Amazonの激安中華真空管プリアンプ「FX-AUDIO-TUBE-01J」をレビュー。ヘッドホンに温かみのある音質を【NFJオリジナルモデル シルバー】

♨の人

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結構前からこれまでの高い有名メーカー製のアンプと比較して、中国メーカーの安価なデジタルアンプや真空管アンプの音がいいと盛り上がってるらしいです。わかりやすく説明すると、ポタオデ界隈における中華イヤホンみたいな感じでしょうか。

というわけで、私も少し気になったので中国製の真空管プリアンプ、FX-AUDIO- TUBE-01Jを購入してみました。




日本メーカーの中国製中華オーディオ機器ブランド FX-AUDIO


今回購入したFX-AUDIO- TUBE-01Jは中華真空管プリアンプではありますが、これを販売しているFX-AUDIOはノースフラットジャパンという日本のメーカーのブランドです。

出来る限り低価格で高品質の製品を提供するため、アンプは中国で製造しているらしいです。

中華メーカー、それも更に真空管アンプなんていうと一時期Twitterでバズってた「真空管は飾りの詐欺アンプ」をイメージされるかと思いますが、このメーカーは日本人が現地監督・運営をしており、また全ての製品の内部構造写真を公開しているため品質には一応信頼が置ける本物の真空管プリアンプです。

因みにどうせならトーンコントロールのある製品にしたかったため、同じく中華真空管プリアンプのNobsound NS-10Pと迷ったのですが、こちらはどこを見てもレビューがあまりなく、更には過去にそこそこの値段のアンプで真空管詐欺をやらかしてるメーカーだったので普通に危険を感じてやめました。レビューは一応悪くなかったですけれど。

あと、FX-AUDIOには真空管アナログヘッドホンアンプ、TUBE-02Jという機種もあるのですが、私の場合ヘッドホンアンプは既にifi audio旧フラッグシップポタアンのmicro idsd BLがあるので、オールインワンのアナログヘッドホンアンプではなく純粋な色付けの為だけにプリアンプを選択しました。


ついでに言うとTUBE-02Jは附属真空管が北京6K4なのに対してTUBE-01Jはミルスペックの6J1なので、値段にしては少しの差ですが評判もこちらの方が良好です。





見た目は高級感があっていい感じ。オーディオ機器としては激安だけどまともで安心



外箱はシンプルです



中身はこんな感じです



アンプ本体の見た目はこんな感じです。今回は前面プレートがシルバーのモデルを選択しました。


全面ヘアライン仕上げで、インターフェースなどは必要最小限です。

重さはmicro idsd BLを少し重くしたくらいで、そこまで重量感はありません。


ボリュームノブは全面がスピン加工されており、側面は挽き目が付いています。それが滑り止めのような効果を持っているので非常に回しやすいです。


因みにこの製品には下面に4つインシュレーターが付いているのですが、ゴムやシリコンではなくEVA樹脂、つまりお風呂マットのようなスポンジです。

これはケチってるとかそういうのではなく、真空管というのは外部要因で管内部の電極が振動すると、その振動を拾いマイクロフォニックノイズというものが発生してしまいます。恐らくはそれを防ぐため、このような柔らかく制震性の高い素材をチョイスしたのだと思います。


付属の真空管を装着するとこんな感じです。

デザインはほんとにシンプルで、作りもまあ普通、特に凝ったデザインとかは成されていません。しかし、私の好みには非常にマッチしています。

このメーカーのオーディオ製品はどれもこれもどう見ても無骨すぎるデザインなのですが、それが逆にカッコイイです。

このメーカーの製品は、コストの削減と、見た目の向上という難しいものを両立しているいい例だと思います。どれもこれも基盤を真四角な筐体に詰め込んだだけで変に凝ったデザインにしていないので、安くてもチープさが全くありません。選択肢も幅広く、なんというかガジェットマニアには確実にウケるタイプのメーカーだと思います。


因みにこのアンプはパッと見の質感で言うなら、ifi audioのmicro idsd BLやFOSTEXのHP-A4BL限定モデルと普通に同じ水準にあるので並べても違和感がありません。流石にじっくり見るとヘアラインも粗めで、特に作りの綺麗なFOSTEX HP-A4BLと比較すると値段の差はかなり顕著に出てしまいますが、それでも桁がひとつ違うものと比較してこれは素晴らしいと言えるレベルでしょう。

