据え置きヘッドホンアンプとポータブルアンプの音の違いはいかに?ハイエンドアンプ ifi audio Pro idsdの音質をmicro idsd BLと比較レビュー
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本日は、ifi audioの最上位グレードの据え置きヘッドホンアンプ、Pro idsdのレビューになります。
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それではどうぞ。
据え置きヘッドホンアンプとポータブルアンプの違い
一般的に、据え置きヘッドホンアンプとポータブルヘッドホンアンプの違いとしては体積と電源の強力さが挙げられます。
据え置きヘッドホンアンプは持ち運ぶことを想定していないため、シャーシサイズにこだわることなく自由に回路を設計できます。そのため、持ち運ぶことを想定したポタアンよりも柔軟な設計が可能です。
そして電源の差があります。据え置きヘッドホンアンプはACアダプターで駆動するため、バッテリー駆動のポータブルアンプと比べてパワーなどに制約がありません。ポータブルアンプはリチウムイオンバッテリー駆動なので、据え置きアンプと比較するとどうしてもパワー的には劣ります。
もちろんこれは一般論であって、今現在は大きさ、出力、重量などが据え置きヘッドホンアンプ並のポータブルアンプも多数存在しますし、実際後述しますがこのPro idsdも最大出力ではmicro idsdに若干劣ります。
ただ、据え置きヘッドホンアンプとポタアンではやはり据え置きの方が高音質を目指す上では有利、というのがセオリーです。
スペック、付属品、出力など
Pro idsdは2018年10月30日発売で、価格は約40万円(¥388,800/税抜)と非常に高価なifi audio最上位グレードの据え置きヘッドホンアンプです。
特徴として、バーブラウンのDACチップ(恐らくDSD1793)を4枚搭載しており、ビットパーフェクトを主張するifi audioにしては珍しく非常に高度なオーバーサンプリングフィルターを搭載。最大でPCM音源が16倍のPCM音源にアップスケーリングされます。また、CDの44.1kHzであっても、DSD1024というとんでもない数値のオーバーサンプリングを施すことが可能です。
また、Pro idsdは内部に真空管(General Electricの5670)を搭載。
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真空管とトランジスタの音色を自由に3段階で切り替えられ、オーバーサンプリングフィルターと合わせることで膨大な数の組み合わせの音色を楽しむことができます。
他にはフルディスクリートの完全フルバランスアンプを搭載。オペアンプを使用せず、トランジスタ、インダクタ、コンデンサー、抵抗などのディスクリート部品のみで構成され、さらに内部回路もすべてバランスで構成されています。

外箱はこんな感じです。ifi audioはnano idsd BLみたいな安価なモデルから、Pro idsdみたいな高価なモデルまで梱包に一貫性があり好感が持てます。決して安っぽくなく、逆に無駄な過剰梱包感もありません。箱代幾らだよ?みたいなメーカーもありますからね。

スリーブケースを外すと、蓋身式の箱になっています。

蓋を開けると筐体が出てきます。この時点で高級感がものすごいです。スポンジできっちりと梱包されているのも好感度高いですね。

Pro idsdを取り出すと、いつものifiのthank youマークが現れます。こういう遊び心なんか可愛いですよね。

本体です。サンドブラスト加工されたアルミシャーシはただの四角ではなく少し波打っており、xDSD Gryphonを彷彿とさせます。ちなみにフロントパネルはヘアライン加工されており、かなり高級感がありますね。

付属品は下に入っています。

まずはACアダプターです。スイッチング式のアダプターですが、パソコンなどに付属しているものに似ていますね。とても大型です。
ちなみにiPower Plus 15Vという低ノイズの高級なACアダプターです。ifi audioというとこういうオーディオ系ガジェットも沢山作っているので、付属品の電源で安心できるというのもいい点ですよね。

