ベイヤー T5P Gen2を購入したのでイヤホンとヘッドホンの音質を比較レビューしてみた【beyerdynamic T5P 2nd Generation】

♨の人

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音楽が好きで、尚且つイヤホンが好きなら、色んな機種が気になるのは殆ど必然のようなものだと思います。

イヤホンなんてひとつあれば十分、というのが普通の人の考えだと思いますが、イヤホンというものに魅せられた人間は常日頃から購買意欲と戦っているのではないでしょうか。

かく言う私もそういうタイプで、最初は数万円程度のイヤホンとアンプを購入して終わりにするつもりが、今や10万円単位のお金を普通に使ってしまいました。

まあしかし、私はもうRosieとLayla Universal fitで満足していますし、さらにこれ以上所有する機種を増やしても耳はひとつしかないし使い分けもできない、と思っていましたから、最新機種のレビューなどを見て欲しいなとは思う事はあっても、実際に何かを買い足す気はほとんどありませんでした。

が、何がどうなったやらいつの間にか新しいヘッドホンを購入してしまいました。


beyerdynamic T5P 2nd Generationです。




beyerdynamic社フラッグシップの高級ヘッドホン。女性ヴォーカルやアニソンに合う?


この機種は、beyerdynamicというドイツの老舗ヘッドホンメーカーの密閉方フラッグシップの第2世代です。

beyerdynamicの誇るテスラドライバーを、定位が前方に近付く傾斜に配置したオーバーイヤーヘッドホン。発売は2016年で約12万円、現在は106,000円程度で売られています。

因みに名前のPはポータブルのPで、初代フラッグシップモニターヘッドホン、T1の600Ωというとんでもなく高いインピーダンスを下げて、さらに密閉型にすることでポータブル向けとしても使えるようにしたモデル、ということらしいです。


beyerdynamicは最近のオーディオ界隈のインフレの波には乗っていないメーカーで、モデルチェンジのペースもゆっくりですし、2020年発売の最新版、3rd Generationでもお値段は999ユーロと非常にお買い得というか、良心的な価格の製品が多いです。
(例えばT9IEとかは2019年のモデルですが、約135000となっています)

私は普段イヤホン専なので、ヘッドホンメーカーに関しては全然詳しくないのですが、なんとなくShureと同じような感じがしますね。

このヘッドホンを購入した一番の理由は、メタルでもデスコアでもオーケストラでもなく、普通のスケール感の女性ヴォーカル曲を近い距離で明瞭に聞きたい、というものです。

私は普段、JH AudioのRosieというイヤホンと、Layla Universal fitというイヤホンを気分で使い分けており、前者はメタルコアやアニメソング、後者は音数の極めて多いエレクトロニカやヘヴィメタル、歌モノなんかと相性がよく、正直なところ私の聞くジャンルはほぼカバー出来ており、ここから新たにイヤホンを買い足す気はあまり無くなっていました。

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しかし、メタルコアやエレクトロニカ、ヘヴィメタルはRosieやLaylaで打ち止めと言っていいくらい満足な音色を聞けているものの、私が普段愛聴している、繊細でポップな女性ヴォーカル曲に関しては正直なところ完全に満足しているとは言えません。前回の記事にて、この二機種で色んなアニメソングを聞いてみて思いました。

これはRosieとLaylaの性質によるもので、Laylaは解像度があまりにも高くフラットすぎるせいで、決して少なくない割合で高域が刺さったり、音像やサウンドステージが広がりすぎてスケールが不相応に大きくなったり、ヴォーカルとの距離感が遠く感じてしまいます。

対するRosieはLaylaほど音像の膨らみなどは無く、低中域の厚みにより高域の刺さりもほぼ感じないのですが、繊細でポップな女性ヴォーカル曲はやはりもう少しストレートに、クリアに聞きたいと思うことも無くはないというのが本音です。

というわけで、次にイヤホンを買うのなら圧倒的解像度かつスケール感のLayla、濃密で厚みのある中低域のRosieとキャラの被らない、クリアかつヴォーカル帯域を素直に聞かせてくれるような、じっくり浸るように聴きやすい機種が欲しいなと思っていました。

そしてこれはLayla、Rosieに共通する事なのですが、どちらもバランスド・アーマチュアドライバを複数搭載した所謂多ドラのイヤホンとなっています。

誤解を招くかもしれませんが、この二機種はやはりどうしても輪郭がカッチリとした音というか、聞き疲れとまでは行かなくとも落ち着いて長い時間まったりと聞くのではなく、短い時間解像度の高さや音の濃さを聞いて満足するような聞き方が多いです。



なので音の輪郭の出し方の違うであろうダイナミック型1発のイヤホン、例えばAmazonでかなり安くなってるHA-FX1100とかに興味が出ていた所、ふと「ダイナミック型ならヘッドホンを視野に入れてもいいのでは」という考えに至りました。

私は過去の経験から、どうしてもあのがっしりとしたヘッドホンの装着感が好きになれず、Shure AONIC4に手を出した初心者の頃から一貫して購入する機種はイヤホンに限定し続けてきました。

しかし、正直なところ上でも書いたようにもはやイヤホンへの熱は私の場合LaylaとRosieで付きかけていましたし、どちらも好みの差はあれどイヤホンとしては既にトップクラスの機種です。

それ故か最近は「次に買うならヘッドホンも良さそうだ」、なんて感じに考えが変わりつつあったりもしていました。


まあ到底買えもしない値段のFinal D8000や、どうせ買うならSTAXのハイエンドコンデンサーイヤースピーカーが欲しい、なんて馬鹿げた理想を掲げるくらいにはもう現状に満足していたのですが、いつの間にか見ていたbeyerdynamic T5P 2nd Generationの「女性ヴォーカルの定位が近い」「女性ヴォーカルのアニソンが最高」というような各種レビューに強く心を引かれ、久々に購入するか迷う機種を見つけました。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

beyerdynamic T5P 2ND GENERATION
価格:109780円(税込、送料無料) (2021/1/20時点)



とはいえ流石に新品で10万円を超えるような普通にハイエンドなヘッドホンですから、やはり環境が簡素だった過去のように即購入する程の気概もありません。

しかし、この製品は発売してもう何年も経つということもあり?中古品がそれなりに値落ちしているようで、いつもの如く出てきたeイヤホンの中古品の広告をクリックして見てみると6万円程度になっているではないですか。

残りの在庫は1点。これはすぐに買うしかない。というわけで衝動的に買ってしまいました。






T1 2nd Generationを選ばなかった理由


私は基本的にイヤホンやヘッドホンの類は家でしか使わないのでどうせなら開放型のT1 2nd Generationでも良かったのですが、どうやらT1 Gen2は半開放型とは言いつつも割と密閉型に近い感じの作りになっているらしく、それなら別にどっちでもいいや、ということでこちらを選択しました。

