JVC スパイラルドットSF(EP-FX11)イヤーピースのレビュー【Spiral Dot SF】

♨の人

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本日は、JVC Spiral Dot SFというイヤーピースのレビューです。



スパイラルドットというとオーディオマニアにおいてはもはや定番とも言えるような高級イヤーピースなのですが、この製品はそんなスパイラルドットのフォルムを変更し、また柔らかく伸びのあるシリコン素材の採用により軽い装着感を実現したSF(ストレスフリー)仕様だそうです。






コンパクトな外箱に4個入り





外箱はこんな感じです。かなりコンパクトで、これがこの値段かと思うとなかなかの緊張感が生まれます。しかし売れ続けているということは本当に音はいいんでしょうね。


本体はこんな感じです。普通のシリコンイヤーピースの下部分を少し取り除いたような形状をしています。



スパイラルドットの音質向上の仕組み



https://www.jvc.com/jp/press/2020/ep-fx11/より引用

スパイラルドットは、イヤーピース内部のドットに音質向上の効果があるイヤーピースです。具体的には、このイヤーピース内径の凸凹が反射音を拡散させることで音の濁りを抑えクリアなサウンドとなるようです。



実物を見てもしっかりと小さな凹凸が確認できますね。



サイズはS、MS、M、M、LLの5種。内径は4.5mm



今回私はMサイズを購入しました。外形は12mmとの事です。ちなみに内径はノギスで適当に測ったところ4.5mmでした。


ちなみに裏返すとこんな感じです。




音質レビュー。高音域が強く出るようになり音がクリアに


それでは、音質のレビューに入っていきたいと思います。

アンプはmicro idsd BLです。


まず、私の手持ちのCampfire Audio ANDROMEDA 2020で試してみることにしました。


普段はFinal EタイプのMサイズを使用しています。



装着してみるとこんな感じです。Final Eタイプと比較すると、スパイラルドットSFはかなり短めの軸になっていますね。




・アルルカン 似非林檎


ANDROMEDA 2020の場合、まずかなり高音域が強くなりました。比較するまでもなく、ぱっと聴いただけで分かるほどハイハットの音色が強くなっています。

ANDROMEDA 2020の刺さらない高音域は相変わらずですが、Final Eタイプの場合もう少し高音域が柔らかいです。

Final Eタイプは中音域が強くなり、ギターやベースの音色が明らかに強いです。その変わり、スパイラルドットSFほど音がクリアではありません。透明感や解像感はスパイラルドットSFの方が上だと思います。これは新形状とドットの他に、イヤーピースの口径が影響しているのだと思います。


見比べてみると分かりますが、スパイラルドットSFは内径がとても広くノズル出口からの音を直接耳に届けるような構造になっています。それに対し、FinalのEタイプは出口が細く軸部分の中で反射・吸収された音色が耳まで届きます。

なのでどちらかと言うとFinal Eタイプは高音域が弱く低音域の強いドンシャリな音色で、スパイラルドットSFはよりブライトかつ爽快な音色となっています。ここまでの違いがあれば音に疎い人でもすぐに気が付くでしょう。




・生存本能ヴァルキュリア


まず、スパイラルドットSFはドラムのチキチキ音がより強調されます。高音域がより結晶的にせり出してくるようになり、全体的な音の質感がクリアになります。

対してFinal Eタイプはベースラインあたりの音が膨らみ、低音域がより強化された音色です。どちらがいいかは好みによるでしょうが、低音の量感だけでもかなりの違いが現れています。

また、定位感に少し変化が現れたのには驚きました。具体的には、Final Eタイプは自分の頭の周りを囲み込むような音場表現なのですが、スパイラルドットの方は少し前方定位に近しい音場表現です。

にしても、ここまで音が変化してしまうともはや別のイヤホンのようなものなので、どちらも甲乙付け難いです。ここまで音が変化するイヤーピースというのも新鮮なので非常に面白いです。単純に耳からの位置とイヤピ内部の太さが変わるので音は変化しても当然なのですが、にしてもこうまで変わるか、という感じですね。








