高音質な高いイヤホンを買うと、低音質な安いイヤホンには戻れなくなるのか?

♨の人

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「今まで聞こえなかった音が聞こえる、もう安いイヤホンには戻れない」

このような表現をWeb上ではよく目にします。

しかし、高いイヤホンを使ったことがない人からすると「本当かよ?」と思ってしまうこともあるでしょう。

そこで、今回の記事では安いイヤホンから高いイヤホンに買い換えた私が、本当に戻れないのかどうかについて語っていきたいと思います。




実際高級イヤホンを使うと、それ以下に物足りなさを感じる


いきなり結論から入りますが、やはり高いイヤホンと安いイヤホンでは音質は全然違います。


これは1万、3万6000円、14万、37万と段々と所有するイヤホンの値段を上げていった私の経験則ですが、やはりイヤホンの性能は値段にある程度比例します。変わらないのでは?と思ったことなど1度もなく、全ての段階で著しい音質の変化を感じられました。

ですから高額な商品と、ある程度の値段の商品を比較した場合、やはり大抵の人は音に関して物足りなさを感じるでしょう。

少なくとも私が所有する中だと、元値37万円のLayla Universal fitと比較するとどのイヤホンも非常に音の質が落ちます。

イヤホンスパイラルの終着点。定価37万円の初代超高級イヤホン、JH Audio Layla Universal fitを買ってしまったのでRosieと比較レビュー

流石に自分でも馬鹿だと思う。はい。3万6000円のAONIC4を買ってからまだ3ヶ月も経っていないのに、遂に2桁万円をイヤホンに溶かしてしまいました。...



Laylaで音楽を聴き込んだのち、次の日に「今日は別のイヤホンを使ってみるか」と14万のRosieを聴いてみると、高音域の鋭さやスケール感の縮小などがあまりにも顕著で違和感を感じざるを得ません。

勿論当たり前ですがRosie自体はとても高音質ですし、部分的にはLaylaに勝っている所もあります。ですから聴いていると耳が慣れ違和感は払拭されますが、やはり一聴しただけの印象で言うならLaylaとRosieは大人と中学生くらいの差はあるように思えます。


例えばこのようなアコースティック楽器を使ったオーケストラの曲では、Laylaは楽器隊の迫力やヴォーカルの声の質感、そして音場と定位感の良さが頭一つどころか二つ三つほど抜けています。

ビブラートの部分などを聴くとわかりやすいですが、音の響きがとても自然で、滑らかに、かつ全く曇りはなく、本当にホールの中心で聴いているかのような音を奏でてくれます。

発売当時としては異常なほどの値段設定で、スタジオマスタリングのリファレンスを目指して作られたIEMということだけあり、一般的に想像されるモニターサウンドのイメージからかけ離れた、しかし脚色された音でもない、言うなれば本物の「ライブの音」とすら思える圧倒的な濃密な音。それがこのイヤホンの特徴です。

ヴォーカルの響きの自然さ、音の奥行、そして定位感が別次元ですから、解像度とかそういう目線でなくとも一聴しただけで空間が広がったことがわかるでしょう。

このような特性から、ライブ音源との相性も抜群にいいです。


低域の圧倒的な迫力、シャウトの響きの細やかさ、更には歓声の熱気や会場の空気の振動までも感じられるとてつもない音を聞くことができます。
とあるVTuberの方がこのLaylaの後継機にあたるLayla AIONを使った時に「耳の中にドデカいスピーカーをぶち込まれたような音」と表現していましたが、まさにそんな感じです。

低域は物凄く出ているのにも関わらず、ブーミーさは全く感じさせません。
あくまでも音色を保ったまま、沈み込むような迫力のある低音が出ており、本当に別次元だと言えるでしょう。

またLaylaの特徴の一つとして、高域は非常に高いところまで強く出ているのに、金属っぽいシャリっとした嫌な響きは非常に弱く、全く刺さる様子がありません。

そのため音量を上げても音の破綻が起きず、余分な音で耳が痛くならないというのも迫力の向上に一役買っているのでしょう。

音の好みはあれど、少しでもイヤホンに興味があればこの完成度は誰しも共感してくれると思います。

Laylaと比較して、36000円のAONIC4はやはり音の厚みがぜんぜん足りません。
音色自体は素晴らしく綺麗ですが、音場も平面的で、やはりリアルな迫力は全く感じられません。普通に高音質なイヤホンだな、という印象です。
Laylaと聴き比べてみると、ライブ会場に居る幻想から現実に一気に引き戻されたような感覚になります。

