XP-PEN X3 Elite Plusペン専用替え芯、フェルト芯のレビュー。ペーパーライクフィルムで液タブがアナログに?アナログ完全再現にかかる費用も考えてみた
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本日は、XP-PENのフェルト芯を試してみました。
それではどうぞ。
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フェルト芯と通常芯

こちらがXP-PENのフェルト芯。パッケージは通常芯とほぼ同じで色と文字が多少違うだけ。
XP-PENはフェルト芯と通常芯の2種類しかなく、また液タブはシリーズが同じならペンもある程度共通なので、種類はとても少ないです。分かりやすくていいことです。
いつまでも公式サイトやAmazonの商品画像が実物と違うのはまあご愛敬ということで。届くのはちゃんと付属品と同じ形のやつですよ。

Wacomだとフェルト芯は黒でハードフェルト芯は灰色との事ですが、XP-PENのやつはフェルト芯としか書いてません。フェルト芯の方がより柔らかく鉛筆に近い描き味との事ですが、比較対象がないとよく分かりませんね。一応これフェルトなの?ってくらいにはギチギチに固められています。
フェルト芯を買った理由
単純に液タブの描き味が嫌いだから。一応ペーパーライクフィルムを貼ってはいますが、正直ペーパーライクでも液タブは液タブ。そりゃなんもないに比べたらマシだけども、描き味は紙と鉛筆とは全く違います。シボ加工された板の上をプラスチックの棒で擦ってる感じ?
私、こんな感じでアナログだとシャーペンの芯をかなり長く出して、ペンをかなり寝かせて弱い筆圧で書くんですよ。芯はHBの0.5mmで紙はスケッチブック。
なので、デジタルのツルツルとした表面に抵抗なくサラサラと描いていく感覚は未だに慣れません。スマホとかなんもしてないペンタブに比べりゃ全然マシですけど、やっぱ長年親しんだ紙にガリガリ描いていくあの感覚じゃなきゃ大雑把な下書きやラフは作れない。なので変形も移動もレイヤー分けもできない不便なアナログで下書きは書いてます。その方が圧倒的に楽だから。
問題点も少しあったが設定を変えるだけで全く問題なし

とりあえずX3 Elite Plusにフェルト芯を装着してみました。特に問題はありません。背後に映ってる下手くそな絵は無視してくださいオナシャス
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標準の樹脂芯よりはガタツキというか遊びが少ない気がします。樹脂みたいにカチッとハマって微妙にカタカタする感じじゃなくて、ヌルッと押し込んだらがっちり固定される感じ。
液タブはARTIST 12 セカンド。初心者入門用に大正義の小型廉価高性能液タブです。フィルムは標準保護フィルムを剥がした後に豪華版に付属のペーパーライクフィルムを貼り付けています。とりあえず続けるかもわかんない、でも安すぎるのは不安、そんな人にオススメですよ。
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描画はタップも反応速度も視差も通常芯とあまり変わりません。短い線を引くと少し感度が低いかなという感じもしますが、ある程度の長さがあれば非常に素早い引っ掻くような描画でもちゃんと入り抜きで反応してくれます。ソフトはメディバンペイントPro。個人的に有料のクリスタか無料のメディバンか、みたいな認識なんですけど、実際どうなんすかね。そういや最近アイビスのWindows版が出たみたいですね。
筆圧をXP-PEN専用のソフトでコントロールすれば、上に書いた感度が低いという問題は無くなりました。ペンの硬さを最大まで柔らかくすれば、色鉛筆レベルの筆圧でもちゃんと反応してくれます。ペンに一切荷重をかけず、ペン先を画面に付けたまま横に引っ張るだけでもちゃんと描画します。凄い。
まあ流石にアナログみたいなミリ単位の描画はタップ認定されることもありますが、どうせ拡大して描くので許容範囲。
他に問題点として、これはフェルト芯は何も関係ないですが、アナログみたいなペンをかなり傾けて上下に素早くサッサっと線を引いていく描き方は液タブでは無理です。手ぶれ補正でそのような動きは勝手に抑制されますし、ペンの形状と芯の長さ的に傾けすぎると反応しないので。それが出来るのはiPadとAppleペンシルくらいじゃないでしょうか。
また、液タブやペンタブのペンは高性能すぎてアナログと違って微細なブレを顕著に拾うため、なかなか手ぶれ補正はoffには出来ません。offにすると同じ引き方でも入り抜きが勝手にハネになったり、線が太くなったりします。諦めるか、デジタルなりの引き方を覚えてoffにするしかありませんね。
ちなみに私は適当に最初に30にしてからずっとそのままだったんですが、ラフを書くなら30、線画なら20~25くらいがいいかなと思いました。かけすぎると入り抜きが効きすぎて線画には向かないし描画も遅れます。かと言って弱くすると微妙にブレたり勝手にハネたりするので、このくらいの設定にしています。
メディバンの鉛筆ブラシでの話なので、その人の使うソフトやブラシにもよると思いますがご参考までに。ハッチングとかクルクル描き、点画を多用するなら手ぶれ補正少なめで、ゆっくりと線を引くなら強めがいいと思います。
