茹でた豚もも肉、鶏ムネ肉で干し肉を作ってみたという話。冷蔵庫乾燥のやり方から燻製の方法まで作り方を完全公開
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これが野食かどうかも怪しいもんですが、この間初めて自分で干し肉というものを作りました
干し肉。読んで字の如く干した肉のことですが、皆さんもご存知の通り肉というのは非常に腐りやすいもの
(ちなみに炎天下に放置され蛆虫まみれに腐敗したパック詰めの鶏肉を見たことがあります。それはそれは物凄い光景でした。いろんな意味で
ちなみに臭いは唾が乾燥した時のような酸っぱいような香りと色々な匂いが混じっていてとにかく到底言葉で表現できるようなものではなかったです)
それを腐らないようにするため、試行錯誤の上色々と気をつけながら水分を飛ばし切ったものが干し肉なわけです
当然、腐りやすい肉を腐らなくするためには非常に沢山の手間と知恵が必要であり、それは到底素人には扱えるようなものではありません。
なので、干し肉という無骨な名前ながらも、実際のところは非常に手の込んだ料理と言えるでしょう
(というか干し肉=ジャーキーですからね。難しくて当然ですよ)
が、しかしそれと同時に、その野性味溢れる風貌や制作過程は男心を非常に擽るものでもあります。私もカメ五郎さんやMEGWIN TVのゾンビ肉動画なんかを見ていて、非常に興味を唆られ一度は作ってみたいと思っていました
ただ、私は手間をかけるのが大嫌いな人間です。もう塩抜きだの湿度だの工程を見ただけでも嫌になるのに、オマケに燻製なんて素人が手を出すには些かハードルが高すぎる
また自作の干し肉なんざ所詮趣味の領域。保存食とロマンを手軽に手に入れたいだけの私からすればコスパ、特にコストの面で言えば大損もいいとこでしょう。
あんなに手間かけて作るなら、市販のビーフジャーキーでも買った方がお得なのは誰の目にも明らかです
てなわけで今回は自己流でなるべく手間をかけず適当に作ったんですわ
今思うと我ながらアホだなと思いますが、一応ちゃんとしたものは出来たのでネタくらいにはなるかなーと思ってこの記事を書いているわけです
今回は色々なサイトを適当に巡回しながら、いろんな情報を集めてそれを独自にアレンジして作ってみました
一番難易度が高いのは何も道具がない状態での燻製過程ですが、それも格安で解決させましたので一応これから作るという方の参考程度にはなるかと思います。そこは安心してください
まあ俺はあんまり勧めんけどな
てなわけで前置きもこの辺として、本筋に入っていくとしますか
それではどうぞ
あ、例のごとくこのカテゴリの記事はひとつの読み物、的なのをイメージしているのでクソ長いです
なのでこの中の一工程にしか興味が無い、なんて方は目次から自分のお目当ての項目を選んで飛んでください
あと、これは私の記事以外。インターネット上の全ての情報に言えることですが、真似してなにか痛い目にあってもそれは全て自己責任になるので注意してくださいね
(まあこれは念押しみたいなもんで、大抵は真似して平気だと思いますけどね。このご時世何があるかもわかりませんし一応自己責任ということは強調しておきます)
それでは今度こそ本当にどうぞ
目次
1.そもそも干し肉とは?ジャーキーとの違いは?なぜ腐らないのか?
2.冷蔵庫での干し肉の作り方。低湿度&低温度の冷蔵室干しで腐る心配いらず
3.干し肉にする肉選び。脂肪が少ない牛ヒレや鶏ムネ、豚ももなどの部位がおすすめ
4.干し肉はソミュール液に漬け込むのと塩漬けのどっちがいいのか。塩抜きの必要性と味付け、保存料について
5.塩と醤油をベースにした特性調味液に一日漬け込む。肉の水分が抜けたのか肉が微妙に硬くなってる。そして塩抜きの代わりに肉を茹でて火を通す
6.ついに燻製の工程に入る。麦茶と蒸し網、鍋を使った家で出来る手軽な燻製の方法について。百円均一ダイソーにて全て揃うよ。ついでに燻煙の効果の原理についての説明
7.自作燻製キットでは煙の被害を抑えた燻製が可能。都会だろうが集合住宅だろうがこれなら燻製し放題じゃね?
