高音が刺さるイヤホンに。OSTRY 高域刺さり抑制調音用イヤーピース OS300 OS200 OS100の音質を比較レビュー
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本日は、高音刺さり抑制調音用イヤーピース、CS000シリーズをレビューしたいと思います。
それではどうぞ。
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イヤーピースの外観

イヤーピースのパッケージはこんな感じです。結構簡素ですが、まあ値段も安いのでこんなものでしょう。

各イヤーピースを装着した際の変化のグラフが載ってました。結構大きく変わってるので、音質への影響は普通のイヤーピースと比較して大きいと思います。

イヤピの質感は固めで、メッシュフィルターが付いています。耳垢の侵入防止にも良さそうですね。

内部を見てみると、金属のパーツが入っていました。これで歯擦音を低減しているのでしょうか。
音響フィルターと言うと、イヤホンを作る際音導管に入れるものが思い浮かびます。
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Amazonの商品説明によると、OS100(青)が高域の歯擦音を若干低減させ、イヤホンの音の傾向を損なわない高域減衰効果、OS200(赤)がOS100よりより強い歯擦音の低減をかけ低域が増える効果、OS300(黒)が高域に大きくフィルターをかけ、歯擦音の低減を強めにし、より低域を強調する効果があるそうです。
イヤホンによっては相性問題が露骨
今回はEMPIRE EARS ODIN、Campfire Audio ANDROMEDA 2020、KBEAR Larkで試してみました。
本当は例えばIE 40 PROみたいな歯擦音の酷いイヤホンで試してみたいのですが、私は元々高音に敏感で、歯擦音が大の苦手な人間です。なので歯擦音の目立つようなイヤホンはひとつも所有していません。ですから今回は歯擦音というよりは、音がどのように変化するかということをメインとしてレビューしていきます。
また、一般的に高音減衰の効果が知られている低反発イヤーピース、いわゆるコンプライ系と、これまた低音強化で知られているFinalのEタイプも同時に比較していきます。リファレンスはSONYのハイブリッドイヤーピース、EP-EX11です。
ちなみにこのイヤーピース、対応サイズが4mm~6mmということですが、ノズルが極端に太いANDROMEDA 2020でも装着できたので、大抵のイヤホンには装着できるでしょう。Shureなどのような極端にノズルが細いものでもなければ気にしなくて良いかと思われます。
こういうフィルター系のイヤーピースだとかはピュアオーディオ的考えではどちらかと言うと悪者扱いされがちですが、位相が狂うイコライザーなどとは違いアコースティックに自然に音を変えられるので私は使った方が音がいいのなら使うべきだと考えます。
例えば私が所有するヘッドホン、beyerdynamic T5P 2ndなんかは歯擦音が結構キツイので、耳とヘッドホンの間に1枚ティッシュを噛ませた方がいい音だったりします。
流石にティッシュを毎回挟むというのも現実的では無いため行っていませんが……
つまり、他の帯域は素晴らしいけど、歯擦音が気になる。そういうイヤホンの場合、このイヤーピースを使うことでより自分好みの音になることが考えられます。

実際にEMPIRE EARS ODINに装着してみました。

内部にフィルターが詰まっているので、ノズルが長い製品だと奥まで装着することができません。例えばJH Audio Laylaなんかはとても中途半端な位置で止まってしまいます。

まあLaylaほどノズルの長いイヤホンなどほぼ存在しないのであれですが、例えばKBEAR Larkでも同じようにフィルターに干渉して奥まで入りません。数ミリくらいの隙間ができています。
まあ脱落したり耳に残らなければそれでいいのですが、奥まで挿入できないということは鼓膜とイヤホンの位置が離れるということですので、音への影響は無視できません。まあそういう場合は多少小さめのサイズを選んで奥まで深く挿入すればいい話ではありますが。その辺はこの記事をご覧下さい。
また脱落しなければいいと書きましたが、やはりこのイヤーピース、普通のものより抜けやすいです。