フェルト芯の描き味は素晴らしいです。通常芯と比べて摩擦が強く、ザリザリっというシャーペンの黒鉛が紙に引っかかる感覚に近いので、アナログで素早くシャッシャっと線を引いていくタイプの人には非常におすすめだと思います。液タブだとどうしてもアナログ的な描き方は出来ない(少なくとも私は)ですが、ペーパーライクフィルムとフェルト芯の組み合わせで限りなく近付いた気がします。
芯の耐久性は通常芯よりむしろ強いかも。削れや減りが明らかに少ない
芯の減りについては使ってみないとわかりませんが、一般的にイメージされるサインペンのフェルト芯だとか、フェルトの布地なんかとは違い、フェルトを固く圧縮した樹脂にも近いような質感です。
液タブのペーパーライクフィルムの上を滑らせると削れた粉が少し見えるくらい付くので、これ大丈夫かなって気になりますが、プラスチックの芯と比較して削れ方がマイルドという感じもします。
ガンガンガンガン減っていって方細りしたシャーペンの芯みたいになるというよりは、少しずつ丸くツヤツヤになっていくような削れ方。とにかくストレス解消に思いのままガリガリ描きまくってみましたが、ペン先はほとんど削れていません。多分樹脂芯なら既に方細り始めてると思います。
なので、耐久性が低いということは無いと思います。むしろ樹脂の標準芯よりよっぽど耐久性は高い気がする。多分樹脂芯と比較して削れてすり減っていくと言うより、摩耗してツルツルになっていく感じなのがいいんでしょうね。まあ摩擦が高いので、ペーパーライクフィルムのすり減りが気にならないと言ったら嘘になりますけど。
あ、あと、ペーパーライクフィルムとフェルト芯の組み合わせで描いたあと電源を落とすと、画面が傷まみれになっててビックリするかもしれませんが、大丈夫。削れたフェルトがフィルムの凸凹にくい込んでるだけで指で擦ったりウエットティッシュとかで拭くとそれ全部消えますから。

ちなみに通常芯はペーパーライクフィルムだと数枚描いただけでこうなります。ペンの持つ角度を定期的に変えれば均等に削れるのでもっと使えると思いますが、ボタンがついてるのでどうしても角度は固定されるためこうなってしまいます。こうなると線はともかくタップがまともに反応しなくなるので寿命ですね。カットして芯の逆側を丸く研磨して差し替えるとか、ヤスリで方細りしたペン先を丸めるとかでまだ使えそうな気もしますけど、そんな高いもんでもないですしあんまり変なことはしない方が良さそうです。
フェルト芯は通常芯より高め。しかし微々たる差
私にとってフェルト芯は通常芯とは比較にならないほど上質な描き味で、正直大まかな色塗り以外はこれからずっとフェルト芯を使っていこうと考えています。
ただ、問題なのは価格ですよね。当然フェルト芯の方が高いです。
同じ本数でも公式サイトによるとフェルト芯は20本2500円、通常芯は1500円と大きな差があります。フェルト芯は1本125円、通常芯は75円。微々たる差ですが結構な差があるのも事実です。私の場合替芯の消費は多くても月5~7本とかなので毎月買い足しても大した出費にはなりませんが、毎月40本とか使うようなとんでもなく描きまくる人とかなら少し考えるべきかもしれませんね。普通替え芯って1週間から1ヶ月とか余裕で持つものらしいので、そんな人この世にいるのかは知りませんけど。
私はAmazonで買いましたが、XP-PEN公式の出品でもAmazonの方が明らかに安いです。しかし、Amazonはなんか替え芯の在庫切れが多いんで確実性を求めるなら公式サイトで買いましょう。今なんて通常芯はAmazonのどこにも在庫ないですしね。安い消耗品ですから使いまくるならストックしとくのも手かと。
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趣味ならそんな使わないし、プロなら全額経費計上できるんで値段はまあ誤差みたいなもんだと私は思います。
デジタルで鉛筆やシャーペンの描き味を再現するには途方もないお金が必要。妥協しよう
最後に、フェルト芯とペーパーライクフィルムで私の液タブはかなり紙の描き味に近付きました。
しかし、まだ紙同然とは口が裂けても言えません。
なので、とにかくアナログの描き味に近づけるためにはどうしたらいいか、という「ぼくのかんがえたさいきょうのイラスト機材」を書いていきたいと思います。
まず、アナログに近い描き味を液タブで求めるなら、筆圧関知8192、傾き感知60°、広い色域とフルラミネート、フェルト芯、ペーパーライクフィルム、大画面2~4KディスプレイにハイスペックデスクトップPCが必要だと私は思いました。
私は普段アナログではB4のスケッチブックに腰までのイラストが入るくらいで描きます。小さいと描きにくいので、最低でもB5の自由帳くらいの大きさは欲しい。つまり拡大縮小しなくても全体像を見ながら描ける12インチ程度は欲しいです。
ただ、イラストソフトは基本的に真ん中に描画範囲、左右にレイヤーウィンドウやブラシウィンドウなどを配置する形ですので、液タブの画面は実際のインチサイズより大幅に小さくなります。液タブが横長なのはそのためもあるんじゃないのかと思います。そのため、全身を描く縦長キャンバスとかだと実際の描画範囲が小さすぎてかなり描きにくい。
私がアナログで下書きを作る一番の理由がこれですね。なので液タブは20インチくらいを目安にしましょうか。