またヘッドホンは構造上イヤホンに比べ広い音場が特徴であり、開放型ヘッドホンは特にイヤホンなどとは比較にもならないほどの広大な音場が得られるようですが、正直なところ音場は広ければ広いほど同時に音像も膨らむため、それなら私の場合は音場表現に関してはLayla Universal fit程度でも充分だな、なんて考えもこちらを選んだ理由の一つです。

因みにT1 2nd Generationは数あるヘッドホンの中でも最高クラスにハイインピーダンスで、その数値600Ωとなっています。なのでDAPとかポタアン程度では力不足で、据え置きのアンプが必要……なんて問題もありますが、私の使用しているポタアンのmicro idsd BLなんかは据え置きヘッドホンアンプ並に高出力なので、同じクラスのものを使えばポータブルでも充分に鳴らすことは可能だと思います。

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まあmicro idsd BLの出力はあのMojoの2倍というトップクラスの高出力モデルなので、機種を選ぶのは間違いないのですが。

ちなみに大きな音を鳴らすだけ、というなら300Ωだろうが600Ωだろうが小さなポタアンでも可能です。しかし大抵そういう場合は電流が不足して、音質的にはいわゆるスカスカの「鳴らし切れていない」状態になりがちなので、ハイインピーダンスのヘッドホンを視聴する際はなるべく高出力なアンプを使用した方がいいでしょう。







ケーブルはがっしりとした布巻きタイプで断線とは無縁


ケーブルは柔らかさとクセのつかなさを両立した布巻きケーブルとなっており、これであれば不用意に絡まったり、すぐに断線したりすることはまず無いでしょう。プラグ部分などはmicro idsd BLのような黒のアルマイト素材となっており、ビルドクオリティも非常に高品質です。

イヤホンなどのケーブルの細さに慣れていると、このヘッドホンのケーブルはとてもしっかりとしていて、これなら相当雑に扱わなければ断線とは無縁な気がします。家電のコードくらいの太さはあるので、多少引っ張ったとかそのくらいじゃビクともしないでしょう。





聞いてみた。今までに聞いたことの無い音がする


まず、聴き比べなどではなくファーストインプレッションで感じたことを書いていきたいと思います。

曲は私がこのヘッドホンで聴きたいと思っていたアイドルマスターシンデレラガールズのものをチョイス。



消え入るようなウィスパーボイスと重厚なスラッシュメタル、そしてホラーテイストのピアノが合わさった楽曲です。

まず聞いてみて思ったことは、こんなにクリアな音は今までに一度も聞いたことがない、ということです。
これまで聞いてきたどの音とも違う系統で、透明感とヴォーカルの質感が特に異常に高く、相当なポテンシャルを秘めたヘッドホンだと思いました。

特に1番びっくりしたのが音場と音像で、音場は予想通り広く、ヴォーカルは響いて音像も太いのですが、全く遠さや輪郭のぼやけを感じさせません。

またギターのブリッジミュートの粒立ちがとにかくいいのもポイントです。
粒立ちがいいだけではなく、音のキレがとにかく良くメリハリのあるサウンドで、俗に言う立ち上がりの良い音、なんて表現をもし当てはめるのならピッタリだと感じました。

音の空間の広さは語るまでもないですが、特に音の距離感というのに秀でています。ヴォーカルが近いとはよく言われていますが、確かに音場が広く音像も太いのにヴォーカルがとても鮮明に綺麗に鳴っていますね。

少しだけ思ったことは、随分高域に降ったバランスのサウンドだなという事です。それゆえのこの透明感なのかもしれませんが、所謂低域のドンドンとした音がほとんど出ておらず、アタック感なども高域が殆どを占めています。これまで聞いてきたどんな機種よりも低音の存在感が薄いのですが、迫力不足とは思わないのが不思議な感じです。

お次は同じくアイドルマスターシンデレラガールズから、音数の極めて多いEDMをチョイスしてみました。



Laylaは全ての音が満遍なく整理され、脳内に直接音を流し込まれるようなイメージなのですが、こちらはとても自然な音の広がりを感じる鳴りです。

低域が控えめなため、低音の体が震えるような再現性はLaylaには遠く及びません。しかし、低域が薄い故か高域がとにかく明瞭で、高域の電子的な音の解像度に至ってはLaylaよりも上とすら思えました。

ただ高域が強すぎて、少し耳が痛いような気がしました。こういうEDM系はもう少し沈むような低音がある方が自然な音になる気がします。
ヴォーカルは相変わらずすばらしいのですが、少々聞き疲れしそうです。









高級イヤホン JH Audio Layla Universal fitと比較


では、ここからは私が所有するイヤホンと比較しながら聞いてみた感想となります。

とりあえずはポップなサウンドが特徴のorange sapphireを聞いてみました。


まずT5P Gen2ですが、音の広がり方はやはり流石ヘッドホンという感じです。私は普段Laylaを聞いていたのでそこまで感動することもありませんが、これが普通の数万円くらいのイヤホンを使っているようなライトユーザーであれば確実に驚愕すると思います。それくらい自然かつクリアな広がりがあります。

高域は刺さる寸前ほど。やはり低域が薄いため、相対的に高域が非常に強く出ています。

しかしドライバーが耳から距離がある故か、刺さり方がマイルドというか、ストレートに突き刺さらず、音量を比較的上げやすい印象を受けました。音像が大きく空間も広いので、音のエッジが密集せず拡散しているのかもしれません。

次にLaylaを聞いてみましたが、臨場感や音の厚みという点ではやはり音場が広いT5P Gen2には劣り、一聴しただけでは何処かくぐもった華のない音に聞こえてしまいます。

しかし解像度、定位感の良さという点ではLaylaの方がやはり優秀で、深く聴き込んでみるとそれぞれの声の線がボヤけずに出ており、高域の刺さりも控えめで聞きやすいサウンドです。

低域調整ダイアルが1時調整だと低音が少し足りず、T5P Gen2と比較すると明らかに薄いというか地味な音だったので、低域を3時ほどに持ち上げてみました。

すると、迫力という点では同列というか、少し上くらいになった気がします。違う点としてT5P Gen2の低音はハイ上がりのままアタック感のみを押し出している感じなのに対し、Laylaの低域はもっと低いところがしっかりと出た、会場の空気感というか振動を感じるサウンドです。
またLaylaの低音は他の帯域に全く干渉せず、高音の細かなキラキラとした音色と両立しており、やはり非常にリアルというか、自然な低域の迫力を感じられます。

