DSEE HXは効果ない?。違いはわからないのか検証してみた

♨の人

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CD音源や圧縮音源をハイレゾ音源に。そんな夢のキャッチコピーが付いた機能が、SONYのWALKMANやXperiaシリーズなどに搭載されているアップコンバート技術、「DSEE HX」です。

https://xperia.sony.jp/myxperia/howtoxperia/music/c2-8.htmlより引用

というわけで、今回は実際にDSEE HXがどれほどの音質向上効果があるのか確かめてみることにしました。

それではどうぞ。





Xperia以外のAndroidスマホやWindowsPCでDSEE HXを使う方法


このDSEE HX。Xperiaのセールスポイントのひとつになったりしている機能なので、やっぱりソニー製品じゃないと使えないのか、なんて思っている人もいるかもしれません。


しかし、実際のところは「Sony | Music Center」という無料の音楽再生ソフトに機能のひとつとして搭載されているので、Androidスマホであれば基本的にどんな機種でも使えます。
Sony | Music Center

Sony | Music Center

Sony Corporation無料posted withアプリーチ



また、USB DAC接続時に有効になります、なんて説明が書いてありますが、普通にハイレゾ非対応のUSB DAC、というよりもはやイヤホンジャック変換アダプタと呼ぶのが相応しいようなチープなドングル型DACでも普通に使用出来ましたので、昨今のイヤホンジャックの搭載されていないスマホを使用している方ならあまり気にしなくていいかと思います。

また、Windows版の「music center for pc」もあるので、WindowsPCであればAndroidスマホと同じようにソフトをインストールすることで使用が可能です。
https://www.sony.jp/support/walkman/guide/nw-zx300/contents/TP0001497998.html



音質は曲と再生機器により相性があり。違いは確かにある


・Lynch. EVOKE


まずDSEE HXの効果ですが、これは確かに違いが現れています。具体的には、音に艶が出て厚みが増すという印象です。

比較すると、CD音源版は少しメリハリが弱く、音の迫力ではDSEE XHが勝っていると感じますね。
変化の度合いとしては僅かなものですが、確かに効果は実感できます。具体的には、楽器隊の響きがより重厚になり、それ故に空気感のような空間描写が一枚上手になるという感じです。

またDSEE HXでは一音一音のアタックが重くなり、楽器隊がより鮮明に前に飛び出してきているような印象も受けました。




・キズ 傷痕

やはり、楽器隊の響きがより濃くなり、それにより幾分か迫力が付与されているような印象です。

正直なところSONYの技術、それもいわゆるニセレゾと悪名高いアップサンプリングということで半信半疑だったのですが、確かに効果は明確に感じます。高音域がどうとかそういう話ではなく、全体的な音の質感がより前に飛び出すような効果が得られます。

ただ、その分少し音の分離感は犠牲になっているような気もします。DSEE HXは音が少し間延びしているようにも感じられるので、CD音源の方がモニターライクでカラッとしており、音の立ち上がりや分離感という点では普通のCD音源の方が優れていると感じる部分もありました。



・GOIN'!!!


やはり、音に響きが付与されることで、総合的な音の艶と厚みが増すという印象ですね。サウンドステージがほんの少しだけ広がり、音自体に響きのようなものが付与されているという感じです。

ただ、DSEE HXの音は非常に生っぽい響きで嫌いじゃないのですが、やはり音の分離感や立ち上がりの面ではかけない方がいいんじゃないかなと言ったところ。違い自体は明確に感じるのですが、どちらがいいかと言われると非常に悩ましいところです。迫力や艶感では間違いなくDSEE HXをかけた方が上なのですが、CD音源も落ち着いた音色でこれはこれで決して悪くありません。



再生機器による相性の問題とかもあるので、イヤホンをLayla Universal fitからCampfire Audio ANDROMEDA 2020に変えてみました。

因みにどちらもハイレゾ対応なんて事は一言も書いてありません。これについては後ほど。




・Lynch. Phoenix


これはCD音源の方が好みでした。DSEE HXは高音域がとても喧しく、響きが歪みっぽくなっています。

ヴォーカルの声の質感も明らかにDSEE HXをoffにした時の方が自然で、低音域の迫力も、上で言ったような音の分離感もCD音源の方が私好みです。

たまに見る「DSEE HXはハイレゾっぽさを出そうとしていて高音がシャリつく」というような評価を下している人の気持ちがわかった気がします。音の立体感ではDSEE HXをonにした時の方が勝っていると感じましたが、この高音は私は受け付けません。



・アルルカン 似非林檎


これはなかなか甲乙つけ難い結果となりました。具体的にはDSEE HXはやはり高音域が強調される傾向にあるようですが、それ以外の帯域も僅かにブーストされており、特にDSEE HXではベースの音色の艶っぽさがかなり向上しています。

対するCD音源はやはり落ち着いた音色で、高音域が変に押し出されることも無く、また分離感や透明感ではこちらの方が上です。しかし、DSEE HXの迫力のある響きと聴き比べてみるとどうしても迫力不足が否めません。やはりDSEE HXは音に立体感が生まれます。この曲ではベースが特に顕著に変化しています。



今度は、ヘッドホンで試してみました。beyerdynamic T5P 2ndです。


・hide&attack


これは明らかにDSEE HXをかけた方が好みでした。まずDSEE HXは明らかに定位感と声の生っぽさが向上しており、比較するとCD音源はどこか曇ったような音色に感じます。

DSEE HXはCD音源で少し感じる声の硬さのようなものが上手い具合にほぐれており、この曲ではかなり効果を発揮していると感じます。DSEE HXがかかった瞬間に音のピントがピッタリ合うようなイメージです。

CD音源は比較してしまうとどこか退屈で、平坦な印象が否めません。これは明らかに音質が向上していると言えるでしょう。



・生存本能ヴァルキュリア


やはりDSEE HXは響きが多少付与されていますね。聴き比べてみると、僅かにヴォーカルにエコーのかかったような印象を受けます。

この曲も、なかなか甲乙つけ難い感じです。具体的には、DSEE HXは確かに音に厚みが出るのですが、CD音源の方が分離感や透明感という観点では優れています。ギターソロなんかで聞き比べると顕著ですが、DSEE HXは音を響かせようとした結果かギターの歪みの粒が隠れてしまっています。

サウンドステージは明らかにDSEE HXをかけた方が広く感じます。迫力という点でもDSEE HXをかけた方が上だと言えるでしょう。しかし、DSEE HXはどこか浮ついたような印象が否めず、CD音源と比較すると音の間延び感が目立ちます。





結果。変化の度合いは曲と再生機器の相性による。場合によっては不自然になることも


DSEE HX。この際ハイレゾ云々は置いておくとして、たしかに音質に変化が出ることは確認できました。

総合的に見た場合、音のメリハリや艶感が増しサウンドステージが僅かに広がるような効果があると感じます。

また、私の場合は全てWAV無圧縮で行ったのであれですが、試しに128kbpsのMP3でかけてみると確かに高音域の歪みっぽさなどが軽減されており、圧縮音源をロスレス・ハイレゾに近づける効果は確かにあると思います。

ただ、曲によっては明らかに不自然というか余計なことをしているな、と感じることもありましたので、やはり何でもかんでも高音質に、なんていう魔法のような効果はないようです。

ちょっと調べてみると、こんな記事を見つけました。

DESS-HXで付け足しされる音を抽出して聞いてみた。

この記事によると

基本的に非常に小さい音であるが、「キーキー」「シーシー」という音がギターやボーカルのリズムに合わせて出ている。
リズム楽器の余韻やブレスを担当しているのであろうか。
また、主旋律も感じられる。

CD音源と比較すると、元データよりも大きく20kHz前後が盛り上がっている。

何かしらDESS-HXは仕事をしていることだけはわかったが、どういう原理かは全くの謎である。



との事です。何らかの変化が現れているのは事実なので、よくあるオーオタのプラシーボでないことは確実ですね。




ハイレゾ非対応の普通のイヤホンでも効果は感じられる



今回私が使用した再生機器は、beyerdynamic T5P 2ndを除き全てハイレゾ非対応です。

・JH audio Layla Universal fit 10Hz~23kHz

・Campfire Audio ANDROMEDA 2020 10Hz~28kHz

・beyerdynamic T 5 p 2nd Generation 5Hz~50,000Hz


しかし、LaylaやANDROMEDA 2020でもDSEE HXの効果ははっきりと感じられました。これがハイレゾ対応イヤホンでなくても効果を感じられるという証明になります。

ハイレゾ対応イヤホン・ヘッドホンというものがいかに馬鹿らしいかについては過去記事にて書いたのでそれをご覧になってください。


正直なところハナクソみたいなハイレゾ対応イヤホンを買うくらいなら、ハイレゾ非対応の評判のいいイヤホンを買った方が何倍もマシだと思いますよ。音は好みなのでなんとも言えませんが、完全アナログであるイヤホンにハイレゾ対応だの非対応だの、どこのメーカーが言い出したのかは分かりませんが本当に気持ち悪いと思います。

因みにUSB DACはハイレゾに対応していなければそもそも再生すらできません。これはデジタルなので当然ですね。





あとがき。DSEE HXの違いは明白だが私は使わない


今回比較して思ったのですが、確かにSONYの謳い文句の通りDSEE HXは効果のしっかりと感じられる機能だと思いました。このレベルで音が変化するのなら、無料ですし圧縮音源ユーザーは使ってまず損は無いと感じます。

ただ、たまにSNS等で目にする「DSEE HXがあるからSONYのワイヤレスイヤホンは音質最強」、なんてのは言い過ぎなんじゃないかな、と言うのが個人的なところです。

この程度の差なら、アンプ部の作り込みやパワー、またはドライバーの素性やハウジング内部の音響設計などでいくらでも追い抜ける程度だと個人的には感じました。確かにBluetoothという非可逆圧縮の音源をアップサンプリング出来るというのはかなり強いと思いますが、これだけで他のメーカーを見下せるほどのレベルではありません。

そして私自身がDSEE HXをこれから常用するか、というと、個人的には使う気にはなりませんでした。

やはりアップコンバートとはいえ何かしら音源を弄るというのは気持ちが宜しくは無いですし、今回の比較では曲や再生機器による相性というのも顕著でした。また、使い勝手の悪い専用ソフトやアプリを使ってまで受けたい程の変化を私は感じなかったからです。

もちろん私個人の感想ですし、DSEE HXを気に入っている人が沢山いるのも事実です。とりあえず無料ですから、アプリをインストールして試してみてはいかがでしょうか?

それでは、以上です。



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