発売日5月27日。SONYの新作WH-1000XM5についてオーディオブログ運営者が思うことや特徴について

♨の人

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SONYから新たなBluetoothヘッドホンとして、WH-1000XM5の発売が発表されました。

本日はそんなWH-1000XM5について思うことを書いていきたいと思います。







なんだかんだ言ってSONYは強い


SONYのノイズキャンセリングヘッドホン、WH-1000XM4というと、現段階で日本の中ではトップクラスに売れているヘッドホンのひとつでしょう。

それまでイヤホンやヘッドホンに何万円も出すのは音質にこだわるマニアだけでしたが、BluetoothイヤホンやBluetoothヘッドホンが出始めてからというものの一般ユーザーの認識は大きく変わったようで、そこら辺の学生が何万円もする高級イヤホンや高級ヘッドホンをポンポンと買うようになったのは面白いことだと思います。

で、WH-1000シリーズの新作、WH-1000XM5ですが、これまでとは違い結構大幅な仕様変更がなされています。これがTwitterでは結構な賛否両論を巻き起こしています。





ドライバーサイズが40mmから30mmにサイズダウン


まず、WH-1000XM5はXM4と比較して、ドライバーサイズが一回り小さな30mmに変更されました。この点が少しTwitterでは話題になっています。主にスペックダウンじゃないか、と嘆く声が多いです。

一般的にあまりヘッドホンに詳しくない人ほどドライバーサイズが大きいほど高音質だと思っていることが多いので、私としてもドライバーサイズを小さくしたのは少し悪手かなと思います。

ダイナミックドライバーは大きければ大きいほど低音の再現性が上がるため、大口径ドライバーが高性能なのは間違いでは無いのですが、大きければ大きいほど制御が難しくなったり、駆動が難しくなったり、ねじれや歪などの問題が大きくなるという特性があります。そのため、今でも一般的なメーカーのハイエンドダイナミックヘッドホンはドライバーサイズは40mmや50mmなど常識的な範囲のものが多いです。SENNHEISERのようにドーム状のドライバをやめ、リング状のドライバーにしているメーカーもあります。

因みにSONYは2012年あたりから70mmという世界最大のダイナミックドライバーを搭載したヘッドホンを出していますが、未だに70mmものドライバーサイズの後追いをするメーカーは現れていません。
(無名メーカーで探せばあるかもしれませんが……)

また、ヘッドホンというのはドライバーのみで音質が決まるのではなく、イヤーパッドやハウジング内部の反響をどう処理するか、などで総合的な音が決まります。なので、ドライバーサイズの小口径化は音質に悪影響があるかと言われると私的にはそうでは無いと思います。
(SONYの場合は70mmという大口径ドライバーを搭載したヘッドホン、MDR-Z1Rが最上位モデルなため、SONY内に限った話でいえばドライバーサイズは大きい方が正義なのかもしれませんが……)

ただ、こういうものはスペックで判断するのではなく、実際に音を聞いてみて判断するものですが、こういう大衆向けのオーディオ機器というのはスペック勝負みたいなところも大きいので、ドライバーサイズはやはり従来通り40mm、もしくは大きくして50mm、みたいな方がインパクトはあったと思います。そうすれば「大口径50mmドライバの迫力の低音!」みたいなわかりやすい宣伝もしやすいと思います。ちなみに50mmドライバのノイズキャンセリング付きBluetoothヘッドホンというとShureのAONIC50がありますね。





折りたたみ機能が廃止。折り畳めないように変化。


折りたたんでコンパクトに収納することが可能だったWH-1000XM4と違い、XM5では折りたたみ機構が完全に廃止されました。

これはBluetoothヘッドホンとしては致命的だと思います。最近はサブスクの高音質化などで有線接続の優位性が見直されてきたため、このようなBluetoothヘッドホンというのは外出時に使う人が多いでしょう。しかし、折り畳めないということはカバンの中などに仕舞うのも大変になりますし、利便性が大きく損なわれます。


引用:https://www.google.com/amp/s/av.watch.impress.co.jp
専用ケースに収納すれば大して変わらないじゃないか、という声もあると思いますが、この手のヘッドホンの収納ケースは大抵が大型で持ち運びには不便なので、適当に折りたたんでカバンの中に収納している人も多いのではないでしょうか。

引用:https://ascii.jp

私はこの手のBluetoothヘッドホンを持ち運んでいませんが、もし持ち運ぶのであれば確実にそうしていると思います。なので、折りたたみ機能はやはり必要な人が多いでしょう。というよりも、何故なくしたのかが気になります。まあ天下のSONY様のことですから、私みたいなにわかには分からない崇高な考えがあるのでしょうけれど。

もちろん、利便性というのは実際に使ってみないと分かりませんが、少なくとも私は折り畳めないヘッドホンを持ち運ぶのは気が引けます。さらに言うと、折り畳めないということはカバンの中などに収納したあとも衝撃などで破損しないか気になります。それを防ぐためには専用のケースをいちいち持ち運ばなければなりません。なぜ折りたたみ機構をなくしたのかは分かりませんが、これはポータブルヘッドホンとしては改悪だと思いますね。




価格は5万円台。少々値上げ


5万円という価格に関しては私は高いと思いますが、WH-1000XM4が4万円程度だったので、昨今のインフレしたオーディオ業界では進化モデルとしては妥当な線だと思います。

