据え置きヘッドホンアンプ、ポタアン、DAPのコスパと音質について。どっちを選ぶべき?

♨の人

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今回は、据え置きヘッドホンアンプとポタアン、DAPの音質について少し書いていきたいと思います。

一般的な定説として、据え置きヘッドホンアンプとポタアンなら据え置きの方がコスパが良く、ポタアンとDAPならポタアンの方がコスパがいいと言われています。

しかし、それは何故でしょうか。というわけで、今回は考えられる要因をいくつか抽出してみました。

実際のところは据え置き機に勝る音質のDAPやポタアンもあれば、DAPやポタアンでは統制再現不可能な領域に達している据え置きヘッドホンアンプも存在します。また、合わせるイヤホンやヘッドホンによっても結果は変わってくるでしょう。






ポタアン、DAPには制約が多い


まず、私の個人的な考えとしましては、音質面でのコストパフォーマンスは据え置き、ポタアン、DAPの順だと考えています。

これは単純に、据え置き、ポタアン、DAPの順で制約が大きくなるため、単純に高性能、高音質を目指すのが難しくなるためです。




据え置きヘッドホンアンプはコストパフォーマンスが高い


まず、据え置きヘッドホンアンプはDAPやポタアンと比較して電力的な制約がないため(もちろん常識的な範囲の話です)、強力なアンプ回路や高性能なDAC回路を搭載できます。なので、据え置きが一番高音質なのはやはり揺るがない事実でしょう。

これは音質という主観的な評価ではなく、スペックという定量的な指標で表すとわかりやすいです。例えば、Chord Electronics Hugo2が低消費電力版のFPGAチップで49152タップなのに対し、Hugo TT 2は上位チップで98304タップ。最大出力も倍近く違います。もちろん値段は倍以上違うためそこを無視してはいけませんが、ポータブルに搭載できない回路を搭載できるという点は据え置き型の大きなメリットです。

そして据え置きヘッドホンアンプのもうひとつの大きなメリットは、筐体が大きいため、内部の回路構成の自由度が高い、という点です。


引用:http://ifi-audio.jp/pro/proidsd.html


引用:https://www.fiio.jp/products/k9pro-ess/

これがDAPやポタアンの場合、あくまでもポータブルユースなわけですから、そこまでどデカい基板を搭載する訳にも行きません。
(SONY DMP-Z1みたいな製品も存在しますが)

また、放熱の問題もあります。据え置きヘッドホンアンプは筐体が大きいため放熱性も高く、発熱の大きな回路を搭載しても大丈夫です。DAPやポタアンの場合はあまりに発熱が酷いと困りものですから、その辺の兼ね合いを考えて作らなければなりません。この辺が上で言った「ポータブルゆえの制約」になります。








ポタアンとDAPの違い


では、ポタアンとDAPを比べた場合、違う部分はなんでしょうか?

それは、ポタアンがあくまでもバッテリーを搭載したヘッドホンアンプであるのに対し、DAPはデジタルオーディオプレーヤー、つまり複合再生機であるという点です。

ポタアンはあくまでもバッテリーを内蔵して、それで動くというだけの小型ヘッドホンアンプです。


(据え置きアナログアンプのmicro iCAN SE)
引用:https://www.phileweb.com

(こちらはポタアンのmicro idsd signature。ポタアンという名前でも、バッテリーがある以外は中身はただのヘッドホンアンプです)
引用:https://www.fujiya-avic.co.jp

なので、それ単体では意味を成しません。パソコンやスマートフォンなどの再生機があって初めて使うことができます。

しかし、DAPはそれ単体で音楽再生から信号変換、増幅まで行うオールインワン機器です。つまり、ディスプレイやSoC、メモリ、SDカードスロット、ストレージなどスマートフォンと同じようなパーツを搭載する必要があるので、その分ポタアンに比べて製造コストがかかります。

高画質な大型ディスプレイを搭載すれば当然その分コストはかかりますし、高性能なSoCを搭載すればその分お金がかかるでしょう。

そして、そういったパーツを搭載したその分だけ、内部に搭載できるオーディオ回路の面積も小さくなります。実際、ポタアンとDAPの基板を見比べてみると結構な差があります。
(最も、昨今の大型化したDAPでは微々たる差かも知れませんが……)

引用:https://niche-hobby.hatenablog.com/entry/2016/09/17/072223

これらの理由から、ポタアンと比べてDAPは音質的なコストパフォーマンスが悪い、と言われるのでしょう。






DAPは複合プレーヤー、ポタアンはヘッドホンアンプ


また、DAPとポタアンの大きな違いとして、内蔵バッテリーから出力される電力をどのように使うか、という点があります。

端的に言うと、ポタアンと違い、DAPはバッテリーから配給される電力をディスプレイなどのDAPをDAPとたらしめる部分と、DACやアンプなどのオーディオ回路で分けて使用しています。ポタアンの場合はUSBなどから送られてくる信号を処理、増幅するためだけに電力を使えるのが、DAPだとそうはいきません。

DAPの場合OSを動かすための電力と、ディスプレイを点灯するだけの電力は最低でも確保しておかなければ、画面を点灯している時と消灯時で音の変わるDAPになってしまいますし、最悪画面を点灯した瞬間電力不足でシャットダウンしてしまうような問題外の製品になってしまうでしょう。

そのため、ポタアンとDAPでは同じバッテリーを搭載しても、オーディオ回路に使える電力が変わってきてしまいます。最も、この差がどのくらい音質に関係するか、というのは未知数ですが、やはり少し不利かな、という気がします。





Fiio M17は据え置きヘッドホンアンプ並の音



最近ではFiioからM17というDAPが出て話題になりました。このM17は一見よくある大型DAPなのですが、DCモードというACアダプターから直接給電し駆動するという画期的な機能が搭載されています。
(付属ACアダプターも12V/3Aと高出力です)

つまり、DAPとしても使えるけど、ACアダプターを繋ぐことで据え置きヘッドホンアンプにもなる、というありそうでなかったDAPです。出力、音質ともに据え置きヘッドホンアンプに勝るとも劣らないという触れ込みで話題になり、20万円超えという高級品ながらとても好調に売れています。

このようなギミックの場合、ポータブル機器の大きな制約の一つである電源部の弱さが無くなるので、願わくば他社のDAPにも搭載されて欲しいですね。





あとがき


あとがきです。結局何が言いたいのか分からない記事になってしまいましたが、一つだけ言っておくとすれば、私個人は優れたポータブルアンプなら据え置き機に匹敵する音質を出せると思っています。

例えばmicro idsd signature、Hugo2なんかがそうですね。




私個人はPro idsd+Pro iCANという据え置きヘッドホンアンプを愛用していますが、ポータブルアンプのmicro idsd BLはそれに決して劣らぬ高音質だと感じています。確かに低域の再現性や空間のスケール感はかなりの差がありますが、micro idsd BLはこれでしか味わえないシャキシャキとした歯切れのいいとても完成度の高い音を奏でてくれます。
(私の場合低インピーダンスのイヤホンを使っているので、ハイインピーダンスのヘッドホンとかだとまた変わってくるかも知れません。ただ、低インピーダンスだから非力なアンプでも鳴らしやすい、という訳ではなく、低インピーダンスの場合は電流不足に陥りやすいです)

結局は音は個人の好みなのでなんとも言えませんが、ポータブルだから……と敬遠するには勿体ないくらい高音質なポタアンやDAPというのは沢山存在します。あまり先入観に惑わされず、自分がいい音だと思ったものを購入するようにしてください。

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