ハイエンド最強?EMPIRE EARS ODINの音質をレビュー。圧倒的な音質の超高級イヤホン

♨の人

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どうも、温泉の人です。

本日は、EMPIRE EARS ODIN (Universal Fit)というハイエンドイヤホンのレビューになります。



それではどうぞ。



開封。パッケージや付属品、見た目など




外箱はスリーブ式で、白地にエンボス加工された金色のEMPIREのロゴが光ります。非常に高級感はありますが、個人的には黒色の方が好みでしたかね。


スリーブケースを外すと、マグネット式の箱が現れます。こちらはロゴが銀色です。


蓋を開けると、ODIN本体がケーブルが装着済みで入っています。この時点でとてつもない高級感を感じますね。


付属品はケーブル、Final Eタイプイヤーピース、 金属製のラウンドケース、クリーニングツール、クリーニングクロスなどです。


ステッカーがついてました。EMPIREファンはアンプやパソコンにでも貼るんですかね。そういやFOSTEXもこんなん付いてきた記憶があります。

イヤーピースはヘアライン加工された金属製の板に装着されています。とにかく無駄に豪華。ちなみに全部軸の色は同じです。

ケースは非常に高級感がありますが、正直なところデカいし使い勝手は良くなさそうです。あと使っちゃうと売る時値落ちしちゃうので、実際使う人は少ないでしょうね。


イヤホン本体です。とてつもない重厚感がありますが、シェルは樹脂製ですのでそこまで重くはありません。


フェイスプレートはBifrostフェイスプレートという名前で、非常に綺麗です。素材は9つのポリマー層からなり、見る角度によって光り方が変わる仕組みになっています。金色のEMPIREのロゴが非常に厨二心を擽りますね。
なお、このフェイスプレートはハンドメイドで作られているとの事です。

このイヤホンは次世代 9mm WEAPON IX+(W9+) ダイナミックドライバーが2機、バランスドアーマチュアドライバが5機、プレミアム静電ドライバー(EST)が4機の合計11ドライバとなっています。

WEAPON IX+はLegend Xに採用されていたWEAPON IXの改良版で、より大きなコイルを採用して性能をアップさせたとの事です。

他にもsynX Technology、A.R.C.Technologyなど独自技術がふんだんに盛り込まれています。

そんな11ドライバを7-WAY synX クローズオーバーネットワークで構成しているのですが、その割には筐体は小型です。

他にはEIVECテクノロジーというものが搭載されており、これは静電型ドライバを完全に制御することで音質を高めているとの事です。

インピーダンスは1kHzで3Ωと極端に低いです。マルチドライバなのでインピーダンスはかなり上下すると思いますが、それでも大電流を流せるパワーのあるアンプが必要になりそうです。音量の小さいクラシックやハイレゾ音源などはDAP直では厳しいかもしれないですね。

周波数特性は脅威の5Hz~100kHz。静電型ドライバーを搭載することでここまでの高音再生能力が産まれるのでしょうが、SONYのIER-Z1R然り正直ここまで必要かは微妙です。


付属ケーブルはSTORMBREAKERという厨二感溢れる名前です。端子は2pinで、ケーブルは2.5mmのバランス端子。アンバランスで使う場合は変換ケーブルが必要です。

ケーブルは布巻きになっており、ヘッドホンのケーブルのような質感です。


ケーブルの分岐部分がカッコイイです。フルメタルで、六角ナットで固定されています。

耳かけ部分は中華IEMなどと同じく形状記憶チューブにて構成されています。私はワイヤータイプの耳かけが嫌いなので、これは嬉しいです。

ケーブルはハンドクラフトケーブルメーカーPWAudioと、日本のPENTACONNが協力して作っており、USA製の OCC Copper Litzで構成されているそうです。

線材をブラックカーボンで2重にシールドしている構造で、外来ノイズに非常に強いとの事。まあこれが音質にどのくらい影響するかはわかりませんが、とにかく40万円のイヤホンのケーブルとして見劣りしないクオリティに仕上がっていると思います。





音質。圧倒的な開放感と濃厚さを併せ持つ解像度最強のイヤホン


それでは、音質のレビューに入っていきたいと思います。

アンプはmicro idsd BLを使用しました。


・アルルカン ジレンマ


まず、このイヤホンの音を一言で言うなら、とにかく濃厚なのに音の狭さを感じない、Legend XやVALKYRIE MKIIをさらに強化したようなイヤホン、という印象です。

アタック感の鮮烈さなどはLaylaなどのJH機に近く、とにかくアタック感が強烈という印象を第一に受けました。
それでいてギターの音色がとにかく分離よく出ており、この辺はVALKYRIE MKIIを彷彿とさせます。ANDROMEDA 2020と比較すると、ANDROMEDA 2020はギターの音色が少し間延びしたような、エコーがかかったような印象を受けます。