奥まで入れることが出来ないため、挿入しても少し力を入れるとポロッと取れてしまいます。また、EMPIRE EARS ODINのような突起のないカスタム系のノズルを採用したイヤホンの場合保持する部分がないため簡単にするりと抜けてしまいます。

一番相性がいいのはANDROMEDA 2020でした。おそらくノズルの形状が上手くマッチしているのでしょう。
というわけで、ここまでの感覚では音以外はあまり深く考えて作られたイヤーピースではないという印象を受けます。例えば脱落防止はイヤーピース内部のチューブをもう少し長くすればいいだけの話なので。
さて、ここからはフィルターによるアコースティックな音質調整についての話になりますが、フィルター交換で音を変えられるギミックというのは、結構昔から今に至るまで色んなイヤホンで採用されています。
例えばAKG K3003やShure SE846などの元祖高級イヤホンから、現行ハイエンドである64 audioのApexモジュール搭載機種、他にはJVC HA-FD01やTRN STM、Final MAKE1なんかがそうですね。
このようなギミックのメリットとしては、1つのイヤホンで何種類かの違う音色を出すことが出来るようになるため、各自各々好きな音色に調整して使うことが出来るというものがあります。
これは例えばJH Audioのバスコントロールなどにも言えることですが、低音や高音の量感の感じ方というのは人それぞれ違います。人によっては丁度いい量が、人によっては多すぎたり少なすぎたりします。それをユーザー側が簡単に調整することが出来るということは、それだけたくさんの人の好みに合わせることが出来るということです。
実際、このようなギミックというのは下手なリケーブルやイヤーピース交換よりも差が大きかったりするので、採用されているとユーザーとしてもとても得をした気分になりますね。
音質。CS100は音の質感を変えずに歯擦音を減らすことが可能
それでは音質のレビューに入っていきます。
アンプはmicro idsd BLを使用しました。
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・アルルカン ジレンマ
それではまずはKBEAR Larkで聴き比べてみたいと思います。
イヤーピースはリファレンスのEP-EX11です。
このイヤホンなのですが、高出力な機器に繋いで聞くと高域がとても暴れるという特性があります。
例えばこの曲ではバスドラムのアタック音がとにかく鋭くて耳が痛くなります。それ以外は非常に高解像度で、またヴォーカル帯域が乾いていたり引っ込んだりしていないいいイヤホンだとは思います。

ではまずOS100の音の感想ですが、これは確かに変わります。具体的には、不快だったバスドラムのアタックの高域部分が消えて、全体的な音はそのまま、という、まさにフィルターのような効果をしっかりと感じられる音ですね。
ただ、少し聴きやすくなったとはいえ、まだまだバスドラムの質感は硬質で耳に痛いです。

というわけで、カット率の高いOS200に変えてみました。すると、バスドラムの痛い音色がより強く収まりました。
ただ、今度は音色の変化を感じます。具体的には高域がある帯域からカットされたかのような感じで、本当に耳をすましてようやく聞こえる、という程度になっています。
また、音量も少し小さくなったような気がします。全体的な音の質感はまだまだあまり変化は無いですが、全体的に少しクリアさが薄まったような印象ですね。