音の広がりがT5P Gen2より控えめで音に包まれるような感覚がないため、切り替えた時点では少し物足りなさを感じます。しかし、しばらく聞いていると明らかに音の質というか自然さはこちらの方が上に感じます。

Laylaを聞いた後にT5P Gen2を聞いてみると、音場が広く抜けがいい代わりに、高域がかなり刺さり、低域の量が薄く、迫力はあるものの非常に聞き疲れするという点が気になりました。
micro idsd BLのXBassを起動させると低域に関してはブーストできますが、それでもLaylaほどのノリのいい音は出ませんね。

次にRosieも聞いてみました。低音調整は2時あたりです。

これはなかなか甲乙つけ難いです。Rosieの低域の質というか個性はやはり上の二機種と比較して頭一つ抜けており、非常に楽しいというか、ノリのいいアタック感のある音がします。

それでいてRosieは高域を上手い具合に低中域がマスクしているため、高域が刺さらず、またT5P Gen2と比較すると閉塞的な鳴り方なのですが、低中域に寄ったサウンドなので高域の強めなこの曲との相性は随一な気がします。

私はどうしても普段からイヤホンを使用していたのでそれもあるかもしれませんが、そもそもポップな音楽に音の広がりはそこまで必要ではないので、シンプルに聞きやすいいい音と感じたのはRosieですね。

しかし、これに関しては特にこれ!というような機種はありませんでした。どれで聞いてもまあいい音だな、と言うくらいです。
(その機種の特性に上手くハマった曲を聴いた時の感覚は本当に凄いので、それと比較して、という意味であり、決して低音質という訳ではありません)

ただ、不思議なのがLaylaやRosieと比較して、音の広さは明らかにT5P Gen2の方が上なのに、ヴォーカルに関してはこちらの方が近く感じるということです。

やはりイヤホンは音が平面的なので、メリハリというか距離感という点ではヘッドホンには叶わないのかもしれません。




・hide&attack


シンセサウンドが特徴的な、アイドルマスターシャイニーカラーズの楽曲です。

まずT5P Gen2ですが、これは新しい感覚です。この曲をこんな音で聞いたことはありません。

この曲は12時Laylaで聞いた時は高域が非常に刺さる印象だったのですが、思ったより刺さりません。バベルとかorange sapphireと同じくらいでしょうか。気にはなりますが聞けないほどでは無いです。

やはり不思議なのが音像との距離がイヤホンとは全く違うのに、ヴォーカルが近いという絶妙なバランスです。低域は相変わらず薄いですが、それにしてもこの空気感の明瞭さは特筆すべきでしょう。

次にLaylaですが、やはり上の曲と同じ感じです。音は少し閉塞的になりますが、低域の迫力は明らかに上ですし、高域もあまり刺さりません。

低域の迫力、と言うとずんずん響くだけの下品なこもった音をイメージしがちですが、Laylaの低域はそのようなものではなく、むしろ身体を震わせているような、他の帯域に干渉しない体がビリビリと響くような低音をイヤホンで再現している、という感じです。

そのため低域がハッキリ出ているのに、中域、高域の音像がボヤけず、定位感や輪郭がハッキリとしたままの音を保っています。やはり非常に完成度が高いイヤホンだと思いますね。

LaylaからT5P Gen2に切り替えると、高域が少し刺さり、デジタル臭いというか、少しジャリっとした軽い音に聞こえます。しかし、それを除けばこちらの音は非常に開放的というか、抜けのいい、ブライトな明るい音です。

しかし、やはり低域がかなり薄いため、曲の高域ばかりが押し出されて耳にそこそこ刺さります。正直なところかなり聞き疲れすると思います。

しかし、一般的にいい音と認識されるのは、高域の刺さりを含めたとしてもT5P Gen2でしょう。全ての帯域を平坦に、きっちりとした定位で描写しているという点はLaylaの圧勝ですが、T5P Gen2は開放的な音によるクリアさと、音場の広さによる迫力、というより音に包まれるような感覚を得られるので、ぱっと聴いて大迫力のすごくいい音に感じます。それに比べてLaylaはちょっと聞いただけでは随分華が無い地味なサウンドに聞こえることでしょう。

私の場合はLaylaの方がいい音というか、T5P Gen2は高域がシャリシャリしすぎて不自然に感じました。




・バベル


最初の試し聞きにもチョイスした、ツインヴォーカルのEDMです。

T5P Gen2はやはり音がとても開放的というか、抜けのいい気持ちのいい音がしますね。私は普段イヤホンしか使っていなかったので余計そう感じるのかもしれませんが、音の広がりはやはり別系統です。

そして特筆すべきはヴォーカルです。音は響いているのに、恐ろしい程にクリアに、気持ちよく鳴らしています。響いているのに全く混じりっけがないと言うか、音がまるで拡散していないというか、とにかく物凄く聞きやすく綺麗なサウンドです。

音の解像度ですが、これはLaylaで聞くのとはまるで違う感覚です。
というのも、普段Laylaで聴いているのとは全く違う音、それこそ別のバージョンかと思えるほど音のバランスが異なり、聞こえてくる音もまるで別物なのです。

低域はやはりかなり薄いですが、響いてるとかそういうのではなく単純に音像が大きく、音の広がりもあるために迫力不足では無いと思います。

ちなみにこのヘッドホンはmicro idsd BLのXBass(他の帯域に干渉しない程度の低い低域を持ち上げる機能)との相性がとにかく良くて、低域に物足りなさを感じた場合はそれをONにすればもはや戻れないくらいいい感じの音になりますが、今回の比較ではなんとなく不公平な気がするためoffにしています。
(それを言うならLaylaの低域調整もあれかもしれませんが)


さて、次はLaylaです。
この曲では低域が強すぎるので、今度は1時に下げました。

やはり、スケール感が縮小して華やかさが失われ、なんとなく物足りなさを感じます。しかし、深く聴き込んだ後の感想としてはっきりと言えることは、Laylaの方が明らかに音の粒立ち、定位感は上です。

低域の迫力が明らかに上で、更に高域のギラつきも控えめで、なんというかT5P Gen2はこの曲に関しては高域がとても綺麗に出ているので余計にそう感じるのかもしれませんが、全体的に音にバリがあるような感じがします。

それと比較するとLaylaの音はどの音も均等に、全てを余すことなく描写しきっており、締まった低域もちゃんと出ているので、荒っぽい部分のないしっかりとしたサウンドになっています。