プリアンプがどのくらいの相場なのかはぶっちゃけ知らないですが、据え置きヘッドホンアンプはまともなものを買おうと思ったら最低でも2~3万円は必要なので、5000円の据え置きアンプ、それも真空管アンプなんてはっきり言っておもちゃレベルなんですよね。そんな安くて大丈夫か?ってなるくらいの。
(業界最安クラスのFiioのポタアンですら1万円を超えますし、HP-A4BLだって5万しますが据え置きヘッドホンアンプとしてはエントリークラスです)

そんなおもちゃレベルの値段ですから、まずまともな質感なだけでもう既に高評価、しかも見た目もいいと来たものですから所有欲の満たし方は高級機を購入した時に匹敵するまであります。それに真空管ですから、最悪音がゴミでもインテリアとして使えますし……(小声)




付属真空管はミルスペックの6J1。取り扱い注意。素手で触ると破損の原因になる



真空管はミルスペックの6J1という真空管が付属しています。

USBとかイヤホンジャックとかに慣れてるとは?ってくらい硬いしグラグラしますが、一応奥の方まで刺したら両方しっかり同じ高さになるはずです。

因みに真空管は素手で触ると手の皮脂が付着することにより破損の原因になったり、通電して熱くなった真空管を冷たい濡れた手とかで触るとガラスが温度差に耐えきれず割れてしまうことがあるらしいので注意しましょう。

とは言ってもこの真空管アンプは小さく出力もそこまで大きくないので、触れないほど熱くなるような真空管アンプとは違いそこまで厳格に扱うこともないと思います。まあ無闇矢鱈と触らない方がいいのは確かですが。

まあぶっちゃけ素手で触っても問題になることはあんま無いんじゃないかなと思いますけどね。白熱電球とか割れないですし。

というか割れるなら説明書に書くでしょ普通。私は一応手袋をしましたけど。



因みに何かをぶつけたりして割りたくない人はゴムリングを付けましょう。見た目はあれですがめちゃくちゃ安いです。


というわけでこの激安真空管プリアンプ、一応今のところ文句は全く無いのですが、個人的にひとつだけ難癖を付けるなら多少高くなってもいいのでACアダプターは付属しておいて欲しいなと思いました。



ACアダプター選びには気をつけて。電圧、電流、極性、ピン内径外形とPSEマークをチェック。評判のいいSUCCUL サクル株式会社 12V2Aがオススメ


私はACアダプターはこれを購入しました。

価格:1080円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)
ACアダプターを購入する際はピンの外形と内径、電圧と電流、極性、あとちゃんとしたPSEマークがあるかに注意です。これをちゃんと見ておかないと動かないどころか最悪機器を破損させてしまいかねません。

実は私ももっと安いものがないかとAmazonでACアダプターを調べてみたのですが、普通にとんでもない無法地帯なのでさすがに手を出せませんでした。なので同時購入されていることの多い安心できるこちらを選択したというわけです。

前々から思ってたのですが、Amazonの電子小物は種類も豊富で安いですが、売っちゃいけないようなヤバい代物、主に中華ですけどそういうのも沢山あるので注意してください。私が今回見た中だと、電圧が12V固定なのにmicroUSBアダプターを付属したACアダプターがスポンサーとして出てました。あれはヤバいです。スマホに使えばまず確実に壊れますし最悪火事になります。物売るってレベルじゃねえぞ。

個人的には多少高くてもいいので、AmazonベーシックのACアダプタを販売して欲しいですね。

ちなみにスイッチング方式のACアダプタなので、一応フェライトコアを付けておきました。


あ、あとこれは小話なんですが、私が購入したサクル株式会社のACアダプタはマジで大手メーカーのOEMっぽいです。

なぜかって、HP-A4BL(日本製の5万円の据え置きヘッドホンアンプ)に付いてきたACアダプタと見た目、型番、出力がほぼ同じでした。なんてことない話ですがオススメですよ。
ちなみにこの会社はいろんなACアダプタを売ってるので、電圧、電流、極性を注意深く見てくださいね。




私の使い方は多段方式。接続方法について


使い方はこんな感じです。



パソコン

USBケーブル

FOSTEX HP-A4BL

ifi audio micro idsd BL付属RCAケーブル

FX-AUDIO- TUBE-01J(当機)

RAYWILL 3.5mm ステレオミニプラグto 2RCA(赤/白)ケーブル

ifi audio micro idsd BL

イヤホン・ヘッドホン



価格:51,84048664円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)



