鏡面仕上げの大型デュアルドライバーイヤホン、BLON BL-Maxをレビュー。暖色系美音イヤホン
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本日は、中華イヤホンブランド、Blonより販売された新作、「Blon BL-MAX」のレビューになります。
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それではどうぞ。
大型の鏡面仕上げ亜鉛合金ハウジングが特徴的

パッケージです。これまでのBlonシリーズ通り、シンプルなパッケージですね。

裏側にはスペックが記載されています。

箱は蓋身式で、開けるととても眩い輝きを放つイヤホンが現れます。反射が強すぎてまるで鏡のようで、撮影にも苦労しました。

イヤホン本体です。亜鉛合金で構成された筐体はかなり大きめで、全面が鏡面仕上げになっています。
リケーブル端子は特殊なものが採用されていますが、TFZタイプと互換性があります。QDCタイプとは互換性がないため注意してください。

イヤホンにはベントホールがひとつ空いています。なんだかこの写真だとLayla Ⅱのパチモンに見えますね。

付属品です。いつもの通りポーチ、説明書、ケーブル、そしてイヤーピースです。イヤーピースは通常タイプと円錐型の二通りが付属しており、通常タイプがS/M/Lの3種、円錐タイプが大小2種類で、最初に本体に装着されているのは小サイズになります。

ケーブルは金属素材が使われており、中華イヤホンにありがちなツイストケーブルではないタイプ。この辺はBlonらしいですね。ちなみにケーブルスプリッターは付いておりません。

ケーブルをイヤホンに装着するとこんな感じ。まるで鏡が如く強烈に反射する鏡面仕上げと言い、非常に大型のハウジングといい、いつものBlon通り非常に目を引くデザインですね。
装着感は大きいだけあり多少がっしりとしていて、特にこの時期なのでひんやりとした冷たさが少し気になるといえば気になります。
しかし私の場合冷たさはANDROMEDA 2020やRosieで慣れていますし、大きさに関してもLayla Universal fitと比べれば本当に可愛いものなので大抵の人は普通に使える大きさだと思います。ただ耳の小さい人の長時間の使用では痛みが出る可能性は否定できません。
スペックはインピーダンスが32Ωで、再生周波数帯域が20~20kHz、音圧感度が115dBでコード長が1.2mです。
ドライバーは6mmの小口径DDと10mmの大口径DDの2種類が使われたデュアルダイナミックドライバー構成という珍しい仕様。デュアルダイナミックドライバー搭載機種自体は中華イヤホン自体では珍しくはないですが、純粋なダイナミックドライバーのみの多ドラというと珍しい部類です。
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音質。シルキーな高音と美しい低音、広い音場が特徴の美音系イヤホン
それでは音質のレビューに入っていきます。
アンプはmicro idsd BLを使用しました。
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・アルルカン 暁
このイヤホンの音を一言で表すなら、非常に濃密で艶っぽい、ドンシャリとは違った魅力のある暖色系イヤホン、という感じです。
高音の質感は非常に細かくシルキーで、低音域はしっかりと出ていながら尚且つスピーディーでタイトな成分も持ち合わせている、非常に私好みの音色で驚きました。
音の質感としては抜けがいいカラッとしたサウンドと言うよりは、広いコンサートホールのような響きが付与されたウェットな音場を持つイヤホンだと感じますね。
高音域は非常に細かくシルキーです。量感自体は少なめなものの、とにかく音の粒のひとつひとつが細かく、また耳あたりも優しいとても心地のいい高音です。
中音域はヴォーカル帯域が非常に綺麗で、艶やかさが非常に高い美音系だと思います。
低音域はとにかく滑らかで色っぽいです。特にこの曲ではベースの音色が手に取るように、それでいて流れるような美麗さで耳へと届きます。サブベースよりはミッドベース、もしくはそれより上を押し出したようなバランスです。
それでいてバスドラムのキックは非常にソリッドでボワつくことがありません。スピーディーな印象ながら非常に分離のいい濃密な低音域を楽しむことができます。
同じブランドのイヤホン、Blon BL-miniと比較すると、BL-miniはもっと刺激的で、解像度が高いようなサウンドに聞こえます。しかし、BL-MAXと比較すると多少高音域に不快なピークのようなものを感じます。
それ以外の音の傾向は結構似通っています。ベースラインの押し出し方やヴォーカルの艶感などはさすが同じシリーズと思わせられる感じ。しかし、スケール感がBL-MAXと比較するとワンスケール小さく感じます。
また低音域のアタックの押し出しはBL-MAXの方が強く、解像度はBL-miniの方が高めながらスピーディーな印象を受けるのはBL-MAXという不思議な関係性になっています。
それでは倍ほどの値段のBL-A8 Prometheusと比較するとどうかと言うと、こちらはBL-miniの解像度の高さとBL-MAXの高音のシルキーさを併せ持ったようなサウンドだと感じますね。
ただヴォーカルの艶感を比較するとBL-MAXの方がより艶やかに、滑らかに響くようなサウンドになっています。またBL-MAXはより音が濃厚で、低音のアタック感が幾分かどっしりとしているという印象です。
・葉月 Phoenix
このようなオーケストラ曲では、BL-MAXの真価を発揮します。BL-MAXはそもそもの音場が広めなのですが、それ以上に特筆すべきがアコースティック楽器の空間を伝うような自然な低音域の再現度です。まるで本当にコンサートホールで聞いているかのような自然な音場表現は流石としか言いようがありません。
これがBl-miniの場合、ここまでの広大なスケール感は出せませんし、そして音場の再現度がBL-MAXほど自然ではなく無理やり押し出しただけのサブベースという人工的な印象を受けます。
またヴォーカルの艶感も不足しており、このようなオーケストラの歌モノを聞く限りは聴き比べてしまうとBL-MAXにはまるで敵いません。
BL-A8 Prometheusは流石Blonのフラッグシップだけあってヴォーカルの艶感も非常に高く、音場のスケール感も非常に広大です。ただ、聴き比べてみるとわかるのですが、倍額ほどのBL-A8 Prometheusと聴き比べてみても音場の広さとヴォーカルの艶感、そして空間の再現能力はBL-MAXがずば抜けて高いです。
私は数多の中華イヤホンを購入してきましたが、ここまで壮大かつ自然な音場を再現出来ているイヤホンというのは非常に稀だと感じます。とにかく音の響き方が自然なので、このようなオーケストラ曲ではどんな中華イヤホンと比較してもBL-MAXの独壇場となってしまうでしょう。それくらい凄まじい空間再現能力をこのイヤホンは持っています。
・己龍 叫声
このイヤホンは美音系だと再三語っていますが、いやはや、聴けば聴くだけその魅力が分かってきますね。
音が濃厚なのにとにかく綺麗で艶やか。ここまで聞き心地のいいイヤホンというのも中華では珍しいでしょう。
中華イヤホンというと低音ドンドン、高音シャンシャンのいわゆるドンシャリが多いですし、そうでなくともここまで真面目な美音系を作っているメーカーというのは少ないです。そういう意味で言うなら、このBL-MAXは非常に珍しい部類の音作りだと言えるのではないでしょうか。私の好きな部類の音です。
特に解像度を重視したようなイヤホンというのは最初は全ての音が聞き取れてすごくいい音に感じるものですが、長く聞いていると疲れてきてしまいます。このイヤホンにはそのような成分を全く感じません。
Bl-miniと比較してみると、BL-miniも暖色寄りの音ではあるのですが、ここまでの美音には寄っていません。やはり高音域はそれなりにエッジが聞いていますし、音の線が細く解像度高めのサウンドでBL-MAXのような美しさに聞き惚れるようなサウンドではありません。
BL-A8 PrometheusはBL-miniと比較すると圧倒的に美音系です。しかし、やはりBL-MAXの代替となるような音ではないです。BL-A8 Prometheusは濃厚なサウンドながらスピーディーなドラムサウンドが特徴的で、それと比較するとBL-MAXは多少モタついているように感じる人もいるかもしれません。しかし、やはり歌声の響きの豊かさ、音場のスケール感はBL-MAXが圧倒的です。
ただ、これだけ褒めちぎっておいてなんですが、こういうロックなんかではそこまでこのイヤホンの真価は発揮できている気がしません。例えばバラードとか、それこそ上でも言ったようなオーケストラなんかがこのイヤホンの得意分野です。
そういう意味で言うなら、私の音楽プレーヤーのライブラリの中ではこの曲はこのイヤホンとの相性はそこまで良くない方です。なので、ロック好きにはそこまでおすすめできる代物ではないと感じます。
・夢幻ノ救憐唱 ~堕チル星ノ調ベ~
やはり、このイヤホンはこの手の曲では圧倒的です。とにかく音の広がり、響きが素晴らしい。
またこの曲は歯擦音が目立つミックスなのですが、このイヤホンでは圧倒的な艶やかさのヴォーカルを表現しながらそのような不快な音は一切感じません。とにかく耳に優しく美しい音色です。
このような曲はまさにBL-MAXにとって鬼に金棒。このような組み合わせの前では例えBL-A8 Prometheusでさえまるで話になりません。
BL-A8 Prometheusは高音域がもっとソリッドで、歯擦音も目立ちます。また、ヴォーカルの響の太さ、そして音場の広さにかなりの差があり、聴き比べてしまうとやはりかなりの差を感じますね。
BL-miniはBL-A8 Prometheusと比較してよりソリッドというか線の細いサウンドで、また一番上でも言ったように高音域に少し不快なピークを感じます。解像度は高めに感じますが、この曲を聴く限りではBL-MAXの圧勝です。
ただ、BL-MAXは広がりのある濃厚なサウンドです。なので、嫌いな人はとことん嫌いなタイプのサウンドとも言えるかもしれません。
例えばIE900のような圧倒的な抜け感のある開放的な音色が好きな人にはおすすめ出来ません。このBL-MAXはどちらかと言うと密閉型ヘッドホンのような音色に近しく、どこまでも見渡せるような音の開放感は無いためそこが閉塞的で嫌だ、音がぼやけている、と感じる人もいるでしょう。
ただ同じSENNHEISERで言うとすれば、例えばIE800Sの音色が好きな人はこのイヤホンも気にいると思います。さすがにあそこまでの音場の広さやヴォーカルの艶感はないまでも、私が聞いてきたイヤホンの中では近しい音だと思います。
リケーブルしてみた
今回は、ALO audioのTinsel Earphone Cableというケーブルにリケーブルしてみました。
この手のイヤホンは音色にクセのある中華メーカーのケーブルよりは、そのイヤホンの良さをさらに引き出す自然な変化のケーブルへのリケーブルがいいと思ったからです。
さて、音質の変化についてですが、リケーブルすることで音のもやのようなものが晴れ、BL-MAXの美音はそのままにより晴れやかな抜けのいいサウンドに変化しました。
それでいて音の質感が全体的にワンランク上がったような印象を受けます。より音の調和が取れているとでも言いましょうか。例えば低音がよりよく出るようになった、とか、高音が綺麗になった、とかそんな明確な変化ではありませんが、確かな音質向上を感じられました。特に低音あたりの整い方がポイントですね。
あとがき
というわけで、Blon BL-MAXのレビューでした。
他の中華イヤホンとはひと味違う音作りの美音特化系イヤホンです。一本はこの系統のイヤホンを持っておきたいですね。
というわけで、以上です。
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