ただ、やはり音の距離感という点では明らかにLaylaは劣っており、ヴォーカルは確実にT5P Gen2の方が近いです。

また無機質というか、音の艶だとかそういう目線で語るならLaylaは明らかにT5P Gen2の下だと思いました。

なので音楽的に聞くのであればT5P Gen2の方が楽しいかもしれません。これも上で言ったように、一般的な感性でちょっと聴き比べた位だとLaylaの音は酷く地味に聞こえることでしょう。

T5P Gen2はいわゆる「煌びやかな音」とかいう類のものだと思います。Laylaは全てを平面的に描写しているので、一聴しただけではなんとなく暗いというか、モコモコしたサウンドに聞こえてしまいます。

ただ、LaylaからT5P Gen2に切り替えると低域の薄さと高域の刺さりが気になって、T5P Gen2からLaylaに切り替えると今度はスケール感の縮小やヴォーカルの遠さが気になりだします。

一長一短というか、どちらが明確に上、と言い切ることは出来ませんね。

それにシームレスに音を聞き変えた場合、その前に聞いていた音によるバイアスが働くため、変化に過度に反応してしまいそれが善し悪しの評価に影響を及ぼしている可能性もあるので、その辺はご了承ください。




得意な曲、苦手な曲


次はアイドルマスターシンデレラガールズから、王道的なヘヴィメタル、Lunatic showを聞いてみましょう。


まずT5P Gen2ですが、これは明らかに低域のパワーが不足しています。ヴォーカルのクリアさや抜けの良さは相変わらずとてつもなく優秀なのですが、この曲に関しては低域が薄いためどうしても迫力に欠けるような印象を受けました。

特にドラムやギターはこんなに軽い響きだとリアルさが全く無く、聞いていて非常に違和感があります。

Laylaに切り替えてみると、やはりLaylaは凄い音です。低音がかなり出ており迫力は物凄いのに、音の線が全て分離しており、複数人歌唱の部分はT5P Gen2より明らかに解像度が高く、分離よく鳴らせています。

この曲に関しては、音の空間が縮小することによる物足りなさも感じず、Laylaの音を鳴らした瞬間にあまりの差に驚くという感じです。ギターの音色、バスドラムの粒立ち、シンバルの自然な響き、そしてヴォーカルとのバランスの良さ。全てがLaylaの方が上です。

Laylaの音はやはりなんというか、キッチリハマった曲に関しては物凄く魅力的です。低域の迫力が上品さとパワー、そしてリアルさを兼ね備えており、尚且つ音の線の細かさや定位感が非常にいいのでこれはヘッドホンにはないイヤホン独自の魅力と言っていいでしょう。

低域の迫力を増しても、音自体が全て分離しているので全くブーミーさを感じさせないのはさすがです。
複数人歌唱の音像に関しても、それぞれが全く混濁しておらず、1人1人にフォーカスを当てればすぐにここの音色を聞き取れます。

T5P Gen2はヴォーカルや高域はすごくクリアなのですが、低域が薄く迫力がありません。更に複数人歌唱も混ざりあっているため、なんだかよく分からない音になっています。ツーバスの音も輪郭がほぼ出ていません。

これまでの曲はどれもこれもあまりはっきりと勝敗が付かず、どっちかというとヘッドホンの方がいいかも?という感じだったのですが、この曲に関しては確実にLaylaの方がいい音です。

T5P Gen2はやはり迫力がLaylaに全く及びません。

まずヴォーカルの分離に関してですが、T5P Gen2は音場が広いが故か一見クリアだけども、全ての音が混濁しているようなよく分からない感じになってしまいました。

またただでさえ低域が薄いもんですから、サビのブラストビートが合わさるともはやわけが分かりません。ツーバスの音なんてほとんど聞こえないです。

対するLaylaの低音はやはり素晴らしく、変にブーストした下品な音ではなく、低域は低域で、高域は高域で完全に分けて鳴らしているため、ヴォーカルやアタック感はクリアなまま、リアルな空気の振動のような迫力が付与されています。まさにLIVE会場のような音というのが相応しいでしょう。

ちなみに低音調整、というとどうしても音質がだいぶ変わるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、JH Audioの低域調整はSENNHEISER IE80の調整ネジだったり、Shure SE846のノズル交換だったり、それこそイヤーピースの変更だったりといったようなアコースティックによる調整ではなく、ケーブルにある可変抵抗ダイアル(厳密には半固定抵抗器であるトリムポット)を回すことで、4pinの内の低域BAユニットのみの音量を変更し、他の帯域はそのまま低域の量のみを調整することが出来る、という仕組みです。



そのため、基本的に他の帯域への影響は限りなく少なく、低域を増しても全体的な音に関してはほとんど変化はありません。




・あらかねの器


透明感とパワーを兼ね備えた、壮大なオーケストラの歌モノです。

まずT5P Gen2ですが……これは凄いです。凄すぎます。あまりの衝撃に圧倒され、軽く言葉を失ってしまいました。

これまで以上にヴォーカルに全く濁りがなく、響きの細部まで見てもどこにも不満点が見当たりません。これ以上何を求めるのか?そう言えるほどの音の良さです。

これまでのようにヴォーカルが近いと言うと語弊があります。音像は割と遠くというか、センターに定位しているのですが、その音が全く濁らず耳にすっと届き、それで非常に近く感じるという不思議な感覚です。こればかりは聞いてみないと分からない領域でしょう。

楽器隊に関してもヘッドホンの良さである音の太さ、広がり、そしていい具合に音が混じることで、よりリアルな音楽表現が成されています。
上の曲で弱点のようになっていたポイントが、この曲では逆に強みになっているのが面白いです。それでいてヴォーカルは全く混じらず鳴っているのが不思議でなりません。

そしてこの曲の最後で楽器隊が止まりヴォーカルのみになるパートがあるのですが、そこのヴォーカルがあまりにも近すぎます。鳥肌が立ちました。

低域の薄さによる刺さりやパワーのなさもこの曲ではまるで関係ありません。まさに完璧、そう言うしかないような美麗な音色でした。

次にLaylaですが、こちらはヴォーカルがT5P Gen2ほど自然では無いです。というより、T5P Gen2は比較にならないほど音の広がりがあるのに、ヴォーカルはLaylaよりもクリアと言っていいような音なので、それが不思議です。

そして低音の量感ですが、これは明らかにダメです。この曲ではT5P Gen2と比較してLaylaの低音は誇張されすぎており、明らかにT5P Gen2の方がいい音です。

Lunatic showでは強みになった低域が、この曲ではむしろ弱くなっているというのがやはり面白いです。やはりオーディオ機器は相性が大事なんだな、というのを痛感させられますね。

