TRN STMの音質をレビュー。フィルター交換で音質を変えられるモニターライクな中華イヤホン
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本日は、TRN STMという中華イヤホンのレビューになります。
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それではどうぞ。
フェイスプレートの高級感が非常に高い

本体はこんな感じです。アルミのフェイスプレートはサンドブラスト仕上げで、非常に高級感がありますね。

ノズルを外すとBAドライバが顔を出します
このイヤホンの特徴として、交換可能なフィルターが3種類付属しているというところです。
交換可能なフィルターというと64audioのapexモジュールが思い浮かびますが、この値段でそのようなギミックが楽しめるというのは非常に新鮮に思います。
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ただケースなどは付属していないため、非常に無くしやすいと思われます。管理は慎重に行いましょう。
ちなみに音の傾向としてはレッドがフィルターがいちばん分厚い低音強化、ブルーが薄目のフィルターで中音域強化、ゴールドがフィルターなしの高音特化という傾向になっています。
ドライバーには30019BAドライバと10mm二十磁気回路ダイナミックドライバが搭載されており、周波数帯域が20Hz~20kHz、感度は106dB/mWでインピーダンスが24Ωです。
とにかく高音が強いフラットなサウンド。あの高級イヤホンやヘッドホンに似ている?
それでは音質のレビューに入っていきます。
今回はALO audioのTinsel Earphone Cableにリケーブルして聞いていきます。
アンプはmicro idsd BLを使用しました。
ちなみにこのイヤホン、高出力であればあるほどハイ上がり気味になるようで、スマホだと高音域が幾分か弱まって普通の中華イヤホンのようなドンシャリになりました。
・NOCTURNAL BLOODLUST Venom
まずはゴールドノズルで聞いていきます。
このイヤホンの音を一言で表すなら、とにかく高音域が硬質で強いソリッド系イヤホン、という感じでしょうか。
高音域、それもシンバル類がとにかくシャリシャリしており、非常に硬質で強いサウンドです。
それでいて刺さるようなサウンドは控えめに感じます。ここまで高音域を押し出していると大抵は刺さりすぎてまともに聞けないものですが、このイヤホンは歯擦音に極めて弱い私の耳でもまともに聞くことができます。
高音域はとにかく硬質で量感が多いです。擬音で表すならまさにシャンシャンという感じで、シンバル類の主張が凄まじいです。
それでいて刺さるようなサウンドは控えめのバランスに作られているので、とにかく高音が強いけど刺さらない、という不思議なバランスになっていますね。
中音域は少し遠めで、カラッとした透明感のあるサウンド。多少響きが硬質な感じもしますが、IE 40 PROとかが好きな人は好きなんじゃないでしょうか。
低音域はそこまで量感が多くなく、スピーディーでキレのある低音という印象。全体的に高音寄りのイヤホンで、中華にしては珍しく高音寄りのフラットというバランスになっています。
特筆すべきはその高音の強さです。音のほとんどを高音が閉めており、高音好きにはたまらないんじゃないかと思うほどの高音。ここまで高音の強いイヤホンは私は味わったことがありません。それでいて刺さる成分は少なめなので、高音に過敏な私でも問題なく聞けます。これは面白い。
というわけで次はブルーフィルターに変えて聞いていきます。
ブルーフィルターの音は、ゴールドフィルターの高音の強さ+中音域のせり出し、という感じ。
音の質感が多少フラットに近づき、幾分か聞きやすくなった印象です。
ただ圧倒的に強い高音は相変わらずで、非常に鋭く硬質な高音が鳴り響きます。ブルーフィルターは中音域強化ということですが、これでも私には高音域強調型のイヤホンに思えます。だ、確かに低音域は少し重くなりました。
では最後にレッドフィルターの音を聞いていきます。
レッドフィルターでもやはり硬質で量感の多い独特な高音域は変わらず、相変わらず高音寄りという印象は否めません。
しかし明らかに違うこととして、レッドフィルターはサブベースあたりがグンと持ち上がって出てきます。高音寄りのドンシャリ、くらいのバランスで、決して低音が強いとかそんなことはありませんがバランスとしてはフラットに近づきました。
・聖飢魔II ROCK’N RENAISSANCE
まずはゴールドフィルターの音から。やはり、高音域がとても強いです。特にシンバル類の音が強調されているようで、シンバルの音色が非常に目立っています。
ただ歯擦音は全くと言っていいほど感じないため、恐らくは人が不快になる帯域が出ていないのだと思います。これはなかなか凄いことですよ。高級機でも刺さりまくって聞けないイヤホンとかありますからね普通に。
この曲はゴールドフィルターでもギターのブリッジミュートが強く主張されており、高音と同時に中音域も楽しむことができます。
全体的にはやはり解像度の高さとカラッとしたクリアな透明感を強みとしたイヤホンという感じで、ヴォーカルの艶とか響きの色っぽさなどは感じることができません。しかし、やはり前述した通りIE 40 PROの音が好きだった人はこのイヤホンをかなり気に入るだろうなと思います。高音域特化というこの価格帯ではなかなかないようなチューニングのイヤホンで、尚且つ歯擦音バリバリのジャリジャリしただけの嫌なイヤホンとはまた違うので、ぱっと聞いて高音質、という感じ方をする人が多いと思います。
ではブルーフィルターに変更した感想を。まず、この曲では中音域の強化具合がよく分かります。絶え間なくギターのブリッジミュートが刻まれているので、それのパワーが増したことでゴールドフィルターと比較してより重厚な印象を受け、高音域も弱まったように感じます。
ただ全体的な質感はやはり高音域重視という感じ。中低音はそこまで出ておらず、フラット~高音寄りという感じのバランスです。相変わらず歯擦音は全く出ていないのでその部分は素晴らしいんですけどね。
最後にレッドフィルターです。こちらでも高音域が強いという印象は変わらず。最近の中華は低温側に寄ったドンシャリイヤホンが多いので、このくらいのバランスでもかなり高音寄りに感じます。
ただ、ブルーフィルターと比較すると明らかに低音域が強化されているのを感じます。ブリッジミュートのパワーが段違いで、ザクザクと刻まれる度に低音が耳を揺らします。またドラムのキックも1段階ほど力強くなり、ベースが下から支えている、そんな感じのサウンドですね。このくらいのバランスならドンシャリと呼んでいいと思います。
・葉月 Phoenix
まずはゴールドフィルターから。この曲では少し歯擦音やリップノイズが気になるかなという感じですが、やはりそこまで不快な音は出ていません。
ただ、ゴールドフィルターだと明らかに低音域が足りていません。透明感は非常に高く圧倒的にクリアなサウンドではあるのですが、低音楽器の存在感が明らかに欠如しておりオーケストラとは思えない軽い印象を受けます。
ブルーフィルターではその印象もだいぶマシになります。特にサブベース帯域が少し出てくるようになるので、オーケストラ特有の空間を伝うような低音域を少しだけ感じられます。
ただやはりあと一歩パワー不足を感じざるを得ません。そこでレッドフィルターの登場です。
やはり、レッドフィルターは低音がちゃんと出るようになり、これでようやくフラットという印象です。低温楽器の魅力と高音域の美しさがベストマッチしており、そこに重厚なヴォーカルが重なることでやっとオーケストラの良さが引き出されてきました。
ただ、やはり他のイヤホンと比較すると抜けが良すぎるというか、クリアすぎて面白みに欠けます。私はJH Audioみたいな濃厚なサウンドが好みなので、ここまでカラっとしているとあまり楽しさを感じません。
ただ、裏を返せば開放型ヘッドホンなどとにかく抜けのいい音のイヤホンを探している人からするとこのイヤホンは稀代の名器となり得るでしょう。オーケストラを聞くことでそんな印象を受けました。
・イケナイGO AHEAD
まずはゴールドノズルから。やはり、このイヤホンは開放型ヘッドホン並に音抜けがいいです。また高音域がとにかく強く、高音好きにはたまらないイヤホンでしょう。
驚いたのが、この曲を聴く限りですが私が所有するセミオープン型のヘッドホン、FOSTEX T60RPと非常に音が似ているというところです。
高出力なアンプ+リケーブルしているとはいえ、この値段でT60RPに迫る音質と言うだけで驚きを隠せません。
もちろん細部を見ればおよそT60RPには敵わない音ですが、オーディオに興味のない人ならほとんど同じと言ってしまうだろうな、と言うくらいゴールドフィルターの音は肉薄しています。
私は普段T60RPはmicro idsd BL直差しだときつすぎるため真空管アンプを通して聞いているのですが、それは偏に歯擦音がキツいからです。歯擦音はT60RPの方が目立ちます。
ここまで開放型ヘッドホンに近い音を中華イヤホンで聞けるなんて思っても見ませんでした。
さて、次はブルーフィルターですが、こちらは低音域が少し強化されます。具体的にはドラムのキックやベースラインなどが少し下から持ち上がってくる感じで、一般的なイヤホンの低音に少し近付くかな、という印象。
そして最後にレッドフィルター。これでようやく普通の中華イヤホン並のドンシャリになりますね。ただ、普通の中華イヤホンと比べるとやはり低域は薄いです。
裏を返せば、このイヤホンは数ある中華イヤホンの中でも極めて特異な存在、ということにもなります。上でも書きましたが、FOSTEX T60RPに似ているなんて私はFinalのA8000を聞いた時くらいしか今まで感じたことがありません。
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私の好みでは無いですが、このイヤホン、とんでもない存在かもしれません。
TRN STMとOSTRYの刺さり防止イヤーピースでFinalのMAKE1みたいなことを楽しむ
このイヤホン、フィルター交換で音質を変えられることが最大のポイントですが、その組み合わせをさらに増やす方法があります。それがフィルター内蔵イヤーピースと組み合わせることです。
というわけで、まずはレッドフィルターと標準イヤーピースで聞いてみました。やはりこのイヤホンはかなり高音寄りのイヤホンであると感じます。一番低域寄りのレッドフィルターでも高音が強く、それでいて刺さりや歪みっぽさはないクリアな高音を楽しめます。
低音もそれなりに出ていますし、とにかく中音域のクリア感が特徴的です。低価格帯の中華イヤホンというとドンシャリで中音域が少し曇っていたり、高音域に歪みっぽさのある機種が多いですが、この機種はそのようなことがありません。
ではイヤーピースをCS300に変更してみます。
すると、音の重心が一気にぐっと下がった感じになりました。ヴォーカルラインなどは相変わらずクリアなのですが、高音域が弱まることで低音域が目立つようになっており、より迫力のあるサウンドへと変化しています。
標準イヤーピースに戻してみると、標準イヤーピース+レッドフィルターのSTMは随分と乾いた音色だということに気付きます。CS300は高音域を弱めると同時に、艶っぽさを付与しているようで、音色としてはかなり違いますね。
ゴールドフィルターとCS200の組み合わせはこれまた非常に音が変化しました。具体的に言うと中音域が少し曇っており、艶っぽさはあるのですが籠りのようなものを感じます。
ブルーフィルターとCS100の組み合わせは音のメリハリが強く、それでいてクリアな印象を受けます。
イヤーピースをCS300に変更すると、多少音は曇るものの低音域がさらに強くなりこれはこれで悪くありません。
レッドフィルターとCS100の組み合わせは標準イヤーピース+レッドフィルターのドライさに近い音色です。
もう少し音に艶が欲しいので、イヤピをCS200に変更してみました。すると、少し音に艶が付与されましたが、多少の曇りのようなものも現れました。
それならばとフィルターをレッドからブルーに変更してみます。すると、音に艶感もあり、クリアな印象も変わらないといういちばん私好みの音に変化しました。
標準イヤーピースと比較すると音にはかなりの差があるので、OSTRYのイヤーピースとSTMの組み合わせは非常に楽しいものがありますね。ぜひ試してみてください。
あとがき。高音好きは絶対買って損はしない
あとがきです。このイヤホン、とりあえず高音好きは絶対買って損しない。そういうイヤホンです。
なんたって似ているイヤホン、ヘッドホンがSENNHEISER IE 40 PRO、FOSTEX T60RP、そしてFinal A8000という高音特化機種ばかりだからです。それらに負けないほどの音抜けの良さ、高音の強さをこの機種は持っています。
特にFOSTEX T60RPとゴールドフィルターではとにかく音が瓜生達で、素人耳なら気が付かないんじゃないかと言うくらいの開放感と高音の強さ。これは高音好きにはとにかくオススメです。
というわけで今回はここまでとなります。
それでは、以上です。
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