でもディスプレイサイズを大きくすると当然ビットが目立つので、フルHDでは足りず2~4Kが必要になってしまいます。テレビとかと違って液タブは間近で見るので、多分それ以下だとだいぶ気になると思いますよ。特に最近なんてスマホにQHD有機ELとかが普通なんで、ノイジーな画面に拒否反応が出てしまう人も多いんじゃないでしょうか。それにアナログの描き味を目指すならビットが見えるとか言語道断ですし。
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筆圧関知や傾き感知は高ければいいという訳でもないですが、低くていい事は多分ありませんし、今どきの液タブでこのスペックをクリアしていないのなんてWacom One 13くらいなので気にしなくてもいいと思います。いや知らんけども、XP-PENの3万の液タブでもクリア出来てるのにそれ以上の値段で筆圧関知4096とか流石にないでしょ。ON荷重や沈み込みに関しても正直X3 Elite Plusで不満ないのでそのくらいでいいです。
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ちなみに視差が少なくなるフルラミネートや、色域の狭さもWacom One 13以外なら正直どれも最低限はクリアしてると思うのでほぼ同じ気がしますね(適当)
それにフルラミネートでも見る角度によっては盛大に視差は発生しますし。
で、フェルト芯とペーパーライクフィルム。これはツルツルの液タブの描き味をできる限りアナログに近付ける為の悪足掻きです。板タブで絵描いてる人なんて腐るほどいるんで人間長くやれば多分慣れますよ?でも、アナログの質感を再現するならこのくらいやってもまだ及ばないレベルですから、無いなんて考えられません。
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で、高性能PC。これは重たいイラストソフトと高解像度液タブを快適に動かすために必要なものです。描画の遅れとかがあるだけで一気にアナログから乖離しちゃうので、それを無くすためにクリスタの高解像度大量レイヤーイラストだろうがまともに動かせるPCが必要です。私はi5u第8世代のメモリ8GBノートで描いてますが、素早い描画やぼかしや指先ツール、8000×10000みたいな巨大キャンバスではマシンスペックの限界を感じます。正直パソコンには全く詳しくないので何も分かりませんけど、イラストソフトはシングルコア性能が重要みたいなんでその辺重視で適当にAMD RyzenとかIntel core iからシングルコア性能高めのやつ選んだらいいんじゃないですかね。流石にXeonとかThreadripperなんかはいらないはず。多分。
メモリは32GB居るとかどっかで聞いたんで適当にDDR4の16GBを2枚刺しで。グラボはマジでわからんので適当にミドルレンジあたりの高性能そうなやつ付けときましょう。
というかこのスペックのBTOがこの値段なのにこんな化け物マシン用意するのいくらかかるんですかね……いや、まあ理想追求するだけならタダだしもう適当でいいや。
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総額いくらかかるんですかね……安く揃えても液タブ10万、PC25万、モニタ4万、周辺機器2万くらい?そこに左手ツールとか加えたり、デカい液タブ置けるデスク買ったり、チェア用意したり、ソフト買ったり……もちろんWacomのハイエンド液タブ、どんな負荷もものともしないモンスターマシン、有機EL4Kモニタなど、上を求めればキリがありません。んでこんだけやってもドライバの相性問題に苦しんで大金飛んで行ったり妥協して使う羽目になることもよくある話。実際、私の使ってるポータブルアンプのmicro idsd BLとARTIST12セカンドの相性が悪いみたいで今日PCが一度クラッシュしました。あってよかった自動バックアップ機能。
大金持ちの富豪やプロ以外はほどほどで妥協してデジタルに慣れた方が良さそうですね。私の環境もメディバンペイントを起動している間のみARTIST12セカンドのショートカットキーの割り当てがまともに効いてくれないという難点を抱えています。ああでもないこうでもないと弄り回してたら気付けば絵も描かずめちゃくちゃ時間経ってました。すげえ無駄にしてしまって鬱。
つーか、筆圧関知レベル1024のAppleペンシルと小さい画面のiPadで描いてる神絵師もいるんだし、なんならスマホ指描きの神絵師も居るし、所詮道具は道具でしかないっすね。
私が液タブ使ってんのもアナログじゃ線画をまともに描けなくて、水彩絵の具やコピックを使いこなすだけの技量がないからだし。アナログで終わらせられるなら百均のコピー用紙と鉛筆とミリペンと水彩絵の具だけで描けば費用なんてほとんどかかりません。そしてそれで描ける人なんてこの世に腐るほどいます。
考えるだけ無駄、壊れるまでARTIST12セカンド使い倒すとしますか。というか最近はiPadが欲しくなってきた。気楽に描けそうっていうクソみたいな理由なんで買いませんけどね。お絵描き目的で買われたiPad Proのうちどれくらいが動画鑑賞マシンになってるんでしょうか。統計とかあったら面白そうですね。
てなわけで、以上です。
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