クラファンで何かと話題のCCA NRAの音質をレビュー。低価格中華ESTイヤホン
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本日は、クラウドファンディング騒動や低価格ESTなどで何かと話題になったCCA NRAをレビューしたいと思います。
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それではどうぞ。
パッケージ、静電型ドライバーについてなど

パッケージです。いつもの低価格中華イヤホンという感じの小型の箱ですね。

裏面にはスペックが記載されています。

スライド式の箱を開けると、本体が現れます。ちょっと想像より高級感があったので開けた瞬間ビックリしました。

付属品はケーブル、イヤーピース、説明書です。

このイヤホンのイヤーピースはなんだか特殊な形をしています。RADIUSのディープマウントイヤーピースに近いような不思議な形です。

コネクタは2pin QDCタイプ。ノズルは樹脂製です。

イヤホンのフェイスプレートはマットな質感の金属製です。とても3000円以下のイヤホンには見えませんね。

ケーブルは銀メッキ線になっています。マイク付きとマイク無しを選べますが、私はマイク無しを選びました。
インピーダンスは25Ωと中華イヤホンにしては少し高めです。感度は103dB/mwとそこまで鳴らしにくい印象はありません。
再生数帯域は20Hz~40KHzと、中華イヤホンにしては珍しく日本で言うハイレゾ対応イヤホンになっています。EST搭載機種と言うと100khzまで再生できたりするので、いつもより図る範囲を広げたということでしょうか。まあ聴こえないのでどうでもいい話ではありますが。
ドライバーには6.8mm低電圧静電ドライバーと、10mm三重磁気回路ダイナミックドライバーが搭載されています。二重磁気回路をさらにアップグレードしたであろう三重磁気回路ドライバーも注目すべき点ではありますが、このイヤホンのいちばんのポイントとなるのは低電圧静電ドライバーでしょう。
そもそも、このイヤホンに搭載されている低電圧静電ドライバーとはいわゆるEST、エレクトロ・スタティックドライバというものを指します。これはコンデンサー型ドライバとも呼ばれるもので、これまではSonion社のものを搭載した高級機ばかりでした。中華ですらこれを搭載して普通に作れば何万円もするハイエンドと呼べるような代物になります。
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それがなんと3000円を下回る価格で、それもさらにハイブリッド型だというのだからその衝撃たるや凄まじいものでした。
ただ、それだけで終わっていればよかったのですが……よくわからないMEETS TRADINGとかいう団体がクラウドファンディングサイトにて元値2000円台のイヤホンを5000円で販売。さらにクソみたいな付属品で1万円近い値段でも販売とかいう訳の分からないことをしでかして、更には中国からCCA NRAを購入することも不可能になるという大騒動に。結局そんなこんなで今では普通に手に入るイヤホンですが、これ買うならZEX買うわ、みたいな立ち位置になってしまった可哀想なイヤホンです。
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とは言ってもKZ初のEST搭載機種ですから、持っていても損は無いと思います。私も今更ながら購入したのは中華ESTに興味があったからですしね。
私はSTAX SRS-002というコンデンサー型イヤースピーカーと、EMPIRE EARS ODINというEST搭載機種を既に所有しているのですが、前者はともかく後者は40万円もする超高級機種です。搭載数が多いというのもあるとは思いますが、他社のEST搭載機種もまあそのくらいの値段は普通にします。そんなESTがこの値段で手に入るなんて、そりゃ気になるじゃないですか。
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もちろん価格帯も遥かに違えばメーカーのチューニングにかける執念も違うので比較レビューなどはしませんが、一応中華ESTがどんなもんかという観点からレビューしていきたいと思います。
音質。しっかりとESTを感じられるドンシャリサウンド
それでは音質のレビューに入っていきます。
アンプはmicro idsd BLを使用しました。
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この手の中華イヤホンにありがちな事として、ハイパワーなアンプを使用すると高音域がうるさくなる、というものがあります。なので、一応スマホや小型のポタアンなんかでも後々聞いてみるつもりです。
・アルルカン ジレンマ
このイヤホンの音を一言で言うなら、ESTらしい高音のドンシャリ、という感じでしょうか。
思っていたより高音域はESTっぽさがあります。非常に鋭く細かく出るのですが、全く刺さりや嫌な歪みっぽさを感じさせないシルキーな高域は確かにESTっぽいです。
この価格帯のハイブリッド型イヤホンと言うと大抵はBAとDDのハイブリッドですが、その手のイヤホンは高音域が少し刺さったり聞き疲れするような歪みっぽさを感じさせる機種も多いです。この機種にはそのようなことがまるでありません。
CCZ emeraldと比較すると、NRAはより高音域がよく出て、低音もどっしりと出るドンシャリ、という感じがします。いかにもKZらしいバランスです。
高音域は非常に細かく鋭く出ています。ただESTらしく刺さりは無く、非常にシルキーな高音です。BAのカッチリした高音やダイナミックドライバーの高音とはまた違った面白さがあります。
