Noble Audio FoKus PROの音質は有線イヤホンと比較して如何に?最強ワイヤレスイヤホンを辛口レビュー
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本日は、Noble Audioの新作完全ワイヤレスイヤホン、FoKus PROの音質はどの程度のものなのか、普段有線イヤホンを使っている私がレビューしてみたいと思います。
それではどうぞ。
スペックなど
Noble audioというと、JH audioや64 audioなどとマルチBAハイエンドイヤホンのトップの座を争っている超有名有線イヤホンメーカーですが、ここ最近ではBluetoothイヤホンにも力を入れており、さらにその音質がいい事から他のハイエンドイヤホンメーカーと比較して比較的有名なメーカーになってたりします。
そんなNoble audioが新たに新作として出した完全ワイヤレスイヤホンこと、FoKus PRO。このイヤホンは完全ワイヤレスながら価格は他社製TWSから頭一つ抜けた55000円という超高級ワイヤレスイヤホンです。
参考程度に、巷を騒がせたSONYのWF-1000XM4が今現在26,799円です。
それでいて、アクティブノイズキャンセリングや防水機能すら非搭載という色んな意味でとんでもないワイヤレスイヤホンです。
どうやら音響設計に制約が出るとのことで防水機能を見送ったらしいです。まあ確かに完全密閉のマルチBAなどと違いダイナミックドライバー搭載機種なので、防水にすると色々制約は出てくるのかもしれません。
ノイズキャンセリングに関してもマイクを搭載するスペースやノイキャンにアンプの性能を使うくらいならいっそ要らない、ということで非搭載になったとの事。
完全ワイヤレスイヤホンの大きな弱点はその小さな筐体内に色んなものを詰め込まなければならないため、音響設計に難が出ること。そして、その小さな筐体内に内蔵できる小さなアンプとバッテリーの非力な音しか出せない、という点なので、そういう点を考えればノイズキャンセリング非対応というのも頷けます。
スペックとしては中高域用にKnowles製BAドライバー2基、低域用に8.2mmのダイナミックドライバー1基を搭載した2wayのハイブリッド。
同社FALCON PROや、AVIOT TE-BD21j、他にはKZの完全ワイヤレスイヤホンなど今では結構沢山ありますが、それでも完全ワイヤレスイヤホンでBA搭載という点は珍しいです。
対応コーデックはSBC/AAC/aptX/aptX adaptive、Bluetoothバージョンは5.2と申し分無し。本体バッテリーは45mAhで再生時間は7.5時間と、音質に振り切った割には省エネな部類だと思います。
音質は如何に?有線派を満足させられるのか
それでは音質のレビューに入っていきます。
その前に、まず言っておくこととして、私はワイヤレスイヤホンやワイヤレスヘッドホンに音質は期待していません。
その理由は色々ありますが、まず小さな筐体内にチップやマイクなどを詰め込む必要があり、アコースティックな音響設計に難があること。
更に、そのような余計な機能にお金がかかるので肝心のドライバー性能が値段に見合わないであろうこと。
そしてもうひとつが、非力なバッテリーによる駆動のアンプではドライバーを満足に鳴らし切る事が出来ないからです。
この辺は過去記事にて書きました。
Bluetoothイヤホンが有線の音質に勝つために超えなければならないハードル。無線と有線を比較してみた。
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例えば、SONYのWH-1000XM4なんかは正直なところ値段ほどの音質はないと思っています。
それを踏まえて、FoKus PROの音質はどの程度のものか、辛口レビューしていきたいと思います。
・Palette
上で色々書きましたが、前言は撤回させて頂きます。このイヤホン、一聴しただけでかなりの衝撃を受けました。この音のクリアさは完全ワイヤレスとは到底思えません。
この曲を聴く限り、Acoustune RS ONEや、SENNHEISER IE 100 PRO、Shure SE215SPEなど、一万円程度の半端な有線イヤホンより遥かに音がいいのではないかと思えるほどです。もちろん、それらは強力なアンプを通した際の鳴らしきった状態で、です。
