Cayin (カイン) C9 ポータブルヘッドホンアンプの音質レビュー。真空管搭載の大型ポタアン
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どうも、温泉の人(@otkZLQ2xGa4Fcqb)です。
本日は、Cayin (カイン)のポータブルヘッドホンアンプ、C9のレビューです。
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それではどうぞ。
DAC非搭載の完全アナログアンプ
このヘッドホンアンプは、今では珍しいポータブルアンプの中でもさらに珍しいDAC非搭載の完全アナログアンプです。
本体はとても重く、とても大きいです。ポータブルアンプというよりほとんど据え置きレベルですね。
このアンプの大きな特徴として、真空管とトランジスタの2種類のモード切り替えができるというものがあります。
真空管にはKORG社製のNutubeという直熱三極管を採用しており、マイクロフォニックノイズやホワイトノイズはほぼありません。私はEK JAPAN TU-HP01という真空管ポータブルアンプを所有していますが、それと比較すると雲泥の差です。これはNutubeによるものなのか、それともCayin社の設計が優秀なのかは分かりませんが。

真空管モードに切り替えると、僅かな時間無音になりNutubeが青く点灯します。本体の高級感も相まって、非常にクールですね。
音質。温かみと深みのある上品なサウンド
今回は、micro idsd BLからラインアウトで接続して聴いてみました。
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使用したイヤホンはEMPIRE EARS ODINです。
・己龍 空蝉
まずはトランジスタモードですが、micro idsd BLと比較してまろやかな音色に感じます。micro idsd BLが高域などもソリッドでアタック感を押し出してくるのに対し、C9は高域が少なめで音の押し出しも弱いです。非常にまろやかで聞きやすく、低域のアタックにも重さがありますね。
高域が少ないと言うとあまりいい印象を与えないかもしれませんが、ただ高域を押し出しただけではギラついただけの安っぽい音になるので、決して高域が少ないことが悪い点とは思いません。むしろ、高域を高レベルで制動して、楽曲全体のクオリティを底上げしている、という方が正しいでしょう。
次にニューチューブですが、これは真空管というものをイメージしていると少し違う印象を受けます。
真空管というと高域が減衰して、中域に厚みが出て低域が重くなる、というような印象を個人的に持っているのですが、このアンプはそのような露骨な真空管っぽさとは無縁のサウンドでした。
さらに言うとトランジスタモードも元から真空管っぽいようなテイストのあるサウンドです。特に高域がそこまでギラついておらず、丸みのあるふくよかなサウンドなのが真空管っぽいです。
音色は確かに違うのですが、どちらも非常に似通っているサウンドなのでこれはどちらでも楽しめると思いました。
・アルルカン ラズルダズル
まずはトランジスタモードですが、こちらは非常にアタック感が重く私好みのサウンドです。低域がただ押し出されているという訳ではなく、空気感などの再現率や音自体の迫力が高い、という意味で重い、と表現しています。
高音域はやはりmicro idsd BLと比較すると少し控えめで、どちらかというと低域寄りのまろやかなアンプだと感じますね。
真空管モードでは低域のアタックがより重くなり、一音一音にパワーが出ている気がします。その分、高音域が少しだけ弱まったような印象です。
ただ、トランジスタモードも真空管モードも音色は似ています。
・あらかねの器
やはり、このアンプはトランジスタモードでもmicro idsd BLに比べて温かみがあります。アナログアンプでこの値段というのも恐ろしいですが、それに見合う音質は持っていると思います。それに本体の質感も非常に高く、自作キットやモバイルバッテリーみたいなものが多い他社製のポタアンと比べるとAK DAPのような上品さを感じます。
真空管モードはやはり低域に深みが出ます。音の空気感の再現がより上質になるというイメージです。
クリアさは流石にトランジスタモードの方が上ですが、音に深みがあるのは真空管モードです。音場が広がったり低域が強くなると言うよりは、音に深みが出る、という言い方がやはり適している気がします。
ただ、音場の広さ、音のクリアさに関してはmicro idsd BLも決して負けていません。具体的には、micro idsd BLの音場が10だとしたらC9の音場は7から8くらいだと思います。特にmicro idsd BLは遠くまで全てを見通せるような開放感が素晴らしいです。
また、音の透明感やソリッドさに関してはmicro idsd BLの方が上です。C9はどちらかというとまろやかな音色なので、解像度重視のmicro idsd BLと比べるとその辺は少し劣っていると感じました。
ただ、ヴォーカルの近さや音の深みなどはC9の真空管モードが断然上です。用途や自分の好みのジャンルなどによって使い分けるのが適しているでしょうね。
この手のアンプやDAPと言うと高価な方が高音質だ、なんて盲信している人が多いですが、正直なところある程度のレベルを超えればあとは好みの差なので視聴は必須だと思います。例えば私なんかリファレンスはmicro idsd BLですが普段は2万程度の真空管ポタアンを繋げて使っていますし……
あとがき
というわけで、Cayinの真空管ポタアン、C9のレビューでした。
アナログアンプの癖にeイヤホンにて24万という驚異的な値段のするポータブルアンプですが、確かにこのレベルの音であればそこまで高いとは思いません。コスパがいいとは決して言えませんが、これでしか出せない音色があるため購入する人も多いのだと思います。
このクラスのポタアンを買う人と言うと、もう既に高価なDAPを所有していると思うので、そこからラインアウトで繋ぐのであれば確かにDACは不必要です。その分アナログアンプ部分の設計にコストをかけられると思えば、むしろDACは非搭載なのが正解なのかもしれませんね。
それでは、以上です。
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