付属品はこんな感じ。リモコン、Wi-Fiアンテナ、RCAケーブル、光変換アダプター、USBケーブル、あとは謎のオレンジ色のスティックです。

リアパネルはこんな感じ。ifiらしく豊富な入出力端子を備えています。
入力端子
USB (DSD、DXD、サンプリングレート192kHz以上の場合に必要)
AES3 (XLR - single link)
S/PDIF (同軸&光コンボ)
BNCマルチファンクション (S/PDIF inまたはSync Input)
出力端子
バランスXLR at 4.6V (+ 15dBu - HiFi) または11.2V (+22dBu - Pro)
シングルエンドRCA at 2.3V (HiFi)または5V (Pro)

フロントパネルはこんな感じ。液晶画面が真ん中にあり、ボリュームノブ、フィルター切り替えノブ、入力切り替えノブ、ゲインスイッチ、真空管スイッチ、そしてヘッドホンジャックが3系統あります。
ちなみにボリュームノブにはモーターを内蔵しており、電源を切ると勝手に0の位置まで戻り、再度電源を入れると元の位置まで勝手に戻ります。
出力については6.35mm標準ヘッドホンジャック、3.5mmシングルエンドイヤホンジャック、そして2.5mmバランスジャックです。そしてゲインスイッチによりパワーを三段階に切り替えられます。
ちなみに4.4mmジャックを搭載したPro idsd 4.4というモデルも存在し、公式サイトによると少しだけ出力も上がっているようです。
Pro iDSD 4.4
(16Ω)>4200mW(バランス)/>1,575mW(シングルエンド)
Pro iDSD 2.5
(16Ω)>4000mW(バランス)/>1,500mW(シングルエンド)
Pro idsdは0dB、9dB、18dBの3段階からゲインを選べるようになっており、0dBだと1.6Vpp、9dbで6Vpp、18dBで12Vppほどです。最近のハイパワー志向の市場から見ると控えめなスペックですが、鳴らしにくい大型のヘッドホンから低インピーダンスのIEMまで幅広く使える柔軟な設計です。
ちなみにこれはシングルエンドでの出力ですので、バランスの場合は2倍ほどに出力が上がります。そのため、最大出力はバランスで24Vppほどになります。
micro idsd BLの最大出力がシングルエンドで28Vppなので、出力上はポータブルアンプより低いですね。最も、28Vppなど必要になる場面は確実にないためオーバースペックと言わざるを得ませんが。
Pro iDSDの電源入力はACアダプターで、付属のiPower Plus 15Vは15Vですが、9~18Vまで対応しています。基本は付属のiPower Plus 15Vで十分だと思いますが、拘りたい人のために柔軟な設計にしているのでしょうか。とは言ってもトラブル防止のため余計なものはあまり使わないことをおすすめしますが。使うにしてもノイズクリーナーとかその程度で充分でしょう。
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今まで自覚はなかったのですが、どうやら私はそこそこ熱心なifi audioのファンなようで、nano idsd BL→micro idsd BL→Pro idsdと順当にアンプを同社でグレードアップさせていっています。
音に関しても、最近になって色んなメーカーのアンプを聴く機会も増えましたが、やはり好みなのはifi audioなようです。どこまでも突き抜けるような音抜けの良さと音場の広さ、ソリッドでなおかつパワフルな音がifi audioの特徴なのですが、その質感が好きで他のメーカーに目移りすることはありませんでした。
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実を言うと、本来はmicro idsd signatureを買う予定でした。ただ、私はmicro idsd BLを買ってまだ1年程度しか経っていませんし、Fiioから発売されたK9 Pro ESSの着弾報告がTwitterで多く据え置きヘッドホンアンプというものも気になるようになりました。
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そこで普通ならifi audioということでZEN DAC+ZEN CANやNEO idsdに行くのでしょうが、私の場合中途半端なものを購入しても結局ハイエンドまで行かないと満足しないという悪癖があるため、中途半端に余計なものを買うよりどうせなら一生物とは言わずとも今後10年は使えるであろうフラッグシップクラスのPro idsdを購入したというわけです。