低域を下げてみたりもしたのですが、どうしてもモヤのようなものが晴れず、T5P Gen2のような音にはならないので諦めました。

この曲に関しては明らかにT5P Gen2の方がいい音というか、自然な響きです。ほぼ全ての音がアコースティックというのも影響しているのでしょうか、Laylaの解像度と定位感、分離の圧倒的なまでの良さもこの曲ではあまり生きていないというか、むしろこの曲ではそれが必要ではない気がします。

もちろん上でも書いたようにLaylaからT5P Gen2に切り替えると多少の違和感はありますが、それを踏まえても明らかにT5P Gen2の方が音がいいです。格が違う、この一言で片付く越えられない壁があるように感じました。



・美に入り彩を穿つ

ツインヴォーカルの和風ロックナンバーです。

まずT5P Gen2ですが、これはなんというか、Lunatic showと同じような印象を受けました。

音の広がりや抜けの良さは流石ですが、なんとなく迫力不足というか、少し物足りなさを感じます。

また高域がとても強く、かなり聞き疲れしそうなギラついたサウンドです。ヴォーカルの近さは圧倒的ですが、低域が薄いため音が金属的というか粒子的すぎて、音量を上げることが出来ず迫力を感じることができません。

次にLaylaですが、こちらはやはり低域の迫力と定位のバランスの良さが両立しており非常に迫力のあるいい音です。しかしLunatic showほどの差がある訳ではなく、これはこれでいい音、というか、どちらも相性はそれほどでもなく好みの差程度の出音だと思いました。

開放的で抜けのいいT5P Gen2、低域の迫力があり輪郭の締まったLaylaという感じでしょうか。

Lunatic showと違いヴォーカルの近さ、質はT5P Gen2の方が明らかに上です。対するLaylaは低域が濃いのに音の輪郭がとてもハッキリしているため、迫力は確実に上でしょう。

T5P Gen2はあまりにも低域が軽すぎて不自然です。その不自然さが一番顕著に現れているのがバスドラムです。刺さるくらいの主張のスネアに対し、バスドラムはビーターのキック音が聞こえるのみで、低い帯域の音が全く聞こえないのです。それは音も軽くなり不自然になるはずだ、と納得です。

やはり疾走感のあるハードロックなんかは低域の量感がある程度感じられないと、乗り切れない煮え切らないサウンドになってしまいます。私はLaylaの方が明らかに好みでした。

しかし、Lunatic showやあらかねの器なんかを聞いてきたので、この曲はどちらも完璧とは言えず、もう少し何とかならないか、なんて考えてしまいます。そういう点で言えば、どちらも少し物足りなさは感じました。
(もちろんどちらもハイエンドでありフラッグシップですから、一般的に見れば文句のつけ所すら見つけられないような素晴らしい音ではあるため、重箱の隅をつつくような見方になっている自覚はありますが)



・O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!

弾むようなリズムが特徴的な、非常に透明感のあるポップナンバーです。

まずT5P Gen2ですが、これは比較するまでもなく明らかに違いますね。イントロからしてLIVE会場みたいに音が響いています。そしてやはり、ヴォーカルが響いているのにとても近く、非常に透明感のあるサウンドです。

しかし、この曲も高域が割と刺さるのが気になりました。
特に頻発するウィンドチャイムのキラキラとした響きがかなり耳に痛く、正直なところ音量を上げられません。やはりもう少し低域が欲しいところです。ヴォーカルが素晴らしいだけに、少し勿体なく感じました。

次にLaylaですが、やはり第一に感じるのは低域の圧力の強さ。非常にノリのいい、楽しい音です。
そして、こちらは打って変わってウィンドチャイムのサウンドが全く刺さりません。というか、それぞれの帯域の音量バランスもまるで違います。ここまで違うものか、と感じました。

これは明らかにLaylaの方が好きです。Laylaは締まった低域のアタック感が心地よいですし、それ以前にT5P Gen2に関しては高域が強すぎて音量すら上げられません。
ヴォーカルは流石にT5P Gen2の自然な響きを聞いたあとだと物足りませんが、Laylaは高域が全く刺さらないので耳が疲れず、ずっと聞いていられるようなサウンドです。

試しにとLaylaの低域を完全に下げてみてもここまでは刺さらないので、かなりピーキーな高域をしてるなと思いました。かまぼこやドンシャリと言うより三角定規みたいな音のバランスです。




・こいかぜ

こちらは上で聞いた「あらかねの器」と同じ系統の、オーケストラの歌モノです。

こんなのもう予め勝負は決まってるようなものに思えますが、やはりT5P Gen2は凄いです。あらかねの器でも感じましたが、ヴォーカルの曇りが全くない。ヴォーカルのみが別の枠組みで出ているのかと思うほどクリアで透明感のあるサウンドです。

しかし、こちらはあらかねの器と違い、高域がかなり刺さるのが気になりました。音場の広がりはリアルなのですが、低域が不足しているため、少しリアルさに欠けます。

総合的に見た場合「まあ普通にいい」くらいな感じですね。思っていたよりもそこまですごい音という訳ではなく、普段Laylaで聞いている時とそこまでレベルとしては変わらないような、そんな感じです。

ラストのコーラスとの歌唱の広がりは流石ではあるのですが、これもLaylaで聞いた時と比較してそこまですごい気はしません。広がりはLaylaより上でさすがという感じですが、なんというかLaylaと比較して音が混じりあって輪郭が少しボヤけいるのが少し気になりました。

次にLaylaで聞いてみました。やはり、低域の厚みが全く違います。Laylaの低域は何度も書いたように他の帯域をマスクせず輪郭がハッキリしているので、鼓膜で聞いているのに体に振動が伝わっているようなリアルな迫力があります。それ故によくレビューでLIVE会場のような音と表現されるのでしょう。

ヴォーカルの広がり、透明感に関してはやはりT5P Gen2の方が断然上ですね。サウンドステージはかなり縮小しました。
T5P Gen2は刺さりまくるんで自然とは言い難いですが、T5P Gen2のボーカルがコンサートホールならLaylaは良くてライブハウスくらいな感じです。根本的に響きのスケール感が違いますね。

そして最後のコーラスとの合唱ですが、LaylaはT5P Gen2と比較して広がりはそこまででは無いものの、音が完全に分離しており、ヴォーカルとコーラスの定位が非常にハッキリしています。ただ広がりというか距離感がそこまでではないため、やはり少し曇ったような印象を受けました。

T5P Gen2を聞いてみるとやはりLaylaより音の広がりが圧倒的で、高域の刺さりなどの観点から見てリスニング的にはどうかと思いますが、その点だけを見ればLaylaは足元にも及びませんね。