ではOS300に変更してみると、ここまで来てやっとバスドラムのキックの音の鳴りはちょっと強いかな?くらいになりました。
ただ、流石にOS300ともなると音の変化が激しいです。具体的には、高域がOS200から更に削がれたような感じで、音量も結構小さくなっています。
ただ、減衰する帯域は高域のみのようで、それ以外の帯域にあまり影響を及ぼしていないのは意外でした。確かに高域はもはや蚊の鳴くような音しか出ていませんが、中音域から低音域はあくまでも元の質感を保っています。
コンプライ系イヤーピースと比較すると、コンプライ系イヤーピースの方が高域のカット率、というよりは減衰率は高いように思えます。コンプライはOS300よりもより高域の減衰率が高く、ドラムの耳に痛いキックもOS300以上に静かになっていますし、高域もOS300以上に聞き取れません。音量の低下率も同じくらいだと感じました。
では最後にFinalのEタイプですが、やはり音がクリアだ、というのが第一印象です。また、音像の定位と広がりも非常にナチュラルで、ドラムの痛いキックさえなければこれが一番いい音に感じます。
個人的にはこのような音数の多いラウド系ソングだと、高域が減衰したくらいではそこまで大きな差は出にくいのかな、と感じました。高域が減衰する=中低域が増幅されるということでもあるのですが、ぶっちゃけそういう効果も劇的な訳ではありません。かなり自然な変化のイヤーピースというのが第一印象です。
・Lynch. EVOKE
さて、お次はイヤホンをANDROMEDA 2020に変えてみたいと思います。
まずはリファレンスのEP-EX11で聞いていきたいと思います。
さて、その前に、まず数千円のイヤホンからいきなり10万円以上のイヤホンに変えた感想を書きたいと思います。
まず、値段が何十倍だから音質も何十倍か、というと、そんなことは間違いなくありません。しかし、やはり高いものは高いだけあって文章化できない大きな差があると感じました。
私の拙い表現力で表すとしたら、押し付けがましくないのにものすごい迫力があり、音の密度が濃い、というのが適切な表現でしょうか。音のひとつひとつに艶があり、臨場感がとても高いです。それと比べると、Larkはなにもかもが押し付けがましく、艶のない乾いた音に聞こえてしまいます。
で、EP-EX11の音の感想ですが、やはりBA5機のマルチBAイヤホンということで音は粒子的です。特にそれが顕著なのが高域で、決して耳に刺さりはしないものの解像度の高いシルキーな高域が特徴的だと感じました。
ではまずOS100から。こちらはやはり音の全体的な質感にあまり変化はなく、自然に高域が少し減衰する、という感じの印象です。正直なところ、この程度ならあまり差がないと言ってしまっていいと思います。
というか、そもそも歯擦音低減をウリにしたイヤーピースなので、歯擦音のない曲にイヤホンと合わせてもあまり効果が感じられないのは当然かもしれませんね。
ではOS200に変更してみます。すると、今度は出だしのシャウトが少し曇ったような印象を受けました。音が全体的に少し暗くなり、高域もあまり聞こえなくなりましたね。解像度と分離感が少し落ちたような気がします。
その分、低域は少し増した感じがします。具体的には、ドラムのキックがズシンズシンと響く感覚がより強く伝わってきます。
では最後にOS300です。出だしのシャウトが曇るのはやはりOS200と共通ですね。そして、やはり音がかなり暗くなりました。高域がかなり弱まり、低域が強いウォーム系のサウンドですね。
音が少し団子になっているような感覚もあります。ただ、これはこれでそこまで悪くはありません。
というわけで最後はコンプライとFinalのEタイプです。これはどういう訳か、OS300よりコンプライの方が音はクリアで高域もちゃんと出ていますね。音の分離感も申し分ないです。ただ、低域は明らかにOS200、OS300の方が強いです。
FinalのEタイプに関してはやはりとてもクリアです。そして、心做しかコンプライよりも低域のメリハリが良く、臨場感を感じやすいような気がします。標準付属のイヤーピースだけあって、相性は悪くないです。私はスパイラルドットやXELENTO REMOTE用イヤーピースに変更していますが……
夢幻ノ救憐唱 ~堕チル星ノ調ベ~ ハイレゾ版
さて、ここからが本番です。というのも、私が所有するイヤホンの中で一番高域が強いのがEMPIRE EARS ODINだからです。