次は、JH Audio Layla Universal fitで試してみることにしました。個人的に、このイヤホンでスパイラルドットを使うとどうなるのか、非常に気になっていただけあってとても楽しみです。


というのも、Layla Universal fitはノズルが非常に長いため、スパイラルドットを装着したところでドットがまるで役目を果たさなくなるからです。


普段はFinal Eタイプを使用していますが、ものの見事にどちらもツライチです。これでどういう音の変化が出るのか、果たして変化は出るのか。とても楽しみです。

因みに、スパイラルドットSFをLaylaに装着して最初に気になったこととして、ノズル断面が耳穴に当たりねじ込む時ちょっと痛いです。

また、フィット感もあまり良くなく、密閉感が少し軽減しています。遮音性も少し劣りますね。この辺はマイナスポイントです。



・キズ 傷痕


音質ですが、多少低音が弱まる代わり、音に開放的な印象が追加されました。具体的には中低音域が少し晴れたような印象になり、音のアタックが少し弱まり聞きやすくなります。

Final Eタイプの方が低音やアタックの重厚感は強いのですが、スパイラルドットSFの方がアタックがいい具合に均等化され多少クリアな印象を受けますね。

上でも語ったようにLaylaはノズルが非常に長くスパイラルドットの利点であるドットはまるで機能していないので、この音質差は傘部分の短い新形状が影響しているようです。

言うなればどちらかと言うとFinal Eタイプの方がドンシャリで、アタックもバリバリとせり出してくる刺激的な音色です。それと比較すると、スパイラルドットSFはアタックの形状が幾分か丸くなり聞きやすい音色に変化しています。



・葉月 Phoenix


スパイラルドットSFの方が中音域がクリアでクールになったような印象を受けますが、ヴァイオリンやピアノなどの艶感はFinal Eタイプの方が上だと感じました。

これは言い換えれば帯域ごとの分離がしっかりとしておらず音が少し曇ったような印象も受けるという事なのですが、こういう音楽ではむしろそういう中低域の空気感が空間を包み込むような艶のある表現になっています。そういう意味では美音っぽさはFinal Eタイプの方が1枚上手だと感じますね。

アタックは相変わらずスパイラルドットSFの方がマイルドで、Final Eタイプはティンパニの音色が刺激的で解像度が非常に高いです。

悪くいえば刺激的な音色がクリアになったと言えるのですが、よく言えばこのアタックのソリッドさこそがJH Audioの個性なのでそれが弱まる分好みが別れるかもしれません。

ポピュラーなどの音圧の高い曲を聴くのであれば聞きやすいのはスパイラルドットSFだと思います。



・GOIN'!!!


Final Eタイプは中低域が強めに出ますが、音の分離感、透明感ではスパイラルドットSFに劣ります。また、Final Eタイプの方がアタックがソリッドで、耳に刺さるような音も直接的に耳に届いているように感じます。

一方スパイラルドットSFは歯擦音やアタックの刺激的な部分などを上手く丸め込み、中低域も少し控えめにすることでヴォーカル帯域にフォーカスを当てたようなクリアなサウンドが実現出来ています。また、音それぞれの分離感も少し向上しているように思えました。

私の好みとしてはスパイラルドットSFなので、今後はLaylaはスパイラルドットSFで運用していくつもりです。しかし、フィット感と遮音性の低さ、そして耳にノズルが当たる不快感は少し気になるので、もう少し軸部分を固くしてくれれば言うことなしでした。






あとがき


スパイラルドットSFは定番と言うだけありかなり音質の変化を感じられるいいイヤーピースでしたが、今回比較してみて一番注目すべきポイントはLaylaで音が変化したことでしょう。
ドットの力がなくても、新形状にするだけで音がここまで変わるものかと驚きました。

イヤーピースと言えども非常に侮れないポテンシャルを持っているので、音の変化を感じたいならまず試してみるべきでしょう。

それでは、以上です。








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