14万円のRosieは中低域が分厚いためAONIC4より音の押し出し感はありますが、やはりLaylaの圧倒的なスケール感を考えると迫力ではLaylaに軍配が上がるでしょう。
音場の広さによる臨場感が全然違いますし、ヴォーカルもLaylaの方が聞き取りやすい印象です。






安価なイヤホンを聴けなくなることは実際にある


私が所有する数千円のイヤホンやヘッドホンは、もはやどれもこれもまともに曲を聴く気にもならないものばかりです。
高域は痛くて割れている、低域はブーミー、解像度や音場など微塵も感じない。まともに音楽を聞くのなら耐えられて数分程度でしょう。

YouTubeでMVを見たりするのであれば大丈夫ですが、聴覚のみで楽しもうと思ったら正直なところ無理です。

また1万円程度のBluetoothイヤホン、MS-TW21も、買った当初はとても高音質で非常に気に入っていたものの、もはや今の私は高音質とは全く思えなくなりました。

流石に上記の群よりは数段音質で優れるとはいえ、それでも全体的に音が締まっておらず、低音はブーミー気味。高音も刺さり、音場という概念も無い。

外出先などで仕方なくこのイヤホンを使用して音楽を聴くと、やはり真っ先に物足りなさを感じます。

真面目に聞き込めば聞き込むだけ不満な点ばかり見つかるので、音楽を聴いてもあくまでもBGM程度にしかならない。当然、他のイヤホンを使用できる状況でこのイヤホンを使いたいと思うことはまずありません。

もちろん別に聴けないことはないですが、不満しか出てこないので楽しくない、ということです。
低音質なイヤホンでは曲としての魅力が削ぎ落とされてしまうので、好きな曲であればあるほどに「こんな曲ではない」というやきもきした感覚に襲われます。
逆に言えば初めて聞く曲であればそこまで違和感も感じないのかもしれません。

さすがに3万6000円のShure AONIC4くらいになると普通に高音質だと思いますが、それでもLaylaやRosieと比較するとパワーの無さやこじんまりとしたスケール感の低さを感じるため、音質という面では数段劣るという印象です。







ただし高音質=好きな音ではない


音質の良さなんて好みによる、というのはよく聞く話ではありますが、私も実際のところそうだと思います。

単純にLaylaのような広大な音場、濃密な音を好む人もいれば、直線的な薄味のフラットサウンド、例えばAONIC4みたいな音を好む人もいるでしょう。

数十万円もするようなマルチハイブリッドイヤホンより、数万円程度のシングルBA機の方が好み……なんてことも十分にあると思います。

ですから再三言われていることではありますが、やはり高額なイヤホンを買う場合、試聴はするべきでしょう。
高価格帯から低価格帯までそれぞれ聞いてみて、自分の好みのものを購入する。これが一番賢い買い物です。

ただ、注意点としましては、基本的に何万円もするようなイヤホンというのはどの機種も個性があって素晴らしいですから、あれも欲しいこれも欲しい……とどんどん目移りしてしまい、結局どれを買えばいいのか分からなくなってしまうリスクがあるということ。

そして、もし20万円や40万円クラスのイヤホンの音が好みだった場合、妥協してとりあえず10万程度のものを買ったとしても、一度聞いたウルトラハイエンドの音がどうしても忘れられずいずれそれに手を出してしまう恐れがある、ということでしょうか。

限度額は予め決めておき、その値段を超える機種は視聴しないというのも手なのかもしれません。
お金が無いのにLayla AIONとSP2000のセットなんかで視聴して、もしその音を気に入った日にはそれはもう大変なことになるでしょうしね。





イヤホンには向き不向きがある


高級なイヤホンと言えど、もちろん向き不向きというものがあります。

例えばアコースティック楽器を使ったクラシックやジャズ、ヘヴィメタルやハードロック(ロックではない)、ステレオを生かした音数の多いエレクトロニカなどは、いいイヤホンを使用して聴くと非常に化けます。

逆にあくまでも比較しての話ですが、DTMのポップスだったり、低域もりもり音圧至上主義のラウドロック、ハードコアあたりの音楽は上記のジャンルより差が出にくいです。

もちろん音の質感、分離感自体は比較するまでもないほど良くなりますが、音場表現やダイナミックレンジの広さではやはり上記のような音楽には劣るため、単純に差が出にくい傾向にあるのです。

また、曲によっては音場が狭い、あっさりとしたサウンドの方が合っているのでは、と思うことも良くあります。

例えばこのような、ポップなアニメソング。

このような曲をLaylaで聴いてしまうと、まるでコンサートホールに居るような大迫力のサウンド、つまりはLIVEのような音になってしまいます。

もちろんそれが悪いわけではなく、寧ろ原音再生という点ではそちらの方が良いのでしょうが、なんというかマスタリングエンジニアは本当にこの音を意図して作ったのか?というような印象を受けるのです。