私はこれまで高域があまり派手なイヤホンは好みではなかったのですが、このイヤホンは分離感が凄まじく、低域も中域も出るのに高域もとても出る、という特殊なイヤホンでした。視聴して明らかにほかのイヤホンとは違う個性を感じられたので、衝動買いしてしまいました。
で、そんなODINには4機のEST(エレクトロスタティックドライバ)というものが搭載されています。
これはSTAXなどで有名なコンデンサー型ドライバに、トランスを内蔵した小型のユニットで、BAドライバで有名なSONION社が開発した第三のイヤホンドライバです。
特徴としてはやはりコンデンサー型なだけあってとても高い解像度を誇り、そして刺さらないという相反するかのような2つの性質を両立した特殊な音になっています。
まあそんな話は置いといて曲の紹介に入りますが、この曲はシンフォニックメタル系の曲で、私が普段聞く曲の中では結構歯擦音が目立つ曲です。実際、EP-EX11で聞くと結構歯擦音が目立ちます。
ESTらしさを感じられるのはシンバル類などの音色が主で、ヴォーカル帯域はあまりESTらしさを感じません。しっかり刺さりを感じます。耳が結構痛いです。
では歯擦音低減イヤーピースの真の実力を見せてもらいましょうか。OS100から試していきます。
OS100ですが、確かに歯擦音が少し弱まっています。まだまだ全然刺さるのですが、全体的な音の質感を変えずに歯擦音のピークのみを丸く削ったかのような変化をしており、確かにこれは凄いです。
変化しているのは歯擦音のピークのみで、全体的な音の質感はそこまで、というかほぼ変わりません。ただ全体的な音の質感は変わらないものの、歯擦音の低減レベルも当然三種類の中で一番低いので、まだまだ刺さりは感じます。
というわけで次はOS200です。なるほど、確かにこれは凄い。歯擦音が完全に消え去りました。
高域は確かに減衰していますが、十分ODINと言える音はしています。ただ、EST特有のチャリチャリとした音からBAドライバのようなシャリシャリした音に変わってしまっているので、その辺はちょっと意外というか、ESTでもフィルターによりこんな音が出るんだ、という感想です。
それ以外の帯域は相変わらずそこまで変化はありませんが、やはり音のダイレクトさは失われますね。高域が減衰することで少し曇ったような印象を与えるせいかもしれません。
では最後にCS300です。こちらはより歯擦音が弱くなりましたが、自ずと高域もより弱くなりました。
それでもODINは高域が強めなイヤホンなので、充分聞けるバランスではあります。
ただ、流石にCS300ともなると音量の低下も気になりました。聞き比べる際は音量を適切に合わせる必要がありますが、それが結構難しいです。ただ、音量を上げても歯擦音は目立たなくなっているので、効果は確かに感じられます。
ではコンプライはどうでしょうか。こちらはCS300と比較するとかなりクリアです。高域も多少減衰しているものの、ESTらしさは残っています。そして、歯擦音も目立ちません。
それと比較すると、CS300はかなり低域寄りで、ウォームな音色に感じます。確かに低音強化の効果はかなり強いですが、歯擦音を抑えるためだけならこの曲とODINの組み合わせではコンプライの方がいい結果を得られました。
Final Eタイプはやはり非常にクリアです。コンプライもCS300と比較すると充分クリアでしたが、やはりシリコン系イヤーピースの方がESTらしい高音を強く感じられますね。ただ歯擦音は目立ちました。
あとがき ASMRなどにもオススメかも
あとがきです。このイヤーピース、確かにフィルターの効果を感じられるいいイヤーピースだと思いました。音としては高域と歯擦音を弱めて低域を強化し、多少ウォーム寄りに仕上げる感じなので、ブライトすぎるイヤホンなどと相性がいいと思います。
またCS100に関しては全体の音色をほとんど変えることなく歯擦音のみを弱めてくれるので、音質変化は避けたいけど歯擦音がキツい、という方はCS100を選ぶといいと思います。
また、このイヤーピースはASMRなどにもおすすめだと思いました。ウィスパーボイスは歯擦音が目立ちやすいので、それを低減するこのイヤーピースはよりリアルさを感じやすくなることでしょう。
というわけで、今回はここまでとなります。
それでは、以上です。
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