ifi audio micro idsd signatureの音質をレビュー。micro idsd BLと比較【ブログ】
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本日は、ifi audioのmicro idsdシリーズ最新作、micro idsd signatureの音質をレビューしていきたいと思います。
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それではどうぞ。
スペック。グラウンド分離の擬似バランス

引用:http://ifi-audio.jp/micro/micro_idsd_signature.html
micro idsd signatureのスペックは基本的にはmicro idsd BLからあまり変わっていませんが、大きく変わった点もいくつか存在します。
まず最大のポイントはバランス出力に対応したというところ。4.4mmジャックが搭載され、バランス接続することが可能になりました。
ただし、これはグラウンド分離の擬似バランス(ifi曰くSバランス)というもので、フルバランスのように出力が2倍にはなりませんので注意が必要です。フルバランスがいいのであればxDSD Gryphonやmicro idsd Diabloを選んだ方がいいでしょう。
DACにはTI/バーブラウンのDSD1793がデュアルで搭載されています。
ちなみに、micro idsdというと多機能ポタアンの代名詞みたいな存在ですが、micro idsd signatureはmicro idsd BLから色々な機能が廃止されています。
まずはライン入力の廃止。つまりはアナログポタアンとして使うことが出来なくなりました。ifi audioのアナログアンプは非常に出来がいいだけに、これはなかなか痛いです。現状スマートフォンのイヤホンジャックも無くなってきているし、いらないと判断したのかもしれませんが私的にはこれは非常に悲しいです。同じifiのxDSD Gryphonはアナログアンプとして使えるので、これが廃止されたのがGryphonとどちらを選ぶか悩む最大のポイントになっています。
というのも、私は真空管プリアンプを組み込んだシステムの一部としてmicro idsd BLをアナログアンプとして使っているため、そのような使い方が出来ないというのは少し困ります。まあ現状micro idsd BLが不調なのでFiio E12という別のアンプを使用していますが……
次にS/PDIF出力廃止とUSB電源出力廃止。micro idsd BLはモバイルバッテリーとしても使えたのですが、それが無くなりました。まあこの機能は正直使う人もほぼ居なかったと思うので問題ありません。
S/PDIF出力の廃止はUSB→S/PDIF D/Dコンバーターとして使うようなことが出来なくなりました。この機能は正直な所私は使ったことがありませんので、なくなっても大して困りません。
あとはバスパワー給電が廃止され、充電専用のUSB-C端子が追加されました。これまではPCに繋ぐ場合、接続してから電源を入れることでケーブル1本でバスパワーで動くUSB-DACアンプとして使えたのですが、micro idsd signatureは別にケーブルが1本必要になりました。
micro idsdシリーズお決まりの低音ブーストXbassと、クロスフィードの3D+ Holographicはもちろん搭載されています。この機能もオーディオマニア的にはあまり使わないのですが、出来は非常にいいためあると助かる便利な機能です。ライブ映像とか見る時は両方オンにするとかなり迫力が増しますよ。
RCAライン出力はmicro idsd BLではボリューム固定、可変をスイッチにより切り替えられましたが、signatureは固定になりました。
(0dBフルスケールで2Vrms)
IEMatchももちろん搭載されています。これは音量を絞るためのアッテネータのようなもので、出力インピーダンスが悪化するため(つまり音が変化するため)私はあまり使っていませんが、単品でも決して安くない値段で売られている商品が内蔵されているというのは嬉しいです。
最大4W超えというポタアンとしては異常なまでの暴力的なパワーも相変わらず変わっていません。
公式サイトによると
Turboモード
パワー(最大) 10.0V/4,100mW
パワー(連続) >1,560mW@64Ω
>166mW@600Ω
Normalモード
パワー(最大) 5.5V/1,900mW
パワー(連続) >100mW@300Ω
>950mW@32Ω
Eco mode
パワー(最大) 2.0V/500mW@8Ω
パワー(連続) >250mW@16Ω
とのことです。ここまでシングルエンドで出せるのなら、確かにフルバランスにする必要もないのかもしれませんね。
作りは着実に良くなっている
micro idsd BLと比べて、signatureは非常に作りがいいな、というのが実物を見て出た感想です。
まずボタン類の作り込みや、シャーシデザインの多少の変更など、かなり進化を感じさせる出来栄えです。これはxDSD→xDSD Gryphonでも感じましたが、最近のifi製品は作りがなかなか良くなってきていますね。
最近のポタアンと言うと昔に比べて作りの良さがかなり上がってきているため、ifiもその流れに乗って作りを良くしたのでしょうか。
音質。据え置きにも勝るとも劣らない広大な音場はそのままに、より艶が出た大人な音色に変化
それでは音質のレビューに入っていきます。
今回は、xDSD Gryphonがある今、既に廃盤となったmicro idsd BLから買い換えるのにsignatureは果たしてどうなのか、ということでレビューして行きます。
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イヤホンはEMPIRE EARS ODINを使用しました。
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・アルルカン ジレンマ
まず、micro idsd BLの音色はやはり素晴らしいと感じます。解像度が極めて高く、Hugo2、MOJO2、xDSD Gryphon、C9など、色んなアンプを聞いてきましたがここまで解像度の高いポタアンと言うとやはり思い浮かびません。