ヴォーカルはまるでヘッドホンのような広さとイヤホンならではの近さを合わせ持っています。
低音はLegend Xと比較すると控えめですが、その分ベースラインは非常に良く追えますね。


高音の質感はシルキーで、刺さりなどは全く感じません。解像度は非常に高いです。高音域に定評のあるANDROMEDA 2020+スパイラルドットと比較しても全く劣りません。

中音域はとにかく濃厚なのですが、音像の線はカリカリとしており、非常に特殊なものを感じます。とにかく分離感と解像度が高く、ここまでのレベルの濃厚さと分離感を併せ持つイヤホンは他には知りません。音場が広いので、それがこの開放的な印象を与えているのだと思います。

低音域はとにかくアタックがソリッド。量感も申し分ないですが、Legend Xや64 audio Nioなど他の機種と比較すると少ない方だと感じます。EMPIREらしい重厚感のある低音ですが、そこまで驚くほど強いというわけでもありません。スパイラルドットを付けたANDROMEDA 2020の方が低音はほんのり強いくらいです。

この曲を聴いた感想は、とにかくギターの音色がソリッドでエッジが効いていて楽しいイヤホン、という感じですね。




・己龍 空蝉


やはり、ヴォーカルの広さとギターの音色、そして鮮烈なアタック感が特徴的なイヤホンです。

低音域はやはり控えめに感じます。中音域あたりが強いフラット傾向な音なのですが、とにかくアタックにパワーがあるためドンシャリに感じてしまう人も居るでしょう。

Layla Universal fitと比較すると、音の傾向がまるで違うことに気付きます。


具体的にはLaylaは音像が響いており、平面的な広い音場が波のように押し寄せてくるイメージです。それと比較してODINは自然に立体的に広がる音場がハウジングから四方八方に抜けていくというイメージですね。どちらも音場は広いですが、あくまでもLaylaはIEM的な閉塞感を感じます。それと比較してODINはどこまでも抜けていくような、それでいてどこまでも奥まで見通せるような、まるで開放型ヘッドホンのような音場を持っています。

他にはヴォーカルの分離感と透明感がとにかく凄いです。ヴォーカルは非常に鮮明なのですが、それ以外の楽器隊の音はとにかく濃厚、尚且つそれでいて解像度は非常に高いです。





・イケナイGO AHEAD


この曲は下手なイヤホンやヘッドホンだとヴォーカルがぼやけて聞こえるのですが、やはり描写力が非常に高いのかまるで極細のシャープペンシルをイメージさせます。この音を聞いてしまうと他のイヤホンの音がまるで絵筆のように思えることでしょう。実際、Laylaはヴォーカルの解像度でODINに遠く及びません。ANDROMEDA 2020は中高音域が明るいためこの曲では解像度がLaylaより高いのですが、それでもODINと比較すると負けています。

Laylaの音場の広さとANDROMEDA 2020の明るさ、そしてIE800Sのような音場の広さとVALKYRIE MKIIのようなエッジの効いたカリッカリのギターサウンド……それらを合わせたような感じです。文句のつけ所が今のところは見当たりません。

完璧なイヤホンなどこの世に存在しないので、やはり私はイヤホンを選ぶ際にその機種でないと出せない個性を求めます。このイヤホンはその個性を持ちつつも、極限まで基礎性能を高めたイヤホンのように感じますね。どんな曲を聴いても平均点以上をたたき出すことでしょう。




・義勇忍侠花吹雪

この曲は鈴の音が刺さることも多いのですが、ODINはそんなこともまるで感じさせません。高解像度ながら全く刺さらない。そんな不思議な高音域をこのイヤホンは持っています。

そしてやはり非常に鮮烈なアタック感と極限まで研ぎ澄まされたヴォーカルラインが特徴的ですね。

このイヤホンと比較すると、Layla AIONや64 audio Nioはヴォーカルラインが篭っているようにすら思えるから凄いです。


ANDROMEDA 2020はそのような印象を受けないものの、分離感がワンランク劣る印象を受けます。平面的な音場がそう思わせるのでしょう。

とにかく鮮烈なアタック、濃厚なのにどこかしつこさのない高解像度な中音域。そして全く曇りを見せないヴォーカルライン。確かに値段に似合った音質を持つイヤホンですね。




Lynch. DON’T GIVE UP

この曲では、もう少し低音が欲しいかな、なんて思いますが、やはりヴォーカルの解像度は素晴らしいの一言につきます。ここまでヴォーカルラインを繊細に描いておりながらもここまでの濃厚さを出せるイヤホンと言うと確かに私は思い浮かびません。

例えば濃厚なイヤホンの代名詞であるLaylaですが、Laylaは確かに濃厚ながらどこか詰まったような、例えるなら密閉型ヘッドホンのような閉塞感をどうしても感じます。