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実際、現状使っているmicro idsd BLでも最新の色んなアンプと聴き比べても、イヤホンやDAPの進化に比べてアンプというのはそこまで大きな進化はないようで、音色は違えど音質の優劣という点はそこまで感じません。DACチップに関しても随分と進化していると思いますが、ifi audioは未だにバーブラウンの古いチップを使い続けているので、スペックがどうだ、歪み率がどうだ、なんて謳い文句にはそこまで心惹かれるものがありません。そもそもDACチップが同じでもその後ろ側の作り込みの差で音は全く別物と言ってもいいほど変わりますし、こういうものは実際に音を聞いてみないと判別できないものです。
因みに、Pro idsdは内部回路フルバランス、ディスクリート構成、クアッド・スタック(4層)DAC、真空管、DSD1024アップサンプリングと、色々な要素が尽く搭載されているため、ディスクリートってどんな音なんだろう、真空管アンプも気になる、アップスケーリングが、みたいな他社製アンプに目移りして買い足してしまう恐れも減らすことができます。また据え置きですし長年使えるため、そう考えるとそこまで高い買い物でもないのかもしれません。AKのDAPとかを数年事に買い換えるよりは安い買い物でしょう。
音質。micro idsdから切り替えても違和感のない高解像度サウンドと、豊富なフィルターによるカスタマイズの柔軟性が特徴
それでは音質のレビューに入っていきます。
今回は比較用アンプとして、同社ifi audioのmicro idsd BLを用意しました。
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2016年12月16日発売の古いアンプですが、音質的には未だにフラッグシップクラスのいいアンプです。
あまりにも色々なフィルターや真空管モードなどが搭載されておりよく分からないので、まずはトランジスタモード+bit perfecで聞いてみました。イヤホンはEMPIRE EARS ODINです。
ひとつ困った点として、シャーシの上にOTG接続したスマートフォンを置くと、ノイズの影響かなんなのか再生がストップしてしまいまともに使えませんでした。結構なノイズを発しているみたいなので、パソコンやWiFiルーターとかとはなるべく離すことをオススメします。
あとは起動に少し時間がかかります。
それ以外は特に問題もなく動きました。
・アルルカン ジレンマ
さて、音質に関してですが、音としてはmicro idsd BLにかなり似ている、まさに私が求めていたifiのサウンドです。
解像度がとても高く、高音域は強めに出ており、それでいて低音域は主張は強くないもののサブベースあたりが持ちがった上品なサウンドです。
micro idsd BLと比較すると、音の鳴り方がより大人になっていると思います。高音域のジャリジャリとした主張は控えめでよりフラットに近しい音すし、低音域のアタックも幾分か柔らかくなっています。また、違いとしては音場の広さが上げられます。micro idsd BLもポータブルとしては最強クラスに広いアンプなのですが、Pro idsdはそれよりももっと広めで、音像も少し遠目に定位する余裕のあるサウンドです。
こうやって比較してみると、Pro idsdの音質の良さよりも、micro idsd BLの完成度の高さがよりハッキリします。7.5万円で40万円超のPro idsdに匹敵するとも言えるほどの音質を出せているのはやはり驚異的です。音質でおすすめのポタアンを聞かれたら、私は間違いなくifi audioのmicro idsdシリーズをおすすめするでしょう。
さて、では音を切り替えていきたいと思います。まずは768kHzにアップサンプリングしてみました。
これは違いとしてはそこまで大きくありません。じっくり聞いてみると音の質感がよりまろやかになると言うか、bit perfectでは解像度が高すぎて写真のノイズのようなザリっとした成分が出ていたのが、Gibbs Transient Optimisedではそれが無くなり、よりスムーズなリスニングが可能です。
次にDSD512にアップスケーリングしてみました。こちらはPCMのアップサンプリングより違いがわかりやすいです。具体的には高音域のジャリジャリっとした質感が収まり、より音に艶が出て、広大なスケール感が生まれます。
