FX-AUDIO TUBE-01J ロシア製互換真空管6J1P 標準球6J1と交換してレビュー
スポンサーリンク

格安中華真空管プリアンプ FX-AUDIO- TUBE-01J。
リンク
購入して最初の方はあまり良さが分からなかったものの、組み合わせを変えたりして使い続けているうちにその特性と良さを理解して今ではかなり愛用しています。
真空管アンプというと、真空管を差し替えることによる音の違いを楽しむ球転がしなんていうのがマニアの間では常識のように行われています。
というわけで私も評判のいいロシア製真空管「6J1P」を購入して、標準球の中国製真空管 6J1と聴き比べてみました。
リンク
とりあえずは新品というか軍用のオールドストック品なので、5時間ほど通電して音楽を鳴らし続けておきました。意味があるかは分かりませんが……
ちなみにヒーターの電源を入れておくだけの行為はエージングにはならず、むしろ真空管に悪影響を与えるようです。ちゃんと音楽信号を流してあげましょう。
真空管は音の立ち上がりが遅い(通電後ある程度の時間が経たないと音が安定しない)、なんてことが言われてたりしますが、今回はもうそういうのは考えず割とガチャガチャ抜き差しして聴き比べてみた結果となります。なので本来の力は出し切れていないのかもしれませんが、充分いい音ですし系統の違いを認識出来ればまあそれで十分かな、なんて思っています。
注意として、真空管を抜き差しする場合電源は必ず落としてください。本来こういうのは頻繁に抜き差しするものでもないので何があるかも分かりませんからね。
真空管は安い。なのに音が変わるコスパ最高のアイテム
6J1Pの相場はだいたい一本4~500円程度です。プリアンプに使うとなると2本必要なので、セットで1000円程度で販売されていますね。
リンク
この価格で音の違い、それも微妙なものではなくかなりの変化を楽しめるというのは、オーディオアイテムとしてはかなりコスパがいいのでは?と思います。
イヤーピースに数千円、ケーブルに数万円出すのが普通な今の時代の感覚に慣れてると、こんなものが一本数百円で買えていいものなのか?なんて思ってしまいますね。
リンク
北京6J1VSロシア6J1P
それではとりあえず手持ちの北京6J1と聴き比べてみましょう。構成はいつもの通りPCからUSB接続したHP-A4BLをDACにし、ライン出力でTUBE-01Jに接続、そこからライン出力でアナログアンプのMicro idsd BLに接続しました。

ヘッドホンはFOSTEX T60RPを使用しました。
Lynch. ULTIMA& XERO
・6J1P
アタックの鋭さが上がりましたが、沈み込むよう重い低音は無くなりスッキリとした高解像度でソリッドな印象になりました。
これはこれで切れ味の鋭い音でなかなかいいと思います。
ただ、正直なところ少しヴォーカル帯域が埋もれているような気がしないでもないです。
ヴォーカルの輪郭が掴みにくいというか、高音がかなり出ているのでそれにマスクされていると言うのが正しいでしょうか。
6J1と比較すると歯擦音なんかも目立つようになってるので、割とギラついたサウンドだと思います。高解像度でキラキラした音と表現するのが分かりやすいでしょうか。
Lynch.のような重たいヘヴィな音楽を聞く場合、私は6J1の方が好みですかね。
・6J1
やはり6J1の方が私は好みですね。高音域がそれほどぎらついておらず、沈み込むような重たいアタックと、それほど主張せず奥の方で鳴っている高音のバランスが気持ちいいです
・6J1P
やはり高音域がかなり細かく、また鋭く主張よく出ています。それ故に6J1では感じない刺さりのようなものも感じます。Lynch.を聞く限りだと多少シャリついているというか、切れ味が良すぎてあまり好みではないですね。
義勇忍侠花吹雪
・6J1P
やはり高音域が強めに出るんですね。真空管なのでアタックなどの丸みは出ておりそこまでギラギラしすぎて耳障りということは無いですが、やはり高音域の主張が強いサウンドです。