そこでAONIC4で聴いてみると、やはりこちらの音の方が自然なのでは?という感想になります。
圧倒的にクリアで、Laylaのようなコンサートホールの中心にいるような音、というよりは、空間をほとんど感じさせない音、つまりは音場の狭い音がします。しかし、その音場の狭さが逆に透明感を生み出しており、どこまでもクリアで見晴らしのいいリスニングができます。
一般の人が想像する「イヤホンの音」のクオリティを極限まで高めたような音、というのがしっくりくる表現です。自然なのは断然こちらでしょう。

もちろんこれは好みの問題ですし、私はLaylaの方が好きです。
しかし、Laylaの音はまるでエコーにも思えるような圧倒的な響きが付与されているために、音に包まれるような圧倒的な迫力と引き換えにクリアな透明感というものは削ぎ落とされているような気がしてならないのです。それ故に少し違和感を感じます。

ヘヴィメタルだったりハードロックの場合はこの響の広がりも基本的に全く違和感なく上手くマッチするのですが、ポップスの場合はそもそもMIX的に音が広がるのを想定してない感じがするので、それが違和感の原因ではないかと思います。





音質はあくまでも相対的なものなので、一般人なら5000円でも世界が変わる経験ができる


音質の善し悪しというのはその人の経験によりますから、何万円もするような高級品を使った事の無い非オーディオマニア、つまり一般の方であれば、恐らくは5~6000円程度のイヤホンでも世界が変わる経験が出来ると思います。


特に普段スマホに付属してきたイヤホンだったり、スマホのスピーカーなどで音楽を聴いている人であれば尚更でしょう。

1~2万円も出せば確実に感動できるでしょうね。


ただ高級有線イヤホンは持ってないけど、既に数万円もするような高級TWSを所有している、という人であれば、5万円を超えるクラスの中価格帯有線イヤホンでなければ感動するとまでは行かないかもしれません。




イヤホンとヘッドホンの比較。コスパがいいのはヘッドホン


これは多少本筋から話が逸れますが、単純に利便性や遮音性などを無視していい音を求めているのであれば、ヘッドホンを選んだ方が結果的に使う金額が少なくて済むかもしれません。

イヤホンはドライバが鼓膜に近い分解像度は高くしやすいですが、上で語ったような音場や定位感を向上させるのは簡単なことではありません。ですから、結果として高音質を求めると金額がポンポンと跳ね上がる傾向にあります。
(今は何十万円もするイヤホンが普通になってきています)

逆にヘッドホンはドライバーの口径がイヤホンより大きいため低音の再現能力が高い傾向にあり、またドライバーと鼓膜との距離がイヤホンと比較して長いため音場も広く感じやすいです。

10万円クラスのイヤホンを聴いた後に半額のヘッドホンを聴いてみたらそっちの方が音が良かった、なんていう話をたまに聞きますが、確かに総合的な音楽表現では音場の広いヘッドホンの方が上になりやすいでしょう。

もちろんどちらが好みかは人によりますし、音場が狭めなイヤホンを好む人も居ますが、やはりコスパという勝負ではたとえハイエンド価格帯であったとしてもヘッドホンに軍配が上がるでしょう。







人間の耳は一定ではない。日によって音質が変わって聞こえる謎


これは原因は不明なのですが、日によって聞こえる音が違ったりします。

例えばイヤホンやアンプの違いを非常に顕著に感じる日もあれば、違いがあまり聞き分けられない日もあったりしますし、好みのイヤホンがまるでよく聞こえない日もあります。

これは精神的なものなのか、はたまた内耳神経が疲れているのか。原因はなんなのか分かりませんが、なぜか日によってイヤホンへの印象が変わるのです。

日によって曲のテンポが早く聞こえたり普通に聞こえたりすることがたまにあると思いますが、それの亜種的なものと考えて頂ければわかりやすいです。

私個人の意見としては、やはり精神的なものが1番影響しているとは思います。

精神的なもので人間の聞こえる音が変わるのは、オカルト商法の蔓延ったオーディオ界隈を見ていればよくわかるでしょう。
(音質の良くなる木の置物とか、HDDに貼ると音質が良くなるシールとか、法外な値段の特殊処理した超高純度の導線とか。根拠の無い物に多額の資金を投資するオカルトマニアのような人がオーディオ界隈には少なからずいます)






あとがき


高級なイヤホンで聞く音楽というのは、やはり非常に楽しいものです。

スマートフォンやテレビなどを選ぶ時と同じように、イヤホンやヘッドホンを選ぶ時もケチらず「いいものを長く使う」という選択をして欲しい、というのが今の私の気持ちですね。

以上です。

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