DSD1024ではよりその傾向が強くなります。低音域のアタックなども丸くなり、不快なサウンドを全て取り除いたような滑らかなサウンドになります。
次にTube(真空管)モードですが、これはDSD1024単体と比較すると、真空管っぽさは控えめなチューニングというか、低音域のみに真空管のサウンドが付与されるような穏やかな変化です。
Tube+は、音に少し霧っぽい雰囲気が付与され、Pro idsdの全てを描写するような高解像度から、少し音の細部をぼやけさせたような変化で、どこまでも先の見えないような広大なスケール感を感じます。
PCMモードのbit perfectではまた真空管モードの効き方も変わってきます。Tubeモードでは僅かに音の角が取れるという感じの変化で、Tube+ではより真空管らしい、低音域が丸くふくよかな滑らかでスムーズな音色になります。
どのフィルターも別のアンプになる、とかそういうレベルの大きな変化がある訳では無いのですが、どれも音は確実に変化しますし、それらの組み合わせにより音は大きく変化します。確かにこのアンプは柔軟すぎて、どれが正解なのか迷ってしまうような多機能さを持っていますね。
私の個人的な好みとしてはこの曲を聴く限りではDSD1024モード+Tubu+、もしくはトランジスタモードという感じでしょうか。
・己龍 虚仮威
やはり、PCMのbit perfectモードは1番ソリッドでifiらしいサウンドだと思います。アップスケーリングはより高域が滑らかになるのですが、質感としてはbit perfectの方が少しソリッドでパンチがあります。
DSDモードはやはり音に艶が出て、いい意味でifiらしくない大人びた印象の音になります。それでも情報量が多すぎて耳が混乱しそうになるくらいの解像度は持ち合わせているので、人によっては聞き疲れする可能性もありますね。
DSDモードとPCMモードを聴き比べてみると、PCMモードは解像度重視、DSDモードは色艶重視、という感じです。特にベースラインやギターのブリッジミュート、ハイハットの音色などに違いがよく出るので、合わせるヘッドホンやイヤホンによって使い分けるのが良さそうです。
DSDモード+Tubu+はより音の色艶が出て、真空管らしいサウンドです。ただ高音域の高解像度さなどは変わらないため、真空管っぽさ+最近の流行りの音、という感じの絶妙なチューニングです。
これをPCMモードにすると、音がよりソリッドになり、解像度も高めなサウンドに変化しますが、低音域の艶感と重さはDSDモードの方が強いですね。ODINは音がソリッドで高解像度系なサウンドなので、会うのはDSDモードだと思います。
micro idsd BLと聴き比べてみると、やはりmicro idsd BLの完成度は異次元クラスに高いです。ただ、Pro idsdのDSDモードと聞き比べると、音のスケール感の小ささというか、音が全て自分の手に取るようにわかるいわゆる箱庭感が少し否めません。
ただ、正直なところ5倍以上もの値段の差が音質に現れているか?というと、難しいところだと思います。それくらい、micro idsd BLの完成度は高いです。
これはHugo2やmicro idsd signatureなんかにも言えることですが、最近のポタアンは据え置きヘッドホンアンプと比較しても音質的には決して劣らないと思います。もちろん据え置きは据え置きで複雑な回路を搭載できる(Pro idsdで言うならDSD1024へのアップスケーリングとか)というメリットはありますが、ポタアンだから、据え置きだから、というような感じで音を聞かずに判断するのは勿体ないな、なんて思いますね。
・Lynch. CREATURE
やはりODINで聴く限り、私の好みはDSDモードですね。PCMモードも悪くないのですが、どうしても音の軽さというか、エッジ感の強さが少し気になってしまいます。PCMモードはmicro idsd BLをさらにモニターライクにしたような感じなので、リスニング向きではありません。もちろんウォーム系のイヤホンなどに合わせれば抜群にいい音を奏でてくれると思います。
DSDモードの圧倒的なところは低音域の再現性です。元々EMPIRE EARSは自然な低音の再現に定評のあるメーカーなのですが、そのポテンシャルをこれでもかと言うほど発揮してくれます。音場の広さ、定位の良さも圧倒的で、流石という言葉しか出ません。
DSDモード+Tube+はやはりより音に色艶が出て、重心がぐっと下がる感覚です。色艶重視という点ではこのモードが1番だと思いますが、解像度は若干落ちてしまう感じもあります。
