Campfire Audio ANDROMEDA 2020【CAM-5492】レビュー。他のイヤホンとの違いはシルキーな高音域

♨の人

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今回は、新たに購入したイヤホン、Campfire Audio ANDROMEDA 2020【CAM-5492】のレビューです。






アンドロメダと私。ANDROMEDA 2020との出会い


私がこのANDROMEDA 2020に出会ったのは、過去にeイヤホンにて新たなる私の愛機を見つけるため片っ端から高級イヤホンを試聴していた際です。



その頃は私はそこそこの数のイヤホン・ヘッドホンを所有していましたから、大抵のイヤホンは確かに音はいいもののまあこんなものか、という印象の中、強烈に欲しいと思ったイヤホンが2つありました。それがEMPIRE EARSのLegend Xと、このANDROMEDA 2020です。

そして未体験の深い低音に魅せられたLegend Xとは違い、ANDROMEDA 2020は「このイヤホンでしか感じられない音色」を持っていました。それがこのイヤホンを選んだ購入の決め手です。







外観、外箱など



外箱はこんな感じです。高級イヤホンにしては結構コンパクトで、サイズ的にはCDケースほどしかありません。


コルクのような質感のポーチの中に、本体が収納されています。


旧モデルANDROMEDAはアルマイト加工のみだったのですが、マイナーチェンジ版から引き続きANDROMEDA 2020もアルマイト加工にCKというセラミックコーティングを施したものになっています。塗装と違いアルマイト加工は酸化皮膜なので塗装剥がれなどが起こりませんし、酸化アルミニウムの硬度も高いので傷などには強いです。そこに更にセラミックコーティングが施されているので、一応カバーも売っていますが持ち運びなどをしないのであれば必要性はあまり感じません。



付属品はこんな感じです。Final Eタイプイヤーピースが標準で付属されており、それとは別にコンプライのようなウレタンフォームイヤーピース、そして標準イヤーピースが専用のケースに入って付属しています。


ノズル部分はステンレススチールで、これは過去のマイナーチェンジされたANDROMEDAと同じです。

旧モデルのANDROMEDAとの違いとして、ノズル部分の穴が3ウェイからグリルに変更されています。中古のANDROMEDAなどを購入する際はこの部分で見分けが簡単につきます。


ドライバー構成は5BAで、Low x2, Mid x1, High x2です。

周波数特性は10Hz~28kHz、インピーダンス12.8Ω。あとはMMCXコネクタがベリリウム銅で加工されています。

付属ケーブルはSmoky Litz Cableという名前で、銀メッキ銅ケーブルです。取り回しはしなやかで良好です。



アコースティックチャンバーなどの内部パーツを単一のパーツで成型した新構造「ソリッドボディ設計」を採用
ソリッドボディ設計はそれぞれのドライバーに最適化されたアコースティックチャンバーやアコースティックチューブなどの内部パーツを3Dプリンターで一つのパーツとして成型したまったく新しい構造をしています。このソリッドボディ設計によりパーツを少なくすることで、イヤホンのチューニングを細かく制御できるほか、可動部品が少なくなることで、耐久性が向上しました。


https://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Campfire+Audio&cell003=ANDROMEDA+2020&id=64より引用
旧モデルとの違いとして、アコースティックチャンバーなどの内部パーツを単一のパーツで成型した新構造、ソリッドボディ設計を採用している事が挙げられます。

アコースティックチャンバーなどを3Dプリンターでひとつのパーツとして成型しており、これによりチューニングを細かくし、さらに本体の剛性も向上しているとの事です。




Tuned Acoustic Expansion Chamber(T.A.E.C)
特許出願中の独自技術「Tuned Acoustic Expansion Chamber (T.A.E.C)」は、従来までのイヤホン設計、つまりは、ドライバーに音導管(サウンドチューブ)を使用することでサウンドチューニングや音の伝達を行ってきたイヤホン設計とは全く異なる、音導管の代わりとして3Dプリンターで精密に形成した「アコースティックチャンバー(空気室)」を使用し、サウンドチューニングや音の伝達を行う新技術です。音導管を使用しないイヤホン設計を可能にしたことで、音導管内部で起こる音の共鳴など、音に対して雑味の原因となる問題を排除し、高域の周波数特性を改善。ドライバーが本来の持つサウンドを、より正確に伝達可能とします。


https://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Campfire+Audio&cell003=ANDROMEDA+2020&id=64より引用
また、ANDROMEDAには特許出願中の独自技術「Tuned Acoustic Expansion Chamber (T.A.E.C)」が採用されています。