また、WF-1000XM4を見ている限り、しばらくしたら値下げすると思うので、価格設定に関しては特に言う事もありません。Twitterを見ていてもこのヘッドホンに5万円の価値があると思う人は沢山いるみたいなので、AirPods MAXみたいな一部の信者以外にボロカスに叩かれるようなぼったくり価格かと言うと全くそんなことは無いです。まあ私は高価すぎて買えませんが。






デザインは大きく変更。AirPods MAXに少し似てしまった


デザインに関してはXM4と比較して大きく変更されました。SONYによるとメカニカルな構造をなるべく減らしたノイズレスな美しいデザインだそうです。

私に関しては、このデザインはあまり好みではありません。XM4のデザインもそこまで好みではありませんでしたが、より私の好みからは乖離してしまいました。とは言っても私はbeyerdynamicみたいな無骨でまさにヘッドホン、という感じの見た目が好きなので、これは好みによるものが大きいでしょう。


Twitterを見ていると賛否両論で、若干否定意見が多い模様です。私としてはなんとなくAirPods MAXに似ているという感想を持ちました。個人的な意見ですが、私はAirPods MAXのデザインが本当に生理的に受け付けないくらい苦手なので、この路線で行くのはちょっとなぁ、と感じます。





ノイズキャンセリング機能が強化。マイクの数が倍に


WH-1000XM5は、XM4と比較して搭載されているマイクの数が倍の8個になりました。これにより通話品質の改善やノイズキャンセリング機能の強化など様々な変更がなされたそうです。

昨今はコロナウイルスの影響でテレワークなどが増えたため、マイクの強化は嬉しいという人が多いのではないでしょうか。これに関しては非常にいいポイントだと思います。

ノイズキャンセリングに関しても、従来で充分強力だったものがさらに強くなるというのは驚異的です。ここは業界最高水準でしょう。






USB Power Delivery PD充電器に対応。3倍の高速充電が可能に


WH-1000XM5は、USB PDに対応しました。これにより、従来の3倍の速度での充電が可能になりました。

3分の充電で約3時間再生できる急速充電にも対応しているようです。最近のワイヤレスイヤホンに関してもそうなのですが、このレベルまで来ると、もう「Bluetoothは充電がすぐ切れるから」みたいな理論はちょっと厳しくなってきますね。




セーフリスニング機能を新たにを搭載


WH-1000XM5は、音楽再生中の音の大きさを記録し、WHO(世界保健機構)の推奨する限度と比較して、聴覚にダメージを与えるレベルかどうか判断するセーフリスニング機能が搭載されているようです。

個人的にはWHOはテドロスの一件から一気に信頼性を失ったと思うのですが、迫力が出るからと難聴になるレベルの大音量で音楽を聴くようなユーザーも中にはいるため、この機能は地味に使えます。

あとはYahoo知恵袋とかでは「スマホの音量メモリいくつまでなら難聴になりませんか?」みたいな質問も結構あるので、こうやって音量レベルを視覚化できる機能は非常に革新的です。
(使用機器のインピーダンスや能率、出力により音量レベルは変化しますし、イヤホンやヘッドホンの場合耳に密着させて聞くアイテムなのでどのくらいの音量なのかは本人以外の誰にも分かりませんから)

ちなみに私個人は結構大きめの音量で普段からリスニングするタイプなのですが、難聴になっていると思ったことは一度もないですし可聴域も狭くなったりはしていません。WHOによると音量80dB(地下鉄の車内、交差点、電車の車内)、子供で75dBを1週間に40時間までが難聴にならないラインとのことです。






DSEE Extremeは引き続き搭載


SONYのCD音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする機能、DSEE Extremeは引き続き搭載です。これがSONYのBluetoothヘッドホン・イヤホンの強いところでしょう。

過去にDSEE HXのレビューをした際に思ったこととして、SONYのアップスケーリング機能はCDなどの無圧縮音源とは相性問題が出ることが多いのですが、圧縮音源に関しては比較的どんな曲でも効果的な印象を受けることが出来ました。なので、Bluetoothのような圧縮された音源との相性はかなりいいと思います。音源から高音質にできる機能は今のところSONYの製品だけなので、これは結構な強みです。特にサブスクの低音質音源を低音質なコーデックで飛ばした際なんかには絶大な効果を発揮するんじゃないでしょうか。






あとがき。WH-1000XM5は買い?


あとがきです。個人的にはWH-1000XM5は不満点もいくつかあれど、基本的には正統的な進化を遂げた製品だと感じます。なので、欲しい人は買っても後悔しないのではないでしょうか。
(もちろん視聴は必須ですが……)

あと、これにてWH-1000XM4は型落ち品となるので、価格が下がることも予想できます。なので、少々スペック的に劣ってもいいから安い方がいい、というユーザーには嬉しいニュースかもしれません。

もちろん5万円という価格は決して安くありません。音質にこだわるのであれば、有線ならZEN DACとMDR-1AM2が買えますし、無線ならもう少し出せば最強のBluetoothイヤホン、Noble audio FoKus PROなどが買えます。


他にもノイズキャンセリングヘッドホンならShure AONIC50、SENNHEISER MOMENTUM Wirelessなどの魅力的なライバルも沢山存在します。なので、やはりできる限り視聴はした方がいいでしょう。



しかしオーディオ業界が衰退する中5万円のヘッドホンが飛ぶように売れるようになるとは、自体とは本当に分からないものですね。



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