なんならShureのAONIC4やCCZ Plume 羽といった2~3万円するようなイヤホンに余裕で匹敵するかもしれません。
低音域のアタックはソリッドで、高音域も過不足なく出ています。中音域も非常にクリアで、これがワイヤレス最高峰の音か、と感心してしまいました。
・悦ト鬱 再録
では、ここからは有線イヤホンユーザー目線での辛口な評価も書いていきたいと思います。
確かに、このイヤホンはワイヤレスとは思えないほどの高音質です。恐らく、このイヤホンを超える高音質TWSはなかなか出てこないでしょう。
高音域は非常に細かく出ており、低音域は量感は多いものの分離もバッチリ。ヴォーカルラインは圧倒的にクリアです。
ただ、やはり高級有線イヤホン+アンプと比べると荒い部分は沢山あります。例えば高音域は多少歪みっぽいですし、ヴォーカルラインはクリアではあるものの多少遠いです。
・価値観の違いは唯一の救いだった
このイヤホン。ワイヤレスとしては非常に、いや、とんでもなく高音質です。低音域も高音域も分離よく出ていますし、アタック感も完全ワイヤレスイヤホンとしては類を見ないほどソリッドでパンチがあります。
大容量バッテリーと大型アンプを搭載できるワイヤレスヘッドホン、WH-1000XM4と比較しても、間違いなくこちらの方が高音質でしょう。
ただ、このようなラウドな曲ではヴォーカルラインが少し遠めです。これは好みの問題ではあると思いますが、音場が広いと言うよりはヴォーカルが遠いのです。そこ以外は完璧だけに少し気になってしまいました。
というか、聞く前はボロカス書くつもりだったのですが、予想を大幅に超えてきたことに驚いています。ワイヤレスイヤホンの雑魚アンプで3ドラをこの音で鳴らせるということに驚きを隠せません。老舗イヤホンメーカーの意地というか力を感じます。
あとがき。間違いなく最強のワイヤレスイヤホン
このイヤホンを聞いてみて、完全ワイヤレスイヤホンの進化に驚かされました。完全ワイヤレスでもこんな音が出せるなんて思ってもいなかったので、これなら5万程度で揃えられる半端な有線イヤホンとDAPなんてもはやいらないと思えるくらいです。
ただ、それと同時に、有線イヤホンが淘汰されることはまだまだ無いのだろうな、ということも思いました。
やはり、ワイヤレスイヤホンということでアンプ部分が非力なのでしょう。どうしても音に奥行きというか、深みを感じられません。
高級イヤホンと高品質なアンプの組み合わせと比べると、どうしても音のメリハリや奥行という部分では劣ってしまっています。価格が5万円超えということで、そこがやはり気になってしまいました。
しかし、半端な優先イヤホンとアンプを買うくらいならこのイヤホンを買った方が幸せになれるのは間違いないです。それくらい、ワイヤレスイヤホンとしては非常に高音質でした。
今は一時受注停止になってしまっていますが、もし再版されたとして購入して後悔することは決してないと思います。音質重視のワイヤレスイヤホンは?と聞かれたら、間違いなく私はこのイヤホンの名を挙げるでしょう。
更に、予算5万円程度で有線イヤホンとDAP、ポタアンなどを揃えるくらいなら、このイヤホンを買った方が間違いなく有意義だと思います。音質もそうですが、このイヤホンはTWS。いつでもどこでも煩わしいコードに悩まされることなく運用できます。
完全ワイヤレスがこのレベルまで来たのなら、いよいよ有線イヤホンはマニアのためだけのものになってしまいそうですね。もちろん苦肉の策としてノイズキャンセリングやら防水やら何もかも追っ払った機能性皆無のTWSですから、他社が安易にこのレベルの音のワイヤレスイヤホンを出すことは到底出来ないと思いますが、Nobleの後追いをするメーカーがひとつくらいは出てきても面白いかな、なんて思います。
ちなみにSONYのwf‑1000xm4と聴き比べてみましたが、明らかにFoKus PROの方が高音質でした。具体的には音の抜けの良さと解像度がまるで違います。
それでは、以上です。
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