これは音導管を使用しないという今では珍しくもない設計なのですが、やはり音導管を使用していないイヤホンといえば?と問われるとANDROMEDAが一番に思い浮かびますね。

音導管を使用しないことで、高音域の共鳴による不要なクセを排除しているそうです。この技術がどのくらい音に影響しているかは定かではありませんが、確かにANDROMEDA 2020の高域はとても癖のないマイルドなサウンドです。





装着感は良好。本体が小さいので女性にもオススメ


ANDROMEDA 2020の装着感は非常に良好です。角張ったボディではありますが、全く耳が痛くなるようなこともありません。

ノズル部分が太く短いため、耳に無理やりねじ込むと言うよりはスッと軽く装着するような感じです。一度定位置に収めてしまえば、あとはShureのIEMのように完全に耳の中で固定されます。

また、所謂Shure掛けするタイプのイヤホンなのですが、ANDROMEDA 2020の耳かけ部分は中華イヤホンなどと同じような柔らかい形状記憶チューブになっているので、非常に上手く耳にフィットします。また、付属ケーブルが細くしなやかなのでストレスも感じにくいと思います。







音質レビュー。高音域が煌びやかかつシルキーで、中音域の密度も高いリスニングイヤホン


それでは、音質のレビューに入っていきたいと思います。

アンプはいつもの通りmicro idsd BLを使用しました。


ところで、このイヤホンはかなり能率が高いことで有名なイヤホンなので、micro idsd BLのECOモードですらいつもよりかなり音量を下げなければなりませんでした。ECOモードは6Vp-pとAK DAP程度の出力なのですが、それでもLaylaやRosie、AONIC4など私の他の所有機より敏感に駆動しています。

またバックグラウンドノイズにも過敏なようで、ECOモードですら音楽を再生していないとホワイトノイズが軽く走ります。インピーダンスはAONIC4より高い12.8Ωですが、最低は5Ωでしかもそれが500hz辺りまで真っ直ぐ続きます。鳴らしやすいようで鳴らしにくいイヤホンの代名詞として扱われるのはこういう所から来ているのでしょう。

一応micro idsd BLにはIEMatchというノイズガードアッテネータが搭載されているのですが、出力インピーダンスが悪化するため使うのは嫌なので、今回はスマホ側の音量を下げて使用しました。アプリによっては外部DACを接続すると最大音量に固定されてしまうので、その辺は相性問題があります。例えばOnkyo HF PlayerやSony Music centerなどは最大音量固定です。




Lynch. LIGHTNING


やはり、このイヤホンの音はかなり特殊だと感じます。具体的には、高音域に硬さがまるでなく、どれだけ音量を上げようが高音域が耳に刺さるということがありません。

このイヤホンでしか出せない音色と上で語ったのは、この高音を刺しています。よくイヤホンのレビューでは高音が煌びやかという表現を見ますが、大抵のイヤホンは確かに煌びやかでもそれと同時に硬質な刺さりの成分を持っているものです。

しかし、このANDROMEDA 2020の高音はその常識から外れており、決して硬さを感じさせない、言わば絹糸のような柔らかい高音を持っています。シルキーと表現するのが適切かもしれません。どれだけ音量を上げようと、刺さりの成分の片鱗さえ見せません。

Final A8000、FOSTEX T60RPの異質な空間の透明感や、IE800Sの飛び抜けた開放的な音場。そういう代替の効かない「このイヤホンでしか味わえない音」がANDROMEDA 2020にはあるのです。

音のバランスとしては非常にイヤホン的な、中音域にバランスを置いたスケール感が手に取るようにわかる感じのレンジの狭い音なのですが、それがこのイヤホンの聞きやすさを演出しているのだと思います。ヴォーカル帯域、高音域、そして低音域。全てが手に取るように見通せ、さらに上で語ったような特異な高音域により、密度は高いのにまるで不快感のないスッキリとしたリスニングが可能です。


同じ曲をLayla Universal fit(リケーブル済み)で聞いてみると、ここまでアプローチが違うものかと驚愕させられます。

まず、Layla Universal fitは音が硬質で、どこまでも広がるような音場があり、それでいて全てを描写する解像感を持ち合わせていて奥を見ればどこまでも追って行けるような空間表現があります。しかし、それ故にANDROMEDA 2020と比較するとヴォーカルの近さ等はあまり感じにくいです。あくまでも一歩引いたようなリスニングです。

また、高音域の質感が硬質なので、音に丸みのあるANDROMEDA 2020と比較すると、所謂高級イヤホンにありがちな「高解像度すぎて疲れる」という影響が出てきます。