流れとしてはまずパソコンからUSBケーブルでデジタル接続したHP-A4BLが内部のDACでD/A変換。それがRCAケーブルでTUBE-01Jを経由。その後RCAケーブルでmicro idsd BLにアナログ入力され信号を増幅。それがヘッドホンに出力される感じです。
めちゃくちゃ色々やってますが、効果の程はどうなんでしょうね。

本来、というかオーソドックスな使い方としてはスマホとかPCのイヤホンジャックからAUXケーブルで出力してその後にパワーアンプに接続するみたいですが、それだとあまりにも上流のDACが貧弱かつ心許なかったのでUSB接続のHP-A4BLをライン出力のDACとして使っています。出力を上げるとかそういうのは全く考えてないです。
(上でも同じようなこと書きましたが、出力が欲しいだけならmicro idsd BLだけで現行のどんなヘッドホンでも普通に鳴らせるので)

ケーブルはごっちゃごちゃで、見た目は酷いものですがさすがに小型機だけの構成でもここまで複雑になると威圧感も凄いです。やべーやつ感がプンプン出てますね。

私は元々はガジェオタだったので、こういう複数の機器をガチャガチャとケーブルで組み合わせるのは心理的な満足感というか達成感が強く、それが多分精神的な面で音の感じ方にいい影響を与える気がします。

ぶっちゃけ、今回の構成にはクリアな音とか高解像度とか一般的に言われる高音質は全く求めてなくて(それならmicro idsd BLを単体で使えばいい話なので)、真空管特有の歪みによる暖かい音と、わざと色々組み合わせることであえていつもと違う面白い音を作れたらな、と思って買ったので、多段のデメリット(劣化など)とかは無視しています。
RCAケーブルもそもそもポタアン用ですし、片方は50cmですからまあ長すぎるということも無いでしょう。

因みに音量に関しては、まずパソコンからUSBで出力する音量、HP-A4BLのボリューム、このプリアンプに付いているボリュームノブとゲイン切り替え、そしてmicro idsd BLを組み合わせて調整します。最終段のアナログアンプであるmicro idsd BLはゲイン切り替えが3段階あり、ECOモードは6vp-pの普通のDAP程度の出力なので、感度の高いIEMとかでなければ調整すれば普通に使える範囲だと思います。

尚且つ同機には単品だと1万円くらいする高品質な2段階調整のノイズフィルターアッテネータ、iEMatchが搭載されているため、使おうと思えば超低インピーダンスの64 Audio Nioとか、高感度なCampfire Audio AndromedaみたいなIEMでも使えます。
もちろん音は変化するので、そこまでして使うメリットがあるかはわかりませんが……





音質のテスト。使用するヘッドホンはbeyerdynamic T5P 2nd


今回はまずPC→USB→HP-A4BL→RCA→micro idsd BL→T5P 2nd(長いので以下非真空管アンプ)と、TUBE-01JをHP-A4BLとmicro idsd BLの間に挟んで感じた音の変化を書いていきたいと思います。


この製品のYouTubeでの提供レビューを見る限り、どれも音が私好みの分厚い音に変わっていたのでそこそこ味付けの質に関しては期待しています。
具体的に言うと音場が少し広くなり、音像定位が若干前から後ろに変化して音像の輪郭がマイルドに変化するのですが、それが非常に私好みな音色だったのでこの感じをヘッドホンで出してくれたらあとは言うことは無いですね。

因みに真空管は通電後温める必要があるので、1時間ほど通電しておきました。

真空管はアコースティック楽器や人の声などに艶が出るらしいので、曲はいつもの通りオーケストラの歌モノである「あらかねの器」をチョイスしました。




・非真空管アンプ
やはりこの曲はT5P 2ndで聞くと音の広がりとヴォーカルの艶、そして空気感が素晴らしいですね。空間自体は広いのですが、ヴォーカルの1番美味しい部分がとても近く感じられ、その後ろから楽器類やクワイアの音圧が波のように迫ってくるわかりやすく大迫力のいいサウンドだと思います。月並みな感想だとコンサートホールのサウンドと言った所でしょうか。



・TUBE-01J
ヴォーカルが近かったのが遠くなったと感じます。響きが増えたからでしょうか。
非真空管ではヴォーカルが脳内に直接流れ込んでくるような感覚と感じられるほど近かったのですが、こちらはヴォーカルが少し離れて、音像がさらに響くように変化したという感じです。


・非真空管アンプ
音の分離が良く、輪郭がはっきりとしたサウンドです。音の立ち上がりから減衰までが早く、どちらかと言うとすっきりとしたサウンドと感じました。


・TUBE-01J
やはり音場が広がって、尚且つそれぞれの音像が大きくなることで響きが増幅されているようなイメージです。ただ、どうしてもそれぞれの音がわちゃわちゃしているような印象も受けます。


・非真空管アンプ
私はこちらの方が好みですね。音がクリアで、T5P 2ndのヴォーカルの近さと音の艶がこちらの方が明らかに良く感じられます。



・TUBE-01J
音自体は響いているのですが、ヴォーカルの圧倒的な近さと輪郭の繊細さがこちらではあまり感じられないので、なんというか音がわちゃわちゃしているように感じてしまいます。迫力自体はあるのかもしれませんか、クロスフィードのような変な感覚で私は無い方が好みです。





・イケナイGO AHEAD


・非真空管アンプ
ヴォーカルが少し遠いような印象を受けます。MIX自体がそういう感じなので、この曲はイヤホンの方が合いますね。よく言えばコンサートホールで聞いているような広い音場と言えるのですが、私はもう少しヴォーカルの輪郭がはっきりとして近い方が好みです。

ただドラムのアタックの質感はとにかくいいです。硬質ながら耳障りでなく、またイヤモニのように耳に無理やりねじ込まれているような印象のない、自然な距離感のあるアタック感です。


・TUBE-01J
アタックが少し重くなりました。しかしよく言えば暖かい音なのですが、やはりなんというか音が濁ったというか、少し遠くなったような印象も受けます。繊細さが失われ、ホールの反響が強くなったような印象です。

アナログチックといえばそうなのかもしれませんが、俗に言うHi-Fiっぽさは無いと思います。特に普段から高解像度なヘッドホンやイヤホンに慣れていると、なんとも不思議なサウンドに感じるでしょう。


・非真空管アンプ
やはりこちらの方が明らかに音がクリアで分離もいいです。アタックが重く感じたのは、こちらの方が音が高解像度故に高音域が分離良く出ていて、ソリッドで耳に刺激っぽい音だったからのようです。




・聖飢魔II 悪魔のメリークリスマス




・非真空管アンプ
やはりT5P 2ndは音の伸びやかな響きがとても美しいですね。それでいてヴォーカルは近くアタックはソリッドなので、聞いていて非常に楽しいヘッドホンです。

このヘッドホンは女性ヴォーカルが最強とよく言われるのですが、HR/HMなどでよく使われるブリッジミュートも得意なようです。ザクザク刻むブリッジミュートのリズム感が非常に伝わってきて、アタックの良質な刺激も相まって体が勝手に乗ってしまうような、美しくも楽しいサウンドを奏でています。


・TUBE-01J
こちらは上の2曲のように変な感じにならず、好みなサウンドです。響きが増幅され、1音1音の厚みが明らかに増しました。あとはヴォーカルの歯擦音の刺さりが少しマイルドになっています。


・非真空管アンプ
やはりこちらの方が全然クリアな音色です。ですが、音の伸びやかさやまろやかさはTUBE-01Jを挟んだ時の方が明らかに上でした。特にギターのブリッジミュートの音のパワー感が明らかに違います。
また、こちらは高解像度すぎて少し刺さるような印象もありますね。


・真空管アンプ
やはりどこかくぐもったようなサウンドなのですが、まろやかというか、レトロというか、とにかく音がマイルドで、厚みのあるサウンドと感じます。私はどちらかと言うとBAのIEMが好きなタイプなのでもう少し高解像度な方が好きですが、じっくりと聞くならこちらの方がマイルドで長く聞いていられると思います。



・義勇忍侠花吹雪



・非真空管アンプ
やはりとてもわかりやすい高解像度なサウンドです。尚且つこの曲ではドラムのアタックが少し丸めでベースも強めのバランスでMIXされているので、ずんずん響く低音の圧力感が気持ちいいですね。
ただ、ハイハットは抑え気味なので全く刺さらないのですが、それでもやはり高解像度すぎて鈴の音やヴォーカルの息の音が少し刺さり気味なような気がしました。



・TUBE-01J
刺さり気味な鈴の音が明らかに刺さらなくなっています。また、やはりドラムのアタックやベースの音が重くなりました。
音の輪郭が歪みにより幾分かボヤけるのでヴォーカルや楽器隊などそれぞれも分離は悪くなっているのですが、この曲では逆にそれがそれぞれの調和を測っており、全体的にマイルドで聞きやすいいい音に変化しています。これまでなかなかいい所のなかった真空管ですが、やっと本領を発揮できたようです。合う曲だとこういう変化をするんですね。



・非真空管アンプ
やはりソリッドで、高音域が固く刺さり気味です。全体域の分離もよくどう考えてもこちらの方が高解像度なのですが、今では真空管の音も魅力的と感じられます。真空管は高音域の細部が丸まるので、ヴォーカルのさ行とか、鈴の音や金物の鳴りが優しくなるためまろやかになります。その分音のメリハリというか全体域の分離の良さは弱まるので、一長一短、好みの差でしょうか。



・TUBE-01J
やはり全体的に音が厚くなり、高音域の刺さりが無くなり聞きやすいサウンドにます。
この曲では私はこちらの方が好みです。迫力も感じられ、尚且つ高音域の刺さりという押し出しては行けない部分を上手く丸められているので非常に聴きやすいです。



・非真空管アンプ
真空管の厚みのある音に慣れると、いくら音量を上げても物足りないような印象がするから不思議です。やはり高解像度過ぎて厚みが足りないのでしょうかね。
T5P 2ndは低音が少なめのヘッドホンなので、それもあると思いますが。



・TUBE-01J
やはりなんというか安心する音色です。私の拙い表現力ではどう書いていいのか分かりかねますが、明らかに変化、それも好ましいものがありますね。




・hide&attack



・TUBE-01J
この曲はシンセサイザーがなかなかに刺激的な音なのですが、まるで刺さりませんね。



・非真空管アンプ
やはり高音域がかなりジャリジャリしています。高解像度、分解能が高い。そういう表現もできるのですが、裏を返せばそれはデジタル臭いということになります。

またこの曲はレーベルがLantisなので、コンプレッサーが強めにかかっているためそもそもが平面的なデジタルっぽい音圧の高い曲です。なので、明らかに真空管を通した方が好みな音色です。
非真空管アンプは確かに高解像度なのですが、高音域がシャリシャリしていてヴォーカル帯域が美味しくなる部分まで音量を上げられませんし、上げると今度は刺さって一曲聞いただけで耳が疲弊してしまいます。



・TUBE-01J
やはり刺さる超高音域がスポイルされ、低音域の音像が太くなりどっしりとしたナチュラルな音色になります。明らかに私はこちらの方が好みです。
真空管というとアコースティック楽器に合うとか女性ヴォーカルに合うとか言われてるイメージですが、こういうデジタルシンセや超高音域をよく含む楽器をふんだんに使用した楽曲を聞きやすくする効果が私は高いと感じました。



・非真空管アンプ
重心が少し浮いたように軽く、また高音が結晶的すぎて刺さるような、聞き疲れしやすい薄いサウンドに感じます。音のメリハリや分解能とかはこちらの方が高いのでハイファイだとは思うのですが、聞いていて疲れそうな音色です。




・Lynch. Phoenix



・TUBE-01J
音の広がりが強くなり、アタックにも重さがあり迫力を感じられるサウンドです。




・非真空管アンプ
やはり、高解像度なのですがなんというか少し軽さが感じられます。この軽さが所謂デジタルっぽい響き、ということなのでしょうか。確かに繊細、かつ硬くソリッドすぎて不自然に聞こえるのかもしれません。



・TUBE-01J
やはり音が太く、重心がしっかりとしているように思えます。アタックがソリッドにそれほどせり出してこないので、聞いていて高音の鋭い音圧に耳が負けるということがないです。音に厚みを感じられるというのが私の表現力では限界なのですが、確かに大きく変化しています。






この高音域をスポイルして聞きやすくする特性はこのヘッドホンに会う気がしたので、ヘッドホンを変えてみます。

FOSTEX T60RPです。



・GOIN'!!! VR.Ver


・TUBE-01J
このヘッドホンは定位感と音の分離がやはり圧倒的ですね。この部分では定価の差が4倍以上のT5P 2ndをはるかに超えています。やはりコスパ最強ヘッドホンだと思いますね。

さて、真空管の効果ですが、やはり音に厚みが出て、歯擦音などが刺さりにくい聞き疲れしにくいサウンドになっていますね。マイルド、ナチュラル。そんな表現が適切かと



・非真空管アンプ
やはり明らかにこちらの方が音の分離と解像度は高いです。音の立ち上がりから減衰までが圧倒的に早く、全ての音が全く混ざらず耳まで届くような異質なサウンドです。ですが、音が固めなので長く聞いていると聞き疲れしそうです。

どちらも素晴らしいので、これはなかなか難しいですね。好みの差でしょうか。



・Lunatic show



・TUBE-01J
高音域が聞き疲れしにくい、ナチュラルかつマイルドなサウンドになっています。具体的に言うとこの曲はヘヴィメタルなのでハイハットをハイテンポでシャンシャン強めに叩くのですが、その音色が非真空管では硬く細めだったのに対し、こちらは柔らかく粒の形が丸まっうたなサウンドになっています。


非真空管アンプ
真空管アンプと比較すると、やはり少し広域が固めで刺さりそうな気がします。ただ、そこまで差は出ませんでした。



地獄の皇太子 BL.Ver


・TUBE-01J
明らかに中域の音に厚みが出ます。音源のマスターテープが1999年と古いのもあるでしょうが、これまでのように高音域がスポイルされるとかではなく、この音源ではまさに真空管らしいふくよかな響きが付与されるようです。



・非真空管アンプ
中低音域に厚みがないので、真空管と比較するとなんだか軽めのサウンドに感じてしまいます。特に違いが色濃く出るのがギターソロで、エース長官の伸びやかかつ艶やかなソロの良さをこちらは真空管ほど出せていません。どうやらベースの音色が痩せることで、ギターソロで露骨に音が痩せてそれゆえ受ける印象がかなり変化するようです。





暖かな音色、艶のある音色というより、調和が良くなり刺さらないナチュラルな不思議なサウンド


総評として、FX-AUDIO-TUBE-01Jの音の変化は曲によりけりですかね。めちゃくちゃ変わるものもあれば、ほぼ違いがわからないくらい変わらない曲もありました。また、その変化がいいものであることもあればむしろ悪い方向に行く曲もあります。一長一短、まさにオーディオという面白いアンプです。

特にあらかねの器やイケナイGO AHEADはあからさまに音が劣化するので金ドブかと思ってしまいました。
(逆の見方をすると、あからさまな変化があるということはオーディオ機器としてちゃんとまともな代物ということなのですが……)

逆に地獄の皇太子や義勇忍侠花吹雪、hide&attackなんかは音がかなりいい方向に変化しました。これくらい変化してくれると、値段を考えたら十分満足です。

ただ、確かに変化はあるもののそれは僅かな味付けというレベルで、明らかに激変するような大きいものでもないです。アンプの組み合わせにもよるのかもしれませんが、それこそYouTube MusicをAirPodsで聞いているようなオーディオに関心のない人が聞いてもすぐわかる、くらいの変化は無いと思います。



ただ、変化量が少ないということは裏を返せば自分が使ってるシステムに気軽に組み込みやすいということでもあります。
(最終段のアナログアンプの音色をキープしてくれるので、今の音が好きだから極端には変えたくないけどもう少しマイルドな音にしたい、なんて要望にはベストマッチかと)

また単純に真空管なので見た目がすごく綺麗です。下から淡い黄色のランプが光り、フィラメントが赤く光ります。やはりインテリアとしても最適だと思いますし、所有欲もかなり満たしてくれますね。




真空管の交換で音質をカスタマイズ。6J1P、6K4、5654Wなど


私はイヤホンやヘッドホンをいくつか購入して気分で使い分けている傍ら、アンプはずっと一貫してmicro idsd BLを使用しています。

これはそもそも私が貧乏なのでアンプにまで回すお金が無いというものありますが、それ以上に私はDAPというかアンプの音質差にはそこまで興味が無く、上流にお金をかける気があまりないからです。
(それなりに高出力なアンプを一台所有しているなら、その後DAPやアンプを買い足すのは新しイヤホン・ヘッドホンを買うよりコスパが悪いので)

しかし、相性というものももちろんあるので、イヤホンやヘッドホンによっては音色をもう少し変えたくなることもあるでしょう。

そういう時にこの真空管プリアンプの出番です。真空管アンプは真空管というそれなりに安価な製品を付け替えるだけで音色に差をつけられるので、DAPやアンプを複数台購入するより圧倒的に安くオーディオの音色の変化を楽しむことができます。私がこの真空管プリアンプを購入した最大の理由がこれです。

アンプ自体も勢いで買える程度には安いですし、所謂プア・オーディオにもってこいな製品だったという訳ですね。オペアンプの差し替えとかイヤーピースの変更とかそういうのにも似た部分があります。

だいたいAmazonで買える互換の真空管でポピュラーなのはこのあたりだそうです。気が乗ったら色々買ってみたいと思います。とりあえずは評判のいいロシア製の6J1Pオールドストック品ですかね。









PCから接続している人はUSB-DACを試してみるといいかも


因みに同社からmicro iDAC2みたいなライン出力専用のUSB DACが3~5000円くらいで売っているので、PCのイヤホンジャックやスマホから接続しようとしてる人はそれを買ってみるのも面白いかもしれません。

真空管の音は歪みによるものなのでD/A変換の質と言うよりは、単純に高周波によるホワイトノイズの流れ込みを防止するためです。スマホはほとんど無いのですが、PCのホワイトノイズはものによってはかなり酷いので……

ただDACチップってそもそもがそれなりに高かったと記憶しているので(チップ単体の値段などESSのものくらいしか調べたことは無いので適当ですけれど)、果たしてこんな値段で高音質な代物を作れるのかどうかは疑問ですが、ノートPCのサウンドカードとかよりはかなりマシなはずです。

価格:2990円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)






RCAケーブルをMOGAMI 2534に変えたい



価格:1970円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)
今回は適当に勢いで買ったのでAmazonで見つけたお手ごろな短いケーブルと手持ちのRCAケーブルを使っていますが、しばらくしたらRCAケーブルをMOGAMI 2534のRCAケーブルに入れ替えたいと思います。ペアでメートル2000円ほどのお手ごろなケーブルです。

ケーブルによる音質差とかそういうのは正直どうでもいいのですが、単純に見た目がこちらの方が好みなので。ifiの付属ケーブルはやたらカラフルでポップなデザインなので、シックな見た目のオーディオ機器にはあんまり似つかわしくなくぶっちゃけ使いたくはないんですよね。ほぼ見えない部分ではあるのですが、やっぱり少しだけ気になります。

ifiの商品はどれも見た目が非常にシンプルなのに、ケーブルだけはなぜかピカピカ光るゲーミングPCに似合いそうな色のケーブルです。正直かなり目立ちます。

その点MOGAMI 2534はシンプルですからケーブルの主張も無くなるでしょう。まあ上にも書いたように前面からケーブルはほとんど見えないので今のままでもいいんですけどね。





追記。低中音域の厚みが増し高音が柔らかくなる重いサウンドになる


記事投稿後になんとなくFOSTEX T60RPでLynch.のアルバム「ULTIMA」を聞いてみたのですが、やはりこのアンプは中低音域が分厚くなり高音域が柔らかくなるようです。そして、このアルバムの曲は全編通して上で比較したような曲達よりもかなり良好な変化を得られたので追記しておきます。比較対象はHP-A4BLのバランス接続です。




まず、簡潔に言うとこの真空管プリアンプを通すと音がより濃く、重くなります。高解像度でスッキリしたクリアな音からは離れ、低音の迫力やアタックのパンチに圧倒されるような、大迫力のサウンドに変化します。

音色の変化としてはやはり高音域がスポイルされ、低音域が膨らみます。それによりスネアやシンバルのアタックやヴォーカルの歯擦音など高音域のシャリっとした成分、いわゆる刺さるとか感じられる類の音が収まります。

またベース帯域やギターの低音など竿物の音がなかなかに重厚になっています。他にもバスドラムのアタックもとても重くなるので、なんというかifi audioのXBassを使った時と同じような印象を受けます。
バスドラムのアタックに関しては、低音の音色の変化と言うよりは聞こえないような超低音が付加されることで重さが出ている感じです。

比較すると、HP-A4BL単体では非常に軽いというか、やたらとシャリっとした音に聞こえてしまいます。高音域はしっかりと出ていて高解像度でクリアな音だとは思うのですが、どうもパンチがなく乾きすぎたようなギラついたサウンドです。

私の個人的な好みとして、あまりに高音がギラギラと強すぎたり、低音域の重さが不足していると歯擦音とか瞬間的なアタックがいちいち耳に刺さるので、歪みっぽいとかトゲトゲしてる聞き疲れしそうな音だと感じてしまいます。
(実際に歪んでいるかどうかは置いておいて)

この真空管プリアンプは低音が強くなるのと同時にジャリジャリとした結晶的な音が柔らかくなるので、非常に大迫力ながら聞き疲れしないような、言うなれば重たいサウンドになります。好みの問題はもちろんあるでしょうけど、私はある程度聞いてからHP-A4BL単体に切り替えると音が軽すぎて違和感が半端ないです。

勿論この構成ではHP-A4BLはLINE出力のDACとして用いているだけで、最終段のアナログアンプはmicro idsd BLです。なので、その違いが音に出ているだけでは?となるかもしれません。

ただ、過去にHP-A4BLのバランス接続とmicro idsd BLのアンバランス接続を聴き比べた際はHP-A4BLの方が好みでしたし、また尚且つ素のmicro idsd BLはこんな重たく丸いサウンドのアンプではありません。
(素のmicro idsd BLならXBassを通すことでやっとこのような重い音色になります)

なので、やはり真空管アンプの特性がかなり関与しているのは間違いないでしょう。

この項目での評価はT60RPでアルバム1枚聞いた程度の感想に過ぎないので、全ての音源がこのような良い変化をするとは限りません。
(それこそ、T5P 2ndとあらかねの器だと逆に劣化してしまっていましたし)

ただ、この値段でこれだけの音質の向上を実感できるのは感動的と言っていいでしょう。個人的に、このアンプはある程度の環境を持っているオーディオマニアの人にはとりあえず買っておけ、と言えるくらいの代物だと思います。





FX-AUDIOは格安版ifi audioのような存在。私の中の印象はかなり良い高コスパなおすすめメーカー。初心者にオススメ


FX-AUDIOは、プリメインアンプ、DAC、ポタアンやラインアッテネータ、ACアダプタ用ノイズフィルターなど色んな製品をとにかく安く販売しています。なんというか、オーディオガジェットをたくさん販売しているifi audioに似ている部分があると思いました。

(↓個人的に初見でクソ笑った商品画像のPetit Tank)

違う点としては、ifiの方はヘッドホンオーディオに力を入れているがFX-AUDIOはスピーカー用製品が多いこと。そして比較してアンプやDACなどの値段がとにかく安い事です。

ifi audioはイギリスの高級オーディオメーカーAMRのジュニアブランドなので、例えばnano idsd BLやZEN DACなどのかなり安いモデルでも数万円はしますし、高いものだとmicro idsd signatureやNEO idsdなどの10万円前後のポタオデハイエンドクラス、さらにその上には27万円のアナログアンプPro iCANや40万円を超えるオールインワン複合機のPro idsdなんかもあります。

対するFX-AUDIOはメインの価格帯は4000~7000円と非常に安価で、最高級モデルのUSB DAC付きプリメインアンプでも15000円程度と非常にリーズナブルです。
それで音も良く、また日本の管理する中華オーディオメーカーということから話題になっており、AV watchなんかのサイトにもしっかりしたレビュー記事が乗ってたりします。また技術力もあるようで、メーカーがオペアンプの交換を公式ブログで提案したりコンデンサ類などのアップグレードについて語ったりしている面白いメーカーです。

プアポタデマニアを自称する私としては多少毛色の違うメーカーではあるのですが、それでもこのメーカーは非常に魅力的だと感じました。特に5000円で手に入るアナログポタアンPH-01Jや7000円の真空管ヘッドホンアンプTUBE-02Jなんかはかなり魅力的で、Fiio Q1MK2やiBasso DCシリーズ、ifi hip-dacなんかと並べてポータブルオーディオ初心者の人に気軽におすすめできる激安高コスパモデルだと思いました。


価格:6980円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)


価格:4580円
(価格は2021年3月10日 午前0時00分の情報です)

とりあえずこの真空管プリアンプは安価ながらなかなかにいいものなので、既にそれなりの環境を持っている人にはいつもと違う味付けを楽しむために購入してみることをおすすめします。TUBE-02Jという真空管ヘッドホンアンプというオールインワンモデルもあるので、まだアンプを所有していない人にはそちらもオススメです。

以上です。



KBEAR KS1をレビュー。ダイナミック一機の小細工無し中華イヤホンの音質は如何に

※「Easy Earphones」様より提供頂きました。ありがとうございます。なんというか、ついに私もここまで来たかという気がしますね。ブログを始めた当初から提供というものに憧れを抱いていたので、今回初めての機会を提供して頂けたEasy Earphones様に深く感謝致します。さて、まずEasy Earphonesが何かという話から入りますが、こちらはイヤホンのメーカーとかそういう訳ではなく、KZ(Knowledge Zenith)やCCAなどのいわゆる中華イヤ...


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