く鳴らします。こちらはより歌詞を発音しやすいですが、負担も大きいです。
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もうひとつの出し方としては、グロウルの喉の状態を保ったまま口をすぼめ舌を口から出るレベルまで前に出して発生する方法があります。その場合このような音になります。
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前述のガテラルと音は異なり、こちらはさらに下品な音色でトンネルスロートと呼ばれることもあります。
ちなみに高音域に近づくにつれピッグスクイールと音色が重なってきます。
フライスクリーム。中~高音域をカバーする王道な音色のシャウト
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フォールスコードスクリームをさらに高音にしたような音色のデスボイスがフライスクリームです。
これはデスやメタルコア系の音楽を聞かない人にも有名で、ワンオクロックのTakaの高音シャウトの殆どはこれに当たります。
他にはリンキン・パークのチェスター・ベニントンのシャウトが非常に有名ですね。
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フォールスコードより声帯を閉鎖して呼気を強めたシャウトで、喉を痛めやすいため声帯を閉鎖する力がさらに必要になってきます。
そのため、巷でミックスボイスと呼ばれるような、呼気に負けず高音域まで自然に発声できるようなベースのコントロール力が無いと喉を痛めたり、ひ弱な音色になるピーキーなシャウトでもあります。
出し方はフォールスコードをそのまま高くするだけです。
スクリーチ
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主にデスコアなどで使用されるシャウトです。
音色はフライスクリームから更に実声成分を抜いた怪物のような金切り声です。
ヘッドボイスの出し方でよく言われるように、フライスクリームから頭の後ろ上に響きを持っていくイメージで出します。
舌は高音のフライスクリームから舌根部分を少し持ち上げ口腔内を狭めるようなイメージです。
かなり高音であり、さらに一般的には良くないとされる「舌根を持ち上げる」発声なため喉を非常に痛めやすく、習得にはそれなりのトレーニングが必要です。
スクリーチはフライスクリームと同義として扱われることが多いですが、スクリーチと呼ばれる声をフライスクリームと呼ぶ事はあっても、フライスクリームと言われる声をスクリーチと言うことはありません。
個人的には超高音のフライスクリームをスクリーチと定義しています。
ピッグスクイール。豚の断末魔
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豚の断末魔に聞こえるような、非常に邪悪で異質な音色のデスボイスです。
言葉を発音することは出来ないためメインの歌唱には使えませんが、非常に高音であり音色も異質なためここぞと言う時のインパクトの付与に使用されることが多いです。
主に使われるのはデスメタルやデスコア、ビジュアル系です。
出し方としてはフライアプローチのグロウルから舌先の位置を少し前にし、口腔内を狭めて「い」の発音で発生するとこのような音になります。
ホイッスルシャウト。構音型ホイッスルボイス、気流型ホイッスルボイス
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主にビジュアル系で使用される、声帯を極限まで閉鎖した笛のような特殊な声です。
マライア・キャリーやMISIAなどのクリーンなものと区別するため、今はホイッスルシャウトと言われることが多いです。
この声はデスボイスに含めるかどうかも怪しく起源も定かでは無いですが、日本においてデスボイスと絡めて使用するバンドが増えたのは間違いなくDIR EN GREYの影響であり、パイオニアも同バンドヴォーカル「京」でしょう。
ちなみにホイッスルボイスには2通りの出し方があることがIngo Titze博士により判明しており、声帯そのものは振動しておらずそこを通る気流音のTurbulence Type(気流型発声)と、声帯を極限まで閉鎖したPhonation Type(構音型発声)の2種類があり、それぞれ音の違うホイッスルシャウトとなります。
また吐きか、吸いかという違いもあります。
デスボイスの分類は人それぞれ
デスボイスというのはやはりどちらかと言うと発展途上にある発声ですので、明確な定義はあまりなくどこからどこがフライとかそういうのはあくまでも利き手がどう解釈したかによります。
それに音というのはアナログであり、人間の体は連動して動くため、例えどんな発声だとしても他の要素が混じっています。なのでここから下がグロウル、ここから上がフライなどというのは明確にきっちりわけられるものではありません。イメージとしてはグラデーションのように、まじり合う帯域が必ず生まれます。
それにプロのヴォーカリストでも、デスボイスの種類は詳しく知らないという人も多いです。
例えばLynch.の葉月さんはグロウルが出せないそうですし、NOCTURNAL BLOODLUSTの尋さんも分類分けなどにはあまり拘っていません。また今現在活躍されているプロのスクリーマーはほとんどの人が仮声帯がフライが……とかに拘って練習した訳ではなく、憧れの先人達をがむしゃらに真似して今の形にたどり着いています。
なので分類分けに拘りすぎるのもよくありません。
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