特にLaylaは音の密度がとても高く、どの帯域も余すことなく描写するイヤホンなので、ANDROMEDA 2020と比較すると音があまりにも広範囲に散りばめられすぎており慣れるまで耳が圧倒されてしまいます。

ぱっと聴きでも良さがわかりやすいのが、ANDROMEDAをここまでの名機たらしめた所以なのかもしれません。




・聖飢魔II GOBLIN'S SCALE

聖飢魔Ⅱ 「GOBLIN'S SCALE」

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やはり、高音域が非常に丁寧に仕上げられていると感じます。具体的には人が刺さると感じる、不快な成分のみを高レベルで制動しており、音にシャリシャリ感をまるで感じさせない、それでいて分解能の高い非常に煌びやかな高音域を実現しています。

同じ曲をLayla Universal fitで聞くと、やはりかなり音が硬質で刺さりを感じるのに気づきます。モニターライクと言えばそうなのかもしれませんが、同じ音圧で聞いた場合かなり高音域が激しく耳が疲れます。


これは同じくモニターライクなFOSTEX T60RPでも同じで、やはり全ての帯域が硬質で刺さりを強く感じます。高解像度と言えば聞こえは良いですが、リスニングにこの音が適しているかと言うと私的にはANDROMEDA 2020の方が適していると感じます。

ではリスニングヘッドホンならANDROMEDA 2020と同じ音なのか?と言うとそういう訳ではありません。


beyerdynamic T5P 2ndと比較すると、似ている部分は感じられますがやはり高音に硬さを感じます。このヘッドホンも高音域が煌びやかなのですが、音圧の高いポピュラー音楽などを聞く場合、ANDROMEDA 2020の特殊な高音の方が非常に上手くマッチすると感じます。



・Lynch. IDOL


高音域が綺麗というのが1番のアピールポイントとして語られるANDROMEDA。なら低音は出ないのか?というと、全くそんなことはありません。

具体的には、重低音らしい重低音は微塵も出ていないのですが、ベースラインあたりの中低音域は非常に高い密度で出ています。なので、このようなハードなラウドロックであっても決して迫力不足を感じません。それでいて高音域は非常に繊細に出ており、やはりこの音は唯一無二だと感じます。


JH Audio Rosie(低音1時)と比較すると、音のバランスは結構似通っていることに気付きます。同じく高音が刺さらず、表現が直接的で濃密です。

ただ、Rosieはアタックの質感が硬質で、高音域もLayla譲りの硬質さを持っています。それを非常に重い低音で覆い隠しているというのがANDROMEDA 2020との違いです。

ANDROMEDA 2020はふわっと広がるようなアタックで、Rosieほど直接的な表現ではありません。アタックが耳に到着する瞬間から、柔らかく霧のように拡散していきます。

また、ANDROMEDA 2020はドラムのスナッピーの音色がかなり押し出されており、やはり高音域の表現能力が1枚上手だと感じます。音導管を使用しない設計がどれだけ影響しているのかは分かりませんが、ここまで高音域を制動できたイヤホンというのを私は他に知りません。




・義勇忍侠花吹雪

ではアニメソングはどうなのか?というと、やはりこれは相性が抜群にいいです。アニソン好きにANDROMEDAが人気なのも頷けます。

決して刺さることの無い高音域と、密度が高く近い中音域。ヴォーカル帯域を余すことなく聞き取れます。

また、この曲ではANDROMEDA 2020はベースラインが非常に聞き取りやすいことに気が付きます。重低音らしい重低音を控えめにすることで、相対的にベースの音色が手に取るように聞き取れます。アタックが緩いことも影響しているようです。

Rosieと比較すると、ベースラインはこちらも非常に聞き取りやすいのですが、重低音が出ているので音の線が太くなっています。これは好みの問題でしょうが、低音域が出ていることとベースラインが聞き取りやすいということは別です。

また、やはりJH AudioのIEMはアタックが硬質かつソリッドなことが特徴的です。どれだけ低音を盛ったとしてもアタックの質感に影響が出ることはなく、ソリッドで締まった低音を維持してくれます。ただ低音をバカバカ出すだけなら簡単ですが、そのような音は全ての音が混じってしまい濃いと言うよりはよく分からないレンジの狭い音になってしまいます。
その辺の調整がJH Audioは非常に上手で、これがロック好きに愛され、尚且つ音が濃いということに貢献しているのでしょう。