PCMモード+Tube+はそれに比べるとよりソリッドで、より全方位を見渡せるような感覚があります。合わせるイヤホンだけではなく、音源によっても相性が当然あるためいちいち切り替えたくなってしまいますね。
micro idsd BLと比較すると、やはりmicro idsd BLの音の完成度はとても高いです。しかし、それでもPro idsdのDSDモードと比べてしまうとやはり劣ります。
具体的には解像度はPro idsdに負けないくらい高いのですが、全ての音が均等に出すぎていて、Pro idsdと比較すると音の整理がついていない感じに聞こえます。
また、低音域の再現率は流石に据え置きには負けるようで、低音が空間を伝うようなリアルな表現はPro idsdの方が上手です。
ちなみにここまで色々聞いてきましたが、流石に負荷の高いDSDモードを多用していたため本体が少し熱くなってきました。それでもほんのり暖かいという程度ですが、上に何か物を置いたりするのは控えた方が良さそうです。
・こいかぜ ハイレゾ版
J-POPからアニソン、クラシックまでオールジャンルをハイレゾ配信。WAV・flac・DSD・MQAなど各種フォーマット選択も可能。ポイントも貯まる!ドコモケータイ払い・auかんたん決済対応。国内最大級ハイレゾ配信サイトe-onkyo musicでは史上最大のキャンペーン実施中!
ハイレゾ音源ですが、このDACはどんな音源でもアップスケーリングできるので、実際のところどうなっているのかは私にはよく分かりません。bit perfectを選ぶのがいいのか、それともアップスケーリングした方がいいのか。それは各自の好みで合わせるといいでしょう。
私のとしてはやはりDSD1024モードが圧倒的に好みです。高級なオーディオインターフェースのような高解像度でシビアなPCMモードと違い、DSDモードは一気に音に色艶が生まれ表現力が何段階も上がります。
そしてDSDモードとTube+の組み合わせですが、このようなオーケストラでは壮大な雰囲気がより強くなるため、かなりいい感じです。
そしてPCMモードとTube+の組み合わせも、この曲では素晴らしいです。どことなく味気ないPCMモードの音が真空管により色付けられ、高解像度でクリアながら色艶があるというかなり特殊な音色になっています。
ただ、ここまで曲により組み合わせの相性があると、やはり迷ってしまいますね。気分により切り替えられるというと聞こえはいいですが、このアンプは実質違うアンプを数台内蔵しているのと同じくらいモードの組み合わせにより音が変化します。これが嬉しい悲鳴と言うやつでしょうか。
micro idsd BLと比較すると、やはりオーケストラでは差が顕著に出てしまいますね。micro idsd BLはポータブルアンプの中ではトップクラスに音場が広いアンプなのですが、それでもPro idsdと比較すると音がぐっと圧縮された感じが否めません。
その分ヴォーカルなどは近くて聞きやすいですし、低音域もパンチがありますが、スケール感の広大さはPro idsdの方が何枚も上手です。
ただ、やはり値段の差を考えると、micro idsd BLはとんでもない名機だなと思いますね。
・青空リレーション
ここらで色んなイヤホンを聴き比べてみようということで、手持ちのイヤホンをいくつか聞いてみました。
JH Audio LaylaはDSDモードよりもPCMモードのほうが好みでした。Laylaは濃厚なイヤホンの代名詞みたいな所があるので、シビアなPCMモードもそういう濃密なイヤホンの音を上手く分解してクリアにする用途に使えそうです。
micro idsd BLと聞き比べると、やはりスケール感やクリアさはPro idsdの方が上ですね。ただ、音のパンチはmicro idsd BLも負けていないので、やはり素晴らしいポタアンだと思います。
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Campfire Audio ANDROMEDA 2020はブーンという結構なノイズが鳴るので、静かな音楽を聴く方にはおすすめ出来ません。普通の音圧のある音源を流せば特に気にならないので、普通に使うことは出来ます。
ボリュームノブは0dbでもかなり絞る必要があります。IEMatchは非搭載ですが、ギャングエラーはほぼ無いため普通に使えます。
ANDROMEDA 2020の場合はPCMモードもDSDモードもそれぞれ違う個性があってなかなか迷います。トランペットの音色が鮮烈なのはPCMモードで、音に重厚感が増すのはDSDモードです。そして真空管モードも合わせると、さらに音の選択肢が増えるのでとても迷ってしまいますね。