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他にもmicro idsd BLの素晴らしい点は音場の広さです。音抜けが極めて良く、据え置き機にも劣らないような音場の広さは、ポタアンの常識を覆しているとすら思えます。
ではそれを踏まえてmicro idsd signatureの音がどうかと言いますと、やはり後継機なだけあって質感は非常に似ています。xDSD Gryphonを聞いた時も思ったのですが、ifiの音作りには一貫性があって好感が持てます。
ただ、じっくりと聞いていくとその差は明確になっていきます。まず、micro idsd signatureは音がmicro idsd BLと比較して濃厚になっています。
特にそれを感じられるのが低音のアタックで、micro idsd signatureは低音域のアタックがBLと比較して少し角を削ぎ落としたように丸くなっており、より聞きやすくなっています。
比較すると、micro idsd BLの方が高音が強く出ていると思います。例えばシンバル類とか、ドラムのキックの高域部分とか、そういう所がBLの方がより強く押し出されています。そのため音抜けはmicro idsd BLの方がいいです。
signatureは高音域の余計な部分を丸めて、より中音域にフォーカスが当たるようになっていますね。
・己龍 私塗レ
micro idsd signatureの音は、やはりmicro idsdシリーズの音です。なので、BLからの乗り換え先を探している、という人は問題なくsignatureに乗り換えていいと思います。
ただ、BLと比較するとやはり違いはあります。BLの方が高域が強くエッジが効いた質感で出るため、比較するとsignatureは少し大人しい印象が否めません。なのでBLの音が気に入っているのであれば、signatureは多少音が大人しいためBLを使い倒すというのも一つの手ではあります。
解像度も高域が強く出ているためBLの方が高く感じやすいと思います。また、音抜けも同じくBLの方が上だと感じられるでしょう。
ただ、BLは少し音の質感が硬質すぎて、聞き疲れというか音の圧に耳が負けるような事があります。この曲では例えばBLはサビ前の高域が少しうるさすぎて音量を下げたくなります。そう考えると、聞きやすいのは圧倒的にsignatureですね。ギラつきが抑えられて大人な印象になった感じです。
・Lynch. DON'T GIVE UP
micro idsd signatureはやはりいいポタアンだと思います。聞いていて特に不満点も思い浮かびませんし、擬似バランスとはいえこれなら10万円でも充分買いだと思います。
ではmicro idsd BLと比較するとどうかと言いますと、やはり違いはちゃんと出ています。
micro idsd BLの方がやはり解像度、音抜けの良さは上ですね。上でも書いた通り、高音域が強めに出ているのでそう感じやすいです。
ただ、やはり少し音が硬質すぎて聞きにくいです。特にODINは解像度が極めて高いイヤホンですので、この組み合わせだと少し耳が痛いです。
それを踏まえて聴くと、micro idsd signatureは高域がうまい具合に丸められており、非常に聞きやすくなっています。micro idsd BLのバリを削ったような音と表現すれば分かりやすいでしょうか。
・青空リレーション
やはり、micro idsd BLは解像度が極めて高い代わりに、音が少し尖っていて聞きにくいです。それと比較して、signatureはやはり幾分か聞きやすくなっていますね。
ただ、トランペットの音色がより綺麗に出ているのはBLだと思います。シンバル類の音色はトゲトゲしいBLよりsignatureの方が好みなのですが、トランペットの音色だけに関して言うならBLの方が圧倒的に好みです。
ただ、ラストのトロンボーンソロはsignatureの方が好みでした。音に艶っぽさがあり、BLよりも聴きごたえがあります。
解像度というか分解能自体はBLの方が高いのですが、音色の奥深さでsignatureの方が遥かに上にいます。
これがxDSD Gryphonだと音の質感はBLと似ていて、解像度が劣るという感じだったので、micro idsdシリーズとxDSDシリーズの違いを感じられます。
比較してみると、Gryphonは三機種の中でいちばんシンバル類の音が硬いと思いました。これは高域の分解能の違いによるものでしょうか。音質で選ぶなら好みの差はあれどmicro idsd signatureでいいと思います。
ただ、アナログアンプとして使えない、そして擬似バランスでなおかつGryphonよりも機能性が低く価格も高い、という点を見れば、Gryphonも選択肢に入れていいでしょう。音質はmicro idsdシリーズと比べて極端に劣っている、なんてことはありませんし、実際Twitterを見ていてもsignatureの着弾報告はあまりなくGryphonばかり売れているような気がしますので。
あとがき
というわけで、micro idsd signatureのレビューでした。
やはりifi audioのmicro idsdシリーズは圧倒的ですね。ライバルと言うと同社のGryphonかHugo2くらいしか思いつきません。最近だとMOJO2なんかが発売されましたが、signatureは据え置きっぽさという点で見ればMOJO2を遥かに凌駕していると思います。
(もちろんMOJOにもMOJOのいい点があります)
またお値段も最近のインフレしたオーディオ業界の並に乗らず、前機種から多少の値上げのみという点に非常に好感が持てます。コストパフォーマンスの高さという点で言えばこの機種を上回るものは探す方が難しいでしょう。
micro idsd BLが生産中止というニュースが飛び込んできて、慌てて押えたmicro idsd BL。そんな愛用機種の後継機がこのクオリティということに非常に喜びを感じます。
というわけで本日はここまでとなります。
それでは、以上です。
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