色鉛筆用のぼかしツール、カラーレスブレンダーと代用品をレビュー。使い方
スポンサーリンク
しかし、コピックなどのマーカーと比べて色鉛筆が圧倒的に劣ることとして、ぼかしが使えないということがあります。なので、混色もとてもやりにくいですし、塗りムラも誤魔化しにくい。
ネットで見られる上手な塗りのアナログイラストは大抵がコピックや水彩絵の具ですよね。それと比較すると、色鉛筆は上手く扱わないとどうしても色の偏りや塗り残しなどのザラザラ感が目立って、発色の淡さも相まって低学年小学生の塗り絵みたいな微妙な感じになってしまいます。
一応色鉛筆は重ね塗りができるのでぼかした風の塗りやグラデーションなどは付けられますが、やはりコピックや水彩絵の具などと比較すると色鉛筆は表現の幅が狭い、と思っている人も居るんじゃないでしょうか。
というわけで、今回は色鉛筆でもぼかしが使えるというカラーレスブレンダーなるものを買ってみました。
リンク
見た目は乳白色の色鉛筆

色々種類があるみたいですが、大体1本250円~くらいで取引されてるみたいです。三菱の一般的な色鉛筆が1本60円程度なので、結構高級な色鉛筆という感じ。

色々書いてます。

表面にはかなり強いツヤがあります。丸軸です。
削った感覚は非常に木の質が良いという印象でした。目が細かいのか抵抗もほぼなく、削りカスもとても滑らかです。

で、試しに適当に使ってみたのがこんな感じになります。普通に塗ったものとカラーレスブレンダーでぼかしたものを比較しています。
下にある目のハイライトは塗りつぶした上をカラーレスブレンダーで伸ばして白抜きのテストをしてみました。
コピックのカラーレスブレンダーやアクリル絵の具なんかとは違い、紙に定着した色鉛筆を浮かせて混ぜて伸ばすという性質上、かなり強い力でゴシゴシと擦らないと思ったように伸びてくれません。デジタルのぼかしとかに慣れていると、全然伸びないじゃないか、と感じるでしょう。また、塗った部分の筆圧が一定でなければ綺麗にボケてくれません。強く描いた部分のみが奥深くに定着して取れなくなるので、その部分のみ色が濃くなり不自然です。
また、色鉛筆のカラーレスブレンダーは使うと顔料の混じった芯の粉が大量に出ます。これを放置しておくと、迂闊に手を乗せた時とかにそれが紙に染み込んで取れなくなる恐れがあります。使ったあとは清掃が必要ですね。私は卓上消しカスクリーナーを使っています。毛髪以外の小さなゴミならなんでも吸えて便利ですよ。
リンク
使っている色鉛筆が1本60円程度の三菱の普通の色鉛筆なので、もう少し高いプロユースの柔らかく発色のいい色鉛筆であればもっと綺麗にボケてくれるのかもしれません。

光の当てる角度によってはこのようにテカってしまいますが、ベタつきなどは全くなく、写真も角度を変えれば普通に問題なく撮影できます。
カラーレスブレンダーの代用品をテスト。エタノール、ベビーオイル、ワセリン、コピック、シール剥がし、ロウソクなど
色鉛筆のカラーレスブレンダーとして使うために必要な条件は
・紙を変化させない事
・色がないこと
・安価なこと
です。
ハンドクリームやリップクリームは確かにカラーレスブレンダーとしても使えますが、まず色が白いですからそれが気になりますし、紙に染み込んでベタつきやヨレが発生します。ベビーオイルやワセリンもそうでしょう。
メンコに油を染み込ませて重くして強くするという方法が昔ありましたが、紙は油を吸うと変色して曲がってしまいます。なので油はそこまでいいとは思えません。
色鉛筆の白もカラーレスブレンダーの代用品としてメジャーらしいですが、若干白っぽくなります。
というわけで、色を変化させず、ぼかしに使えそうな代用品をいくつか試して見ました。
それがこちらです。