JH Audio Rosieはバランス接続してみました。バランス端子を搭載したフルバランスアンプなので、バランスとアンバランスどちらが好みかで使い分けるのがいいと思います。
ちなみにRosieはPCMモード+トランジスタが好みでした。
ちなみにPCMモードのフィルターモードによっても音は微妙に変わるので、それを弄り回すのもひとつの楽しみ方だと思います。
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ヘッドホンは鳴らしにくい平面駆動型のFOSTEX T60RPを使用してみました。ゲインスイッチは18dbでボリュームノブは12時くらいです。あまりにも鳴らしにくいヘッドホンはPro idsdでは鳴らしきれない可能性があるので、そういう場合はPro iCANを導入しろということでしょう。
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さて、T60RPですが、このヘッドホンはかなりモニターライクなため、PCMモードでは少し耳が痛くなりました。そこでDSD1024モードにしてみましたが、それでもやはり少し音圧に耳が負けてしまいます。
そこでTubeモードです。Tubeモードだけでもかなり音がまろやかになり聞きやすくなります。Tube+は更に音の重心が下がりますが、少し籠ったような印象も受けました。そのため、T60RPはDSDモード+Tubeで使用することがオススメだと思いました。
ただ、T60RPに関しては私の真空管システム(HP-A4BL→TUBE-01J→E12)の方が好きな音だと感じました。やはり価格だけでは音は決められませんね。
beyerdynamic T5P 2ndは一応0dbでも十分な音量が取れました。(曲は変えています)
こちらもDSD1024モードのほうが音的には好みです。
TubeとTube+に関しては悩ましいところです。トランジスタモードのほうが音が繊細で高解像度ですが、Tubeモードは音の奥行きが一気に増してTube+は更に音の深みが増して、非常にまったりとしたリスニングが可能です。
micro idsd BLとDSD1024モードで比較すると、micro idsd BLはやはり音場の広さというか、スケール感でPro idsdに劣ります。ただ、音のダイレクト感やヴォーカルの近さはmicro idsd BLの方が強いので、好みは別れそうですね。
Pro idsdはなんというか、超広大な音の空間がどこまでも広がるような要素と、音の静寂感が強いです。なので、一件ボリュームが小さく感じるのですが、ボリュームを上げてみると高域がうるさくなるので、適正音量が小さめになったような不思議な感覚を覚えます。
あとは低域はより低いところの再現性はPro idsdの方が高いですが、よりズンドコと主張してくるのはmicro idsd BLです。なので、気分によって十分使い分け出来そうな感じですね。
バランス接続の音質について