中音域は非常に高解像度です。これはESTが関係しているのか、特に中高音域の見晴らしの良さが非常に私好みです。ギターの音色などがとてもソリッドで分離も良く、かなりのクオリティに仕上がっていますね。
低音域はミッドベースあたりがズンドコ響く感じです。サブベースがうねるように出る、ということはありませんが、量感の不足や中音域に被るということはまるでありません。
Lynch. DON’T GIVE UP
このイヤホンを聴いていて少し思ったのは、このイヤホンはKZ EDX PROの高音強化版みたいだな、ということです。もちろん違う機種なので音は違うのですが、帯域バランスや低音域の出し方などは非常に似ています。
比較してみるとEDX PROの方が低音域は重たいのですが、その他のバランスはやはり似ていました。EDX PROが好きな人はこのイヤホンも気に入ることでしょう。
EDX PROと比較すると少しだけ中音域はカラっとしています。その分音はクリアですが、艶感などはあまりありませんね。
やはり高音域は非常に細かく、量感も豊富。かつ刺さりを感じさせないESTっぽい高音です。私はマルチBAやダイナミックドライバーのイヤホンでは刺さりを感じることが多いのですが、このイヤホンは量感が多いにも関わらず全く嫌な感じがしません。
中音域は非常にクリアでカラっとしています。特に中高音域の分離感の高さは非常に優れたものを感じますね。
低音域は非常にしっかりと出ています。ESTなので高音寄りのイヤホンかと思いきや、そこはさすがハイブリッド。高音の量感と低音の量感が上手い具合に分離して、音の情報は多いのにごちゃつかない上手いバランスを作り上げています。
・己龍 鬼祭-再録
やはり高音域のチャリチャリとした独特の質感が印象的ですね。そしてこの曲ではギターの分離感が凄まじい。情報量がとても多いのに混濁していないのはさすがESTハイブリッドという感じでしょうか。
音場は少し広めに感じます。空間がカラッとしているからかもしれませんが、閉塞感はまるでありません。
この曲ではドラムのアタックが非常にソリッドで聴きごたえがありますね。全体的に私好みの音色です。
もちろん完璧という訳ではなく、もう少し中音域に艶があればと思うのですが、それはこの価格帯につける文句ではないでしょう。もう少し値段が上がれば搭載するドライバーの数も増えると思うので、その場合は中音域の艶感が付与されるのかな、なんて思います。
・イケナイGO AHEAD
やはり、全体域非常にクリアで見通しが良く、それでいて解像度も高い、非常にレベルの高いイヤホンです。いわゆる誰が聞いても高音質に感じるであろうイヤホン、という感じですね。
中高音域の分離感は相変わらず高く、ギターの音色が非常に気持ちいいです。
この曲では低音域はそこまで目立たず、ソリッドなアタックが主張している、という感じでした。中華イヤホンにしてはどちらかというと低音域は弱い方なのかもしれません。
・義勇忍侠花吹雪
この曲では鈴の音が刺さることが多いのですが、このイヤホンはそんなことをまるで感じさせません。量感は多いながら、非常に上手くコントロールされた高音域です。
中音域はやはり非常にクリアで分離がとてもいい。情報量は多いものの、まるで混濁した印象を与えない上質なハイブリッド型という言葉がやはり思い浮かびます。
低音域はやはりミッドベースあたりが強いバランス。重低音らしい重低音は出ていませんが、ベースラインなどを非常に良く追えます。個人的にはこれ以上低音を増やすとせっかくの中高音域の分離が台無しになると思うので、このくらいのバランスがちょうどいいのかな、なんて思いますね。
リケーブルしてみた
今回は、JSHiFi 白龍というケーブルにリケーブルしてみました。
するとさらに情報量が増えました。そして、中音域に艶が付与され、ヴォーカルラインがより近くなり、綺麗に聞こえます。
低音域はサブベースあたりがすこし持ち上がる印象で、地を這うような低音が付与されます。アタック感もさらに重くなりました。
純正ケーブルのNRAはカラッとした中音域が特徴的だったのですが、リケーブルしたNRAは中音域に艶のある全体的な上質なドンシャリ、という感じになりました。かなりの差があるので、このイヤホンはリケーブル推奨です。
スマホ直挿しで聞いてみた
このイヤホンですが、スマホ直挿しでもあまり音の変化がない印象を受けました。少し音の分離が弱くなり音が混濁する印象ですが、マルチBAや多ドラのイヤホンと比較するとそこまで大きな差はありません。
例えばKBEAR Larkなどは高出力なアンプとスマホでは非常に音が変わるのですが、このイヤホンは高出力でもそこまで高域が暴れたりとかそういうことは無いみたいです。
高出力なアンプやDAP、スマートフォン、ドングル型のUSB-DAC。どれでも楽しめる万能なイヤホンですね。
FX-AUDIO PH-01Jでも聞いてみましたが、多少のホワイトノイズがあるものの充分普通に使えるレベルでした。ちなみにPH-01Jではmicro idsd BLと比較して低音が少し強く出て、アタックが少しだけ強くなります。しかし、スマホ直挿しと同じくそこまでの音の差は感じませんでした。このイヤホンはどんな機器に接続しても同じクオリティの音を出してくれることでしょう。
あとがき
色々な意味で何かと話題になったイヤホンですが、このイヤホン。音は本物です。
この価格帯でEST特有の音色を聞けるだなんて私も思っていなかったので、これは結構びっくりしましたね。
また外観も非常に高級感があり、このイヤホンはかなりの名器だと個人的には思います。ZEXの影に隠れてしまうのはもったいないいいイヤホンですので、是非とも購入してみてください。
それでは、以上です。
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