一つ一つ解説していきます。
リンク
まず、ロウソクは木蝋か固形パラフィンワックスで作られていますが、どちらもクレヨンや色鉛筆に使われる素材なので親和性は高そうと思いチョイス。オマケに、ベビーオイルは流動パラフィンですが色鉛筆のぼかしに使えるので、それならロウソクだって使えるだろう、と考えましたが、全く変化はありませんでした。
リンク
靴クリームは百均のものをオイル類のテストとして選びました。溶剤入りなのでぼかしに適しており、安価でハンドクリームなどとは違い無色だったからです。綿棒の先に塗りぼかしてみました。
こちらはいいかんじにボケてくれましたが、紙がシワシワに波打ってしまい、オマケにべとつきも感じられるようになってしまいました。もしかしたらベビーオイルやワセリンならもう少し使えるのかもしれませんが、純粋なオイル類はやはりあまり適しているとは思えません。
リンク
アルコールは消毒用のキッチンアルコールスプレーを使いましたが、これは全くダメでした。水分が紙に染み込んで、そこを綿棒で擦ると髪が瞬く間にボロボロに。全く使い物になりません。少なくともこの程度のアルコール類は使用できないということがわかります。
原材料名を見るとエタノール、水と並んでいるので、少なくともアルコールは50%以上ですが、それでもダメですのでキズの消毒液なんかは使えないと思います。
リンク
70%のエタノールはどうでしょう。一件非常に綺麗にぼかせていますね。しかし、こちらもやはり含水率が高いのでぼかしている最中に紙が傷んでいく感覚がありました。実際、乾燥してから触ってみるとかなり毛羽立っています。また、裏から見ると明らかに紙がシワシワと波打っています。度数70%というと手指の消毒スプレーなんかで一般的な濃度ですが、こちらも使えませんね。
リンク
では96%のエタノールはどうでしょう。正確には95.1~96.9vol%のエタノール、つまり蒸留にて作ることのできる最高濃度のエタノールです。これはかなりいい感じでした。溶けも良く、紙に染み込む感じも明らかに含水率の高いエタノールと比較して違います。
かなり強めにゴシゴシと擦っても破れることは無く、多少毛羽立つ程度でした。これなら柔らかいタッチで行えば普通に使えると思います。また、裏写りもなく、紙の波打ちもほとんど無視できるレベルです。エタノールでこれなら無水エタノール、燃料用メタノールなども使えるでしょう。コスパはいいと思います。
リンク
シール剥がしはぼかす力がとても強く、紙をボロボロにすることもありません。しかし裏写りが酷いのと、シール剥がしを塗布した部分の紙は2日程度は変色&透明感してかなり目立ちます。それ以上置くとほとんど目立たなくなりますが、肉眼だとほんの少しだけ変化してるのが分かります。ぼかす力はエタノール以上で、更に紙へのダメージも無く使い方を工夫すればかなり使えそうですが、紙がしばらくの間変色するという大きなデメリットも抱えていますので適材適所ですかね。
リンク
コピックのカラーレスブレンダーはかなりいい感じでした。ぼかす力も強く、シール剥がしと比べると若干色が落ちますが、こちらは当然紙を変色させることも無ければ劣化させることもありません。
ただ、ニブが色鉛筆の顔料で酷く汚れるので、そこをどう捉えるかですね。一応試し書き紙に描いたり、ニブを綿棒で清掃したりすればまた無色のカラーレスブレンダーになりますが、完全に汚れは取れないのでいざと言う時混じってしまう可能性を考えると直塗りより原液を綿棒などに塗布して使うのがいいと思います。
コピックは高いと思われるかもしれませんが、同じようなものが百円均一で買るのでそれで十分ですよ。というかこれもパチモンですから。
リンク
そして油性色鉛筆専用カラーレスブレンダー。こちらは当然ながら専用品ですのでなんの問題もありません。
しかし、ぼかす力はコピックのカラーレスブレンダーやシール剥がしには遠く及ばず、どちらかと言うと顔料を混ぜると言うよりは薄く伸ばすという感じに見えます。また、かなり力を入れてゴシゴシしないとここまでボケてくれません。なので細かい点をぼかすならいいですが、もっと大胆に大きな範囲をしっかりかき混ぜるのならコピックのカラーレスブレンダーや無水エタノールを使う方がいいと思います。
リンク
紙は普通の自由帳の上質紙なので、スケッチブックなどの分厚い紙、水彩紙のような濡れることを前提とした紙ならもっと違う結果になるかもしれませんが、まあ代用品は所詮代用品ですね。そこまで頼りにするのはやめた方が良さそうです。
リンク
カラーレスブレンダーの汚れ清掃とヤスリ

カラーレスブレンダーは使うとこんな感じでペン先が汚れて、そのまま使うとその色がそのまま紙に移ってしまいます。そのため、使用する度に鉛筆削りで綺麗になるまで削るか、試し書きペーパーなんかに色が無くなるまで描く必要があります。

ただ、いちいち削るのは勿体ないですし、試し書きペーパーに擦り付けるのもなかなかに面倒なので、私はこのような百均の爪用の目の細かいヤスリで削ることにしました。
リンク
カラーレスブレンダーを使う際の注意
ぼかしのためにカラーレスブレンダーを使う前にひとつ注意があります。
それは、ペン入れに使うペンによっては悲惨な結果を招くことがあるということです。