ただまあ当たり前の話ですが、刺さりまくるT5P Gen2はまともに聞けないのでLaylaの方が私は好き、というかまともに比較はできないです。







低域が重要なメタルコア、ラウドロックを聞いてみる


さて、ここまでいろいろデレマスの曲を聞いてきましたが、今度はメタルコアなんかを聞いてみましょう。

・NOCTURNAL BLOODLUST REM


これはダメですね。輪郭が甘く、ヴォーカルやギターが非常にぼやけた感じです。
というより、重すぎるギターの音に完全に負けており、何が何だか全く分からないサウンドです。

バスドラムに関しても、EQをかけたことによる高域のみが出ており、肝心の低音がバッサリカットされたような、上品すぎる腑抜けた音です。ブレイクダウンなんて迫力もクソもありません。
正直なところ聞き比べなくても、Laylaの足元にも及ばないのが分かります。

次にLaylaです。やはりサウンドステージは狭くなりますが、音の輪郭の描写能力が高く、低域が強く出ているため、ギターやバスドラムの響きが適正な感じです。

アタック感も非常に量感があり心地よく、やはりラウド系はこういう音じゃなきゃな、なんて感じの音ですね。

ヴォーカルのデスボイスの音の粒も綺麗に聞こえます。T5P Gen2はヴォーカルの音像がぼやけすぎ&低域が薄すぎてなんだか分からなかったですからね。

次にRosieですが、こちらはまあやはり慣れ親しんだというか、安心する音ですね。低域がかなり強く、また低域のアタック感がLaylaとも少し違う、柔らかく弾むような感じです。

Laylaと比較して中音域が少し膨らみ別の帯域まで影響するため、ヴォーカルの音のつぶまで正確に聞き取れるかと言うとその辺はLaylaに劣ります。しかし、ブレイクダウンの圧倒的な音圧感とかを聞くにこういう音楽が好きな人はこちらの方が好き、という人が多そうです。Laylaは低域の出方は似ているものの、高域が少し強めで、中域が少しだけスッキリしています。



・Lynch. Phoenix


まずT5P Gen2から。やはりサウンドステージの広がりがあり、抜けのいい音ですね。

しかし、この曲に関してはヴォーカルやギターの輪郭がもう少しはっきりして欲しい感じです。音がスッキリしすぎているというか、やはりなんか軽いです。

また高域は相変わらず硬質で少し刺さります。いい音か悪い音かで言うならどう考えてもいい音ですが、なんか違うんですよね。

Laylaに切り替えてみると、やはりこちらの方が断然いいです。低域の迫力もそうですが、ヴォーカルの定位、音像の輪郭がはっきりとして、地に足の着いたような感じです。

高域の刺さりもなく、代わりにドラムのアタック感が出ています。

次にRosieですが、これはLaylaより好みです。低域がLaylaよりもしっかりと出ており、ヴォーカルもLaylaより聞きやすい印象です。ハイ上がりのアタック感もいい感じに丸まって、音量を上げたくなるような、そして上げても全く耳障りでなく、迫力のみが上がる、そんな不思議な魅力があります。
Laylaと比較してよりベースの音色が主張してくる感じですね。







総評。女性ヴォーカルの近さ、音のクリアさが驚異的なヘッドホン


色々書きましたが、このヘッドホン、普通にめちゃくちゃいいです。

高域が刺さらない程度に音量を小さめにして、全体の音に包まれるような抜けのいいサウンドを長く楽しむ、という扱い方と相性が非常にいいと思います。

非常に音の抜けが良くクリアで、ヴォーカルがとても近く自然なので、聞き飽きず、また聞きたい、となるような魅力のあるヘッドホンです。

高域の刺さりに関しては音量が小さめならかなり緩和されます。
ちなみにウィンドチャイムは鬼門です。ウィンドチャイムがある曲は多分確実に刺さるので気をつけてください。
他には、ドラムの音がハイ上がりな曲は刺さると思います。

素晴らしい部分もありつつ結構ピーキーなヘッドホンなので、誰にでもおすすめできるという訳では無いです。値段も値段なので、もっと万能な機種はいくらでもあるでしょう。
(特に前回のアニソン音質比較記事でも書きましたが、低価格なダイナミックドライバーイヤホンなんかは高域がかなりまろやかというか緩いので、それと比較すると高い金を払ったのにほとんどの曲でシャリシャリしすぎて聞くに絶えないということになりかねない)

アニソンの音質は悪いのか?色んな曲を最高級イヤホンでレビューして分かった問題点

これはべつにラブライブの歌に限ったことではなくて、一般論として、アニソンの音質は非常に悪く、おしなべてスラム街のギャングがやってる音楽の音がする。— 松下哲也 (@pinetree1981) April 4, 2020 アニメソングの音質が悪い、と言われる理由には、一般的にアニメ=ニッチで低レベルなコンテンツ、という先入観や、同じような考えとして「一般向けの曲を作るより環境が劣っているのではないか?」という想像上の話が多い...



ただ、それを差し引いても、やはり女性ヴォーカルがかなり近いというか、とてもクリアに響きます。絶対に手離したくない機種です。

このヘッドホンで聞いた後にLaylaやRosieを聞くと、サウンドステージは狭まったはずなのに、少しヴォーカルに距離を感じるような、フィルターが一枚かかったような感覚があります。語弊があるかもしれせんが、わかりやすく言うなら篭っているという感じです。

もちろんしばらくすれば慣れるというか他の音に気が向いていきますが、それくらいこのヘッドホンのヴォーカルはクリアで近いです。

特に上手くハマった時は鳥肌が立つようなとんでもない音を鳴らしてくれるので、適当にリスニングしていてもあまりの音の良さに驚愕してしまう事が良くあります。例えばこの記事を書いている時で言うならこの曲の低域の圧力感のリアルさは心底驚きました。聞いている時ずっと鳥肌が止まらなかったです。

(micro idsd BLのXBassをONにしています)

ただやはり高域が刺さるというか、私の中ではかなり刺さる方だと思っていたLaylaの1時調整よりも断然刺さるので、イコライザーを使うか迷っています。というか、こういう時にJHのSIRENシリーズユーザーだと、なぜ低域の量が調整できないんだ?とかいうわけのわからないもどかしさに苛まれます。普段何気なく使っていましたが、よくよく考えるとかなり凄い機能ですね。他のメーカーにも欲しいです。

どうしても低域の量の少なさに満足できないため、普段はmicro idsd BLのXBassを必ず使っています。その方が明らかに私好みになるので、このヘッドホン単体での音がものすごく好き、という訳では無いのは先に言っておきます。





アナログ的に刺さりを緩和する方法


刺さりに関しては、イヤーパッドを変更することでヘッドホンの音質はかなり変わるようなので、社外性の高域が削れるようなパッドを購入してみてもいいかもしれません。私はそのうちパッドが劣化したらAmazonで買ってみようと思います。

もしくは吸音材的な役割として、高域のフィルター的感じでいわゆるヘッドホンカバーを使って見ようかなとも思います。

試しに耳とイヤーパッドの間にティッシュを一枚挟んでみましたが、全体的なサウンドイメージは全く変わらず、いい具合にウィンドチャイムとかシンバル類とかの超高域部分の刺さりが僅かに緩和されていたので、ものによってはかなりいい結果を得られそうでした。

※追記 ヘッドホンカバーを買ってみました。

イヤーパッドに被せるヘッドホンカバーで音質や装着感は変化する?変わる?変わらない?