・NOCTURNAL BLOODLUST REM


高音域が綺麗、中音域が凄い。低音域は控えめながらしっかり出ている。ANDROMEDAのレビューというと、そういうものが多いです。

ただ、重低音は確かに出ていないもののベースラインがしっかりとしているので意外とメタルコア・デスコアも聞けます。

流石にこのレベルまで音圧が高くなるとLaylaやRosieなどの表現力には劣りますが、持ち前の高音の制動性、そして中音域の密度が相まってなかなかにクオリティの高い音を奏でてくれます。
こういう音楽はただ高音域が綺麗なだけでは表現出来ないので、これもANDROMEDA 2020の個性の強さが現れていますね。

ただ、流石に少々無理している感が否めないので、こういう音楽を聴くのなら私はRosieや純正ケーブルのLaylaを使用すると思います。






総評。非常によく出来た、名機の貫禄を感じるイヤホン



・高音域
これは素晴らしいの一言です。まるで刺さらないシルキーな高音は圧巻の一言。また分解能、解像度も申し分なく、高音域に関してはもっと上の何十万円もするようなイヤホンにもまるで劣りません。一聴するだけで心を掴まれる人が多いのも納得です。


・中音域
中音域も素晴らしいの一言です。ヴォーカル帯域が非常に生っぽく伸びやかな響きで、音の密度が濃いもかかわらずまるで詰まったような印象を受けません。高音と同じくらい中音域も評価が高いのも頷けます。


・低音域
低音域に関しては量感は申し分ないですが、重低音らしい重低音は出ていません。そのため、デスコアなどの高音圧な音源を聞く場合は少し物足りないかもしれません。ただ、普通の音楽を聴く限りでは全く不足は感じません。また、ベースラインの解像度に関してはこれもまた1級品です。

アタック感に関してはそこまで主張は激しくなく、キックなどは柔らかく包み込むようなマイルドな質感なので、この辺は好みが別れると思います。



・音場
音場は広くはありません。一般的なイヤホンと同じくらいのスケール感です。定位感もそこまでビッタリと描写するような感覚ではなく、程よくミックスされた出音が耳まで到達するという感覚です。

よく言えば非常に聞き取りやすく近い、悪く言えばスケール感が不足している音色です。ヘッドホン的な鳴り方を求めるのであればもっと別のイヤホンの方が適していると感じます。










旧モデルANDROMEDAとの違い



ANDROMEDAの旧モデルCAM-4808は、新モデルのCAM-5492と比較した場合、旧モデルの方が高音域がもっと煌びやかで、逆に新モデルは何処か小綺麗に整ったサウンドになっているようです。これに異論を唱える旧モデルユーザーも多いようです。

これはソリッドボディ設計が影響しているようで、過去のANDROMEDAはアルミハウジング由来の共鳴がさらなる高音域の煌びやかさを演出していたようです。いわゆる金属的な響きです。

この辺はサンダルオーディオさんのレビューを見るのがいちばんわかりやすいでしょう。


他にはケーブルのカラーが変更されており、旧モデルはクリアケーブルだったのが2020モデルではスモースグレーの皮膜になっています。

メルカリなどで中古品を購入する際は、ノズルの部分が穴になっているか、それともグリル形状になっているかが一番の見分けるポイントでしょう。ただ、ANDROMEDAは人気機種ゆえ偽物も結構あるみたいなのでその辺は注意してください。




イヤーピースについて


ANDROMEDA 2020は、ノズル部分が非常に太く作られています。


そのため、イヤーピースとの相性も結構出てくるでしょう。

例えば内径の細いイヤーピースだと、ノズルからの出音をある程度反響、または吸収します。逆に、内径の太いイヤーピースだとノズルからので音を直接耳まで届けるため、組み合わせるイヤーピースによって音への変化が顕著に現れます。

私はFinal Eタイプを使用していますが、より高音域に特徴を持たせたい場合はスパイラルドット++、逆に、もっと低音を出したい場合はコンプライのようなウレタンフォーム系など、イヤーピースによる音質変化を楽しむのも一興でしょう。









あとがき。イヤホンスパイラルは一旦終了


今後私がハイエンドイヤホンを買い足すとすれば、このANDROMEDA 2020のように、今の手持ちの機種と全く個性の被らない「このイヤホンでしか味わえない音がある」と感じた場合でしょう。

例えば、私がほかに気に入っているイヤホンには再三語っているLegend XやHA-FW10000、IE800Sなどがありますが、これらは私が所有している他の機種や組み合わせとどうしても被る部分があるので大枚を叩いてまで購入しようとは思わないのです。

今回購入したANDROMEDA 2020は、私の所有機とまるで属性が被らないので、購入にまで至りました。
今後、そのような個性的なイヤホンが出てくるまで、お財布を温めておこうと思います。

それでは、以上です。





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