これは色んな種類のペンで同じ紙に同じ線を引いて、その上をエタノールを浸した綿棒で擦ってみたものになります。
リンク
リンク
ゲルインキボールペンのSARASA CLIPと、耐水性顔料インクのプロッキーは全く滲みませんでしたが、普通の油性ペンのマッキーとジェットストリームはとんでもないことになっていますね。
マッキーはまだマシですが、ジェットストリームなんかエタノールが触れた瞬間に青く変色して擦った時点でもう原型は完全に無くなりました。こういうペンはコピックで描いても滲むので、あまりおすすめ出来ません。
あとがき
というわけで、油彩色鉛筆のぼかし、カラーレスブレンダーについての記事でした。
さすがに相当の技術がないとデジタルのギャルゲ塗りとかコピックのようには行かないと思いますが、色鉛筆でも上手く使えばパーリンノイズなどをかけたアナログ風のデジタルイラストレベルまで持っていけますし、スーパーリアリズムの作品なんかは写真とみまごう程ですよね。なので、色鉛筆は子供っぽいしクオリティ低くなる、と敬遠してる初心者の方はぜひ一度手に取ってみるといいと思います。
もちろん生で見れば用紙の凹凸なんかはわかると思いますけども、写真で撮影したりスキャナで取り込んだ場合もはや分からないでしょう。裏技的に色調補正を使えば彩度と明度の低さもどうにかなります。
また水彩色鉛筆というものもあります。ネット上のクオリティの高い色鉛筆画って水彩色鉛筆が多い気がしますので、こちらも試してみるといいかもしれません。これなら水のみでぼかせます。
リンク
色鉛筆のいい所って、とにかく安くて使いやすいことなんですよね。コピックとかのキラキラ系画材に比べると地味な子供用って感じがしますけど、正直真面目に一から塗り方を勉強してやらないとコピックはくそ高いのに色鉛筆やアクリル絵の具より全然悲惨、なんてことになりますよ。マジで。
リンク
また、色鉛筆の場合はアナログですしマーカーや水彩絵の具などのように広がり混じり合うこともないですから、全てを均一に同じ色で塗るのは当然不可能です。なので、普通に塗っても味のある濃淡が出せます。
他にも、色鉛筆はコピックなどのマーカーとは違って滲むことも乾くこともないので、ゆっくりとイラスト制作ができます。また、あとからここを塗り直そう、という時も、色鉛筆なら弱い筆圧で塗れば色が一気に濃くなるなんてこともありません。
それにアナログですし、保育園や小学校と色鉛筆なら誰しも使ったことがありますよね。使い心地も鉛筆とさして変わりません。なので、なんとなくで塗ってもデジタルよりそれっぽくなりますし、とっつきやすいです。筆圧のコントロールも容易です。
逆に色鉛筆のデメリットはやり直しが効かない、発色が弱い、均一な色で塗れないことでしょうか。
アニメ塗りなどは色鉛筆でやってもかけた労力とクオリティがデジタルと比べて釣り合わないでしょうし、バケツ塗りなんかもないので広いキャンバスを塗るのはかなりの手間です。高い色鉛筆を使用すれば当然費用もかさみます。
また発色がやはりデジタルに比べて弱いので、ギャルゲ塗りやアニメ塗りなんかをやってもやはりデジタルには叶わないでしょう。
ただ、カラーレスブレンダーなどのぼかしテクを使えばより高いクオリティのイラストになることは間違いありません。ぜひ試してみてくださいね。
それでは、以上です。
リンク
- 関連記事
-
-
ペンの持ち方によっての得手不得手。絵を描くならペンの持ち方は使い分けた方が良くね?【イラスト】 2022/11/19
-
XP-PEN X3 Elite Plusペン専用替え芯、フェルト芯のレビュー。ペーパーライクフィルムで液タブがアナログに?アナログ完全再現にかかる費用も考えてみた 2022/11/20
-
イラストの顔の際違和感修正でゲシュタルト崩壊したら他のパーツを弄ってみよう 2023/08/23
-
絵がクソほど下手くそな画伯時代にやってた上達を妨げる悪癖をまとめる【イラスト】 2022/12/01
-
ダイソーのデッサン鉛筆をイラスト描いてレビュー。絵を書く際芯の硬さは使い分けるべきか否か? 2022/11/25
-
鷺沢文香のドールを色気美人で作りました。デッサン人形としてもインテリアとしても使える 2023/07/18
-
【画伯・超初心者向け】自分の絵柄が嫌いとかわからないならまず参考になるテンプレートを作ればよくねって記事【お絵描き、イラスト】 2022/10/30
-
模写で絵のバランスを見る力を鍛えてみよう 2023/04/16
-
ド下手くそな私がイラスト上達法の記事を書く理由 2022/11/27
-
色鉛筆用のぼかしツール、カラーレスブレンダーと代用品をレビュー。使い方 2022/11/16
-
スポンサーリンク