先日、beyerdynamicのフラッグシップヘッドホン、T5P 2rd Generationを購入しました。ベイヤー T5P Gen2を購入したのでイヤホンとヘッドホンの音質を比較レビューしてみた【beyerdynamic T5P 2nd Generation】音楽が好きで、尚且つイヤホンが好きなら、色んな機種が気になるのは殆ど必然のようなものだと思います。イヤホンなんてひとつあれば十分、というのが普通の人の考えだと思いますが、イヤホンというものに魅せられた人間は...






音漏れは少ないが、イヤホンと比較すると多い


ちなみに音漏れに関してですが、正直なところヘッドホンの時点で幾許かの音漏れは許容しなければならないことは理解しておくべきです。

普段イヤホンばかり使用している人はあまり分からないかもしれませんが、ヘッドホンは例え密閉型だとしても盛大に音が盛れてしまいます。

私がこれ以外に所有するヘッドホンはもう6~8年近く前に買ったPanasonicの2000円くらいの激安ヘッドホンのみですが、このヘッドホンでまともな音量まで音を出すと、普通に小型スピーカーくらいの音量が外に盛れ出します。

カナル型イヤホンは耳の穴に挿入しイヤーピースで密閉するため、例え12BAを搭載したLaylaだろうが音漏れは一切ありません。しかし、ヘッドホンは巨大なドライバーを耳から離して設置している構造上の問題でどうしても音漏れは悪名高いインナーイヤー型イヤホンの下位互換になってしまうのです。

開放型ヘッドホンともなると、密閉型と違い音を反射するものが無いために両側に同じ量の音が漏れ出します。ヘッドホンのドライバーサイズを考えたら常識的な音量でも同室の人には丸聞こえでしょう。
(耳元に小さなスピーカーを設置してるようなものなので)

壁が薄い木造アパートとか、襖で部屋を仕切っているレトロな物件であれば隣の部屋まで音が聞こえてもおかしくないと思います。

で、そんな前置きを挟みつつ、このヘッドホンの音漏れに関してですが……純正のイヤーパッドで聞くに、上のイヤーパッドがボロボロになったヘッドホン程ではなくとも、これがイヤホンだとしたらなかなかの音漏れだな、なんて感じるくらいには音が漏れています。

同じ部屋の人にはどんな曲を聴いているか間違いなく分かりますし、隣にでも座ろうものなら歌詞は全て聞き取れるほどです。

ただ、思っていたよりは酷くないです。壁を1枚でも隔てれば夜中でも隣の部屋には聞こえない程度の音漏れでした。電車とかで使うのは流石に無理でしょうが……






高級イヤホンとヘッドホンの比較。音質がいいのはどっち?


さて、イヤホンとヘッドホンの高級なフラッグシップモデルを比較してみましたが、音質はどちらも優れており、まさに甲乙つけ難い結果となりました。

音の系統の違いとしましては、Laylaが全てをきっちりと描写した壮大な摩天楼のイラストで、T5P Gen2が背景をボカして主役にきちんとフォーカスの合った美しい風景写真、というイメージです。

本当に細かな点まで描写するという解像度ではLaylaの方が優秀ですが、音の空間の自然な再現性の高さ、メリハリのある音の抜けの良さはT5P Gen2の方が明らかに上だと思います。特に「あらかねの器」に関しては比較にすらならないレベルの差が出ており、比較してしまうとLaylaがまるで玩具のような音に聞こえてしまいます。

しかし、低域の迫力という点では、ボヤけず締まった低音が他の帯域をマスクしないLaylaやRosieの方が上でした。
T5P Gen2はLunatic showやO-Ku-Ri-Mo-No Sunday!なんかを聞く限りLaylaに酷く劣りましたし、メタルコアやラウドロックに関してもLaylaと比較すると軽すぎて非常に不自然な音でした。

なんというか総合的に見て、音が別物すぎて単純に比較するのは違う気がします。

イヤホンとヘッドホンは別の趣味、と言われる理由がわかります。単純に音を聞くという点では同じですが、スピーカーがイヤホンの代用にならないように、イヤホンがスピーカーの代用にならないように、イヤホンとヘッドホンも音の出し方の違う別の趣味のように思えました。

単純に装着方法やドライバーとの距離が違うので当然ではあるのですが、そもそも音のベースが違う気がします。

低音のパワーが上だとか言われたりしていますが、確かに音像の広がりはともかく、パワーは全然LaylaやRosieの方が上でしたし。

しかし、一般的にいい音とされるのはヘッドホンだと思いましたね。

いい音の定義は人によりますし、音というのは高音が出てる、低音が出てるとかでは語れず、空間の広がりや音の細さ、響きの量、自然さ、歪みの少なさなんかで決まります。

しかし、それらは最終的に人の好みなので、音場が広いからこっちの方が高音質だ、なんて語れないのがオーディオの面白いところです。
例えばバスドラムひとつとっても、フェルトビーターのふくよかな音が好きな人もいれば、樹脂やウッドビーターのタイトでソリッドな音が好きな人も居ますよね。そんな感じで結局は好みです。

それに結構のところイヤホンやヘッドホンというのは送られてきたデータの再生機であり、出音は曲によっても変わるので、今回の比較で言うならPhoenixやREMは音場が狭い方が明らかに好みでしたが、あらかねの器は音場が広い方が明らかにいい音でした。

つまり広大な音場を持つ開放型ヘッドホンHD800Sと、その対極に位置するであろう音場が狭めと言われるハイエンドIEM、SE846を比較したとして、その人が聞く曲やその好みによってどちらがいいかはキッパリと別れるでしょう。

結局のところ音場が狭いだの広いだの、高域が煌びやかだの、文章を読んでも自分に好みの音かはわかりません。聞いてみるしかないのです。

正直なところオーディオレビューというのはその機種を聞いたことがある人には意味が伝わるが、聞いたことがない人にはドンシャリかかまぼこか、音が狭いか広いかくらいの情報しか伝わらないでしょうね。それを言ってしまうとこの記事の存在価値はなんなんだ?となるのですが……