8.ついに超絶簡単な工程で作った干し肉が完成。燻製はとても上手く行ったが味が濃すぎた
9.あとがき。市販のビーフジャーキーは美味いし干し肉の感覚を確認できるからみんな一回食え。今後は干し肉じゃなくてスモークチキンなんかも作っていくつもり
1.そもそも干し肉とは?ジャーキーとの違いは?なぜ腐らないのか?
2.冷蔵庫での干し肉の作り方。低湿度&低温度の冷蔵室干しで腐る心配いらず
3.干し肉にする肉選び。脂肪が少ない牛ヒレや鶏ムネ、豚ももなどの部位がおすすめ
4.干し肉はソミュール液に漬け込むのと塩漬けのどっちがいいのか。塩抜きの必要性と味付け、保存料について
5.塩と醤油をベースにした特性調味液に一日漬け込む。肉の水分が抜けたのか肉が微妙に硬くなってる。そして塩抜きの代わりに肉を茹でて火を通す
6.ついに燻製の工程に入る。麦茶と蒸し網、鍋を使った家で出来る手軽な燻製の方法について。百円均一ダイソーにて全て揃うよ。ついでに燻煙の効果の原理についての説明
7.自作燻製キットでは煙の被害を抑えた燻製が可能。都会だろうが集合住宅だろうがこれなら燻製し放題じゃね?
8.ついに超絶簡単な工程で作った干し肉が完成。燻製はとても上手く行ったが味が濃すぎた
9.あとがき。市販のビーフジャーキーは美味いし干し肉の感覚を確認できるからみんな一回食え。今後は干し肉じゃなくてスモークチキンなんかも作っていくつもり
そもそも干し肉とは?ジャーキーとの違いは?なぜ腐らないのか?
そもそも干し肉とは、上でも書いたようにただ肉を干しただけの適当なもんではありません。まあ当然ながら、肉を冬でも食べられるように先人が開発した保存食なわけです
というか基本的には干して乾物になった肉類はジャーキーで、干し肉もジャーキーなわけですね。ビーフジャーキーなら誰でも知ってると思います。あれも要は干し肉なわけですよ
ちなみにスルメは日本人なら誰でも知ってるイカの天日干しですが、あれも海外ではイカのジャーキーという扱いだそうで
そもそもジャーキーってのが南米の先住民の言語のひとつにある、日干しにした食材全般を呼ぶ言葉が変化したものだそうです
ならまあスルメもジャーキーですわな。
乾物=ジャーキーなわけですし
ならやっぱ肉を天日で干せばいいのか?というと、干し肉はどうやら条件が結構厳しいみたいで、カビも生えたりするみたいです
具体的に言うと温度と湿度が重要で、そのどちらかがダメでも失敗してしまうとの事。
生憎と今は夏なんですよね。気温は高いわ湿度も高いわで最悪な季節。オマケにセンチニクバエに蛆虫でも産み付けられた日にゃあの捨てられた鶏肉がベランダで生成される恐れすらある
あんなもんがベランダに出来たら異臭騒ぎが起きてしまいます
しかも蛆虫まみれの腐った鶏肉が軒先に吊るされてるって周りから見りゃただのサイコパスの館ですよ。通報される恐れすらあります
さてどうしたものか……と色々考えた結果、冷蔵庫を使うことにしました
冷蔵庫での干し肉の作り方。低湿度&低温度の冷蔵室干しで腐る心配いらず
冷蔵庫内というのは、非常に低温、低湿度な状態が保たれています
そのため、野菜などを裸で入れておくとみるみるうちに干からびていきます。これを利用して湿気ったせんべいやクッキーを復活させるという裏技なんかが有名ですね
この環