しかし、このイヤホンにはそのような閉塞感がまるでなく、開放型ヘッドホンのような繊細さを持ちながらもとにかく濃厚。そんな特異な音質です。

ただやはり少しだけ低音の不足を感じましたね。micro idsd BLのXBassで丁度いいくらいです。この曲に関しては抜けが悪くても、一般的なイヤホンに近いANDROMEDA 2020やLaylaの方が好きでした。




・あらかねの器

ヴォーカルのクリアさはやはり説明するまでもなく素晴らしいです。まるで開放型ヘッドホンのような音抜けの良さを持っており、音の響き方が密閉型イヤホンとは思えません。

ただ、やはり少しだけ低音の不足感を感じてしまいます。音が開放的すぎるゆえでしょうか。もう少しホール感というか、低音域がズシンと体に響いてくる感覚があった方が楽しいリスニングができるだろうなという感じ。そういう意味ではLaylaは素晴らしいホール感を演出できています。

ただ、Laylaと比較すると圧倒的な開放感があり、Laylaが篭っているようにすら感じる圧倒的な解像度は流石の一言です。




・Lynch. XERO


とにかくアタック感が強いです。この曲では痛いくらいです。

それでいてギターのラウドな響きが素晴らしいほどカラッとしており、それでいてベースはヴンヴンとうねる様な音色。全ての楽器が個別に分離しているかのようなこの感覚は開放型ヘッドホンでしか味わえないものに近しいと思います。

ただやはり少し低音は不足していますね。私はmicro idsd BLのXBassを使ってブースとしてやることでやっといい感じと感じます。ブーストしてやっとLegend Xくらいの低音ですかね?






・葉月 Phoenix

このイヤホンの弱点をあえて上げるなら、そのドライさだと思います。ヴォーカルラインも中音域もあまりにもドライすぎて、ライブハウスやコンサートホールのような臨場感を感じるまでは至ることができません。

低音域はしっかりと空間が震える臨場感を再現出来ているのですが、それでも音に艶が無さすぎてやはりどうしても音に包まれるような感覚はなくモニター的な聞き方になってしまいます。

これが例えばLaylaだと圧倒的な音の艶でまるで本当にコンサートホールで聞いているかのような感覚を味わえますし、そうでなくとも暖色系と言われるようなイヤホンは大抵がそのような感覚を味わえます。しかしこのイヤホンにはその成分が全くありません。抜けが良すぎるせいで非常にドライなんです。







イヤーピースを変えてみた


せっかくの超高級イヤホンなのですから、イヤーピースを変えなければもったいない。そう思いませんか?

というわけで、手持ちのイヤピを色々試してみました。


Final Eタイプ M
レビューを書く際使っていたイヤーピースがこれ。比較してみると、他のイヤーピースと比べてバランスが一番いい気がします。


SONY ハイブリッドイヤーピース
全体的にFinalのEタイプより少しマイルドになる印象ですね。


オーディオテクニカ ファインフィット
SONYのハイブリッドイヤーピースと比較すると、少し低音域が強くなって、アタックが重くなる印象です。


JVC スパイラルドット
オーテクのファインフィットと比較して、音抜けが格段に良くなる一方で低音は弱まり迫力が弱くなる印象です。


KBEAR 07
AET07のジェネリック的なイヤーピースです。迫力と解像度、音の抜け感を両立できており、フィット感も良好です。


フォームイヤーピース
明らかに高音域が減衰していますね。しかし、元々十分すぎるくらい高音が出ていたので悪くはありません。
ただ音の抜け感が犠牲になるので無しですかね。


スパイラルドットsf
非常にアタック感がソリッドになり、解像度で言うなら随一のレベルでしょう。
しかしアタックばかりが押し出されており、少し刺さりのような成分も感じるようになります。


Final Eタイプ LL
Mと比較して低音域が明らかに一段階重くなり、また音の広がりも少し強くなりました。しかし、音の抜け感はMサイズの方が上だったと思います。


Final Eタイプ SS
LLと比較して音の鮮烈さが増しました。音によりパワーが産まれ濃厚になり、いちばん私好みです。


というわけで、私はODINはFinal Eタイプ SSサイズで運用していくことにしました。








あとがき


というわけで、EMPIRE EARS ODINのレビューでした。
このイヤホンはおいそれとおすすめ出来るような値段でもないですし、完璧かと言われるとそんなことも無いです。曲によってはANDROMEDA 2020と大差なかったり、Laylaに負けたり、そんなことも普通にあります。

しかし、非常にクオリティの高い唯一無二のイヤホンであることは間違いないので、オーディオマニアなら一度くらいは聞いてみて欲しいですね。

というわけで、以上です。



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