ただ音場に関してはやはりイヤホンはヘッドホンの足元にも及びませんね。密閉型ヘッドホンのT5P Gen2ですら、イヤホンの中ではかなり音場が広いLaylaを軽く上回っています。

またクリアというか、音の抜けの良さもヘッドホンの方が上ですね。というよりやはり音に自然さがあると感じました。

ですが、イヤホンをある程度使ってからヘッドホンに変えると音のフォーカスがボヤけて違和感を覚えますし、逆にヘッドホンからイヤホンに変えると音があまりにもこじんまりとしてこちらも違和感が拭えません。

このようにイヤホンとヘッドホンでは音の傾向が違うので、単純にどちらが上とかは言えません。それだけは確実に言えるでしょう、






装着感、側圧、イヤーパッド


側圧は物凄く軽く、軽く頭を下げるとずり落ちてしまう程度です。

側圧が非常に軽く、またイヤーパッドも内径が広く、また所謂ウレタンフォームのような低反発のモチモチとした感覚ですから、付けていることに全くストレスを感じず、むしろ付けていることに安心感すら覚えるような心地良さです。私が嫌っていたヘッドホンの装着感の悪さが、このヘッドホンにはひとつも見当たりません。まあこの心地良さは冬だからということもあるでしょうが……


しかし頭を動かさなければ快適なのですが、少しでも動いたり、少し寝転んだりするとズレるのでその辺は少しストレスです。
このヘッドホンはドライバーに傾斜が付けられているので、少しでもズレると音が大きく変わってしまいます。なのでPとは銘打っていますが散歩とかには適さないと思いました。
(このクラスのヘッドホンを騒音まみれの外で使う理由もよくわかりませんが……)

私が普段使用していたIEMは元々プロのステージユースに開発されたものなので、一度装着したら全くズレたりはしないので余計にそう思います。

まただらしのない話ではあるのですが、私は家では体を横にして寝そべる体制が基本でして、それが出来ないと言うのが結構なストレスです。幸い仰向けはそこまで問題ないので、ブログなんかを書く際は困らないのですが、リラックスしながら適当にWebサイトを読んだり、動画を見たりする時などはやはりイヤホンの装着感が恋しくなりますね。






収納性に関してはどう考えてもイヤホンの勝ち


イヤホンと比較してヘッドホンは非常に巨大なため、収納場所にとても困ります。

イヤホンは小さなタッパーに除湿剤と一緒に放り込んでおけば、キズもホコリもサビも劣化も全て防ぐことができます。オマケに場所も取りません。

対してヘッドホンはそれ自体が大きいため、イヤホンと同じように密閉した容器に保管しようとすればとてつもなく場所を取ります。
(このヘッドホンにも上質なケースが付属してきましたが、正直なところデカすぎて使っていません)

かと言ってヘッドホンスタンドなどに立てかけておくのもホコリや加水分解による劣化、ドライバーのサビなどが気になりますので、やはりケースは必要です。
(数万円のエントリーモデルならまだしも、フラッグシップモデルのヘッドホンを手荒に扱うことは私にはとてもできません)

まあ同じような大口径ダイナミックドライバーを搭載したスピーカーに関しては毎回ケースに入れることなどほぼ不可能ですし、部屋の湿度やホコリに気を使っているような人もあまり居ません。しかし、それでスピーカーが壊れたなんて話は聞きませんから、案外湿気やホコリ自体はどうでもいいのかも知れませんが。






ヘッドホンはイヤホンと比較して維持費がかかる、劣化もしやすい


ヘッドホンはイヤホンと比較して、ヘッドバンドやイヤーパッドなどふんだんに皮革が使われています。

これが本革ならまだいいのですが、ヘッドホンは音質や質感への影響からフラッグシップモデルでも合否が使われているのが実情であり、使っているうちに加水分解により劣化してひび割れたり、粉のようにボロボロになってしまいます。
このヘッドホンのイヤーパッドやヘッドバンドも、プロテインレザーという特殊な合否です。
(当然イヤーパッドの表面が剥がれたりした場合、音の反射度合いが変わるため音も変化します)

また劣化するのは外側だけでなく、内部のスポンジだったりウレタンフォームだったりも側圧により段々と潰れてペタンコになってしまうため、使っているうちに音質がどんどん変化してしまいます。
(ドライバーの位置が耳に近くなり、意図された本来のサウンドチューニングから離れてしまうため)

イヤホンであれば一部を除き本体は全て金属や樹脂ですから、まともに使っていれば何年使っても問題が出るレベルで劣化することはほぼありません。
(クリアシェルやケーブルが緑化したり、金属シェルに擦り傷が付いたりすることはありますが、使用上に問題はありません)

またイヤーピースに関してもコンプライなどを除けば材質はシリコンゴムですから、こちらも普通に使っていれば寿命なんてほぼないようなものです。
(当然こちらも変色したりベタつきが出たりすることはありますが)

しかし、ヘッドホンの場合は前述したように色んな部分が決して長くない時間で問題になるほどに劣化してしまいます。

そして交換用のイヤーパッドが非常に高価なのも問題です。高いものだと1万円近くしますし、安いものでも5000円くらいは普通にします。また安いからと言ってイヤーパッドを社外品に変えてしまうと音質も変わってしまうので、本来の音を維持するには高い純正品を買うしかないというのも悩みどころです。

イヤーパッドなんかまだいい方で、ヘッドバンドに関してはそもそも交換式では無いので有償で修理に出さなければなりません。

メンテナンスにお金がかかってしまうのも、ヘッドホンの大きなデメリットでしょう。

私はヘッドバンドに関してはどうしようも無いので、Amazonで購入したカバーを付けています。

このカバーはT5P Gen2にピッタリでした。見た目もシンプルで違和感がなくオススメです。装着感に関してはよりソフトというかクッション性が増した気がします。オススメですね。




高級イヤホンユーザーにヘッドホンのススメ


私はイヤホンユーザーでしたが、ヘッドホン、思っていた何倍もいいですよ。イヤホンと比較して音が自然で、音場に関してはイヤホンは足元にも及びません。

もちろん最終的な話曲の相性によるのですが、合う曲ではどんなイヤホンであろうと勝てないだろうな、と言うくらいすごい音を鳴らしてくれます。
(まあLunatic showやPhoenixなんかはその逆でイヤホンと比べ酷かったですが)

またあまりにも音の系統が違うので、半端に色んなイヤホンを買うよりもよっぽど使い分けが効くと思います。高級なイヤホンを既に持っている人は、次の選択肢にヘッドホンを入れてみてもいいと思いますよ。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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