バランスの音はEMPIRE EARS ODINで聴き比べてみました。
モードはDSD1024+トランジスタです。
さて、音に関してですが、バランス接続の方はヴォーカルラインがより近くなり、ドラムのキックの音像がよりハッキリとして重厚感が増す感じでした。Gaze and Gazeという曲では、私はバランス駆動の方が好みの音でしたね。ただ、後々普通に音楽ライブラリを適当にザッピングして聞く際はアンバランスの方が好みな音色でした。バランス接続は音がジャキジャキしすぎて耳が少し痛くなります。
ただ、これがPCMモード、真空管モード、DSDモード、そしてフィルターの有無と色々変わった場合どうなるか分かりません。やはり聞いてみないと分からないでしょう。
あとは出力するパワーも2倍になるため、ハイレゾ音源のような音の小さな音源でも音量が取りやすかったです。
USB DACとしても使える
このPro idsdは複合機ですが、当然USB DAC、つまり単体のDACとしても使えます。
本当はPro iCANと接続するのがいいのでしょうが、私の場合そこまで購入できるほどの金銭的余裕が無いのでmicro idsd BLとRCAで接続してみました。

ちなみに注意点として、Pro idsdはRCA出力レベルをHiFiゲイン、PROゲイン、そして可変か固定かと何段階かで変えられるのですが、最大出力はとても大きく最悪入力した機器を壊してしまう恐れがあります。
最初はHiFiゲイン、ボリューム可変になっているので、0dbでボリュームを絞ってから入力することをおすすめします。
さて、当然ではありますが、これでも音は変わります。
PCMモードは音がジャキジャキとしてモニターライク、DSDモードは音に色艶が付与され低音が魅力的になるというのは同じです。ただ、micro idsd BLを通した方が少し聞きやすくなります。
Pro idsd単体の音と比較して、micro idsd BLをアナログアンプとして使った音は音の輪郭がかなり柔らかく、また真空管は使えなくなりますがXBassや3D+などがmicro idsd BLに搭載されているため音作りの柔軟性が増えます。
ただ、低音の沈み込みや解像度自体はPro idsd単体の方が上だと感じます。曲やイヤホン・ヘッドホンにより使い分けるのが良さそうです。
私の場合静かめな音源や低域の強いLynch.みたいな曲はPro idsd単体の方が好みですが、高域の音圧が高めの曲やエレクトロニカなどはこの複合システムの方が好みでした。
あとがき
というわけで、ifi audio Pro idsdのレビューでした。値段が高いだけではなく、しっかりと音にも個性と柔軟性、そして確固たるクオリティを感じられる素晴らしいヘッドホンアンプです。
入出力端子も豊富にありますし、DACの性能がいいためスピーカーシステムに組み込んでも良さそうです。ネットワーク機能も搭載しているため、私はとても使いこなせそうにありません。
注意としては、電源の切り忘れです。特に真空管についてですが、真空管は寿命が5000時間、1日2時間使って6~7年程度と短いため、電源を付けっぱなしだと比較的早く劣化してしまいます。
流石にここまで高価なアンプなためメーカーで交換はできると思いますが、費用も未知数ですしもし交換不可能だった場合Pro idsdの柔軟性が大きく失われてしまいます。
ディスプレイについても注意が必要です。Pro idsdは有機ELディスプレイを使用しています。寿命に関してはこちらは真空管と違い3万時間と何十年も持ちますが、それでも付けっぱなしは良くないです。有機ELは長期間同じ画面を表示し続けると画面の焼き付きが起こってしまいます。
また電解コンデンサーなどにも寿命はあるため、やはり毎日聞くから、アンプの暖機運転が、などの理由で電源をつけっぱなしにしておくのはあまりいい運用方法とは言えないでしょう。DAPやポタアンなどと違い据え置きですしここまで高価なものですから、頻繁に買い換えるものでもありません。長く使用していくため、使い方には細心の注意を払うことをおすすめします。
あとは真空管モードについてです。真空管モードは高音域が少し柔らかくなるので、高音域が少し痛いアニメソングなどで効果は抜群でした。基本はDSDモードで十分なくらい音に色艶が出るのですが、それでも足りない場合真空管モードをONにするという感じでいいでしょう。
それでは、以上です。
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