・6J1
やはりこちらの方が私は好みです。高音域の主張はそれほどでもなく、低音のアタックが重く、そしてヴォーカルが明瞭です。私がそもそも高音を押し出したタイプの音が好みではないというのもあると思いますが……
Max beat
6J1
やはり低域のアタックが重くて、私好みの音色です。開放的なのに重く、また定位の良さと分離が圧倒的。ただ、やはり低域寄りのではありますね。高音の主張は控えめです。
・6J1P
ここまでの曲はなんだかあまりいい評価にならないので、高音が高解像度で、切れ味がいいというこの真空管の特性を考えて合いそうな曲を選びました。結果はドンピシャです。既に明瞭すぎるくらいクリアだった音が更にカラッとしました。また、この曲ではヴォーカルも非常に鮮明です。
さらに特筆すべきはサビのヴァイオリンの音色の伸びやかな美しさでしょう。その部分だけでも鳥肌が経つほどに素晴らしいです。
アタックは相変わらず切れ味が良いのですが、真空管ゆえの丸さというか、JH Audio的な輪郭のはっきりした粒の塊のような感じがあります。
この曲では正直なところ6J1Pの圧勝です。ヴァイオリンやピアノの音色があまりにも美しすぎますね。こういう発見があるからオーディオは止められません。
・6J1
やはり6J1Pと比較すると少し籠ったような印象を受けます。温かみのある音ではあるのですが、6J1Pのヴァイオリンの美しさを聞いたあとだとやはりかなり見劣りしますね。
葉月 Phoenix
・6J1
ティンパニの音やピアノの音がとにかく重いです。やはり音の厚みに圧倒されます。空間がビリビリ震えているような感覚を耳で味わっているようです。
・6J1P
非常にスッキリした鳴り方です。ヴァイオリンは相変わらず綺麗ではあるのですが、この曲ではそこまで高い音ではないので良さが生かしきれていないようです。6J1の方が圧倒するような音の厚みがあり、私はそちらの方が好みでした。
高解像度でスッキリとした、高音がかなり綺麗なサウンド
共存世界の存在論
この6J1Pはいわゆる「聞こえなかった音が聞こえる」系のサウンドだと感じました。高音域を綺麗に押し出してくれるスッキリしたサウンドなので、楽曲内の微細な音に気付きやすくなるでしょう。
比較すると6J1Pはかなり高解像度でスッキリした音色で、特に高音域の微細な音を非常に細かく描写して押し出してくるので、6J1では気付けなかった微細な音がどんどん耳に入ってきて楽しいです。対して6J1は低音域が分厚く沈み込むようになり、高音域はそこまでギラギラと描写しない、真空管と言われて想像するような聞きやすく落ち着いた音色で、尚且つ非常にパワーがあるのでロックなどを聞くにはピッタリでしょう。
音の系統がまるで違うので、使い分けるのは容易だと思います。太くどっしりとした6J1、高解像度で切れ味のいい6J1Pという感じです。
真空管の足、ピンはすぐ曲がる。曲がり矯正用のラジオペンチを用意しておくべきかも
個人的に思ったのは、真空管の足ピンはかなり柔らかく、とても曲がりやすいです。百均のものでもいいので、ラジオペンチかなんかを用意した方がいいと思いました。差し替える度にピンが曲がるので、そのうち金属疲労で折れそうです。明らかに曲がってるピンをそのまま刺したら確実にヤバいので、ある程度刺す前に自分で調整が必要です。
聴き比べの際1度だけ真空管を指しているのに音が出ないと思ったら、ピンが1本だけソケットに刺さらずあらぬ方向に曲がっており通電できていませんでした。当然フィラメントも光りません。こういうこともあるので注意してください。
7ピン真空管を刺すのにはコツが必要です。いきなり差し込むのではなく、全ての足がソケットに上手く噛み合った時に上から押す感じで刺すといいでしょう。刺さり方もかなり曖昧というか、完全に差し込んでもグラグラしますがちゃんと通電できていればそれでOKです。にしてもイヤホンジャックとかRCAと比較するとかなり不安定かつ危うい端子だと思います。その辺はやはりローテクですね。
あと、真空管は素手で触るな、というのがオーディオ界隈の常識らしいですが、私が今回購入した6J1Pのオールドストックや6J1は比較的新しい世代の真空管かつ、私が使ってるのはプリアンプなので発熱量も少ないです。なので素手で触っても問題ないと思います。
私も最初は手袋をしてましたが、聴き比べの後半はもう面倒くさくなって素手で抜き差しして、後で指紋だけ拭けばいいやって感じで取り扱いました。ヴィンテージの高級真空管や発熱するパワーアンプの真空管などは勿論素手厳禁なので注意ですよ。あとはYouTubeとかTwitterだと叩かれるので注意です。
かるーくスルーしましょう。
— しきそくぜくう(仮) (@barutan4444) September 12, 2018
と、いうよりもネタにしているだけで、気持的にはスルーしてるんでしょうけど。
たぶんガラスの質によるもので、昔は皮脂と熱で割れたことがあったんでしょうけど、それで割れたなんて聞いたことがない。
まぁ、直接さわらない方がいいんでようけどね。
真空管ラインアンプとヘッドホンアンプの相性はバツグン。FX-AUDIO TUBE-01Jはかなりオススメ
ヘッドホンというのはイヤーパッド内が完成されたリスニングルームとなるので、スピーカーリスニングと違って些細な音の変化を感じやすく、またその変化は常に一定です。なので、真空管による違いが非常に色濃く出ます。
この真空管ラインアンプは本来スピーカーのパワーアンプに繋ぐものですが、ヘッドホンアンプの上に繋いで味付けとして使うのもかなりオススメです。一本数百円の安価な真空管を差し替えるだけでかなりの音の差を楽しめるので、高価なアンプを何台も購入する必要がなくなりますし、音の差を求めてケーブルに何万円も出すよりよっぽど有意義だと思います。とても素晴らしいです。
とりあえずはメジャーなところの真空管を全部揃えたくなりましたね。こんなやっすいガラス管ごときでここまで音が変化してくれるとは思ってなかったので、物欲がMAXです。この記事を書いている途中にもAmazonで別の真空管と真空管スタンドを我慢できず買ってしまいました。嬉しい悲鳴です。
リンク
というわけで、今回はこんなところで締めるとしましょうか。
それでは、以上です。
- 関連記事
-
-
オーオタへ。何買ったってイヤホンスパイラルは止まらないからもう新しいの買うのはやめとけ 2020/11/26
-
音質、スペック共に最強クラスのポタアン、ifi audio micro idsd Black Labelを購入したのでnano idsd BLと比較レビュー 2020/10/26
-
ALO audio Tinsel Earphone Cableの音質レビュー。高純度銀メッキ銅リケーブル 2021/08/26
-
フラットでモニターライクな中華イヤホン、KBEAR Larkの音質をレビュー 2021/12/29
-
TRN STMの音質をレビュー。フィルター交換で音質を変えられるモニターライクな中華イヤホン 2021/12/21
-
ヘッドホンアンプは意味ない?ポタアンをアナログ接続してイヤホンの音質への効果を確かめてみた 2021/06/10
-
AUXケーブルの音質の違いは?安いミニミニケーブルとWoodhifi LCSTを比較レビュー。音は変わるのか 2022/01/13
-
重低音が強くなる?セリアの低音域が聞こえやすいイヤーピース「DEEP SOUND」をレビュー 2021/09/12
-
iFI-Audio xDSD Gryphonの音質をレビュー。micro idsd BLとの比較 2022/03/05
-
AUGLAMOUR(オーグラマー)F300のレビュー。リケーブル可能なミドルクラス中華イヤホン 2021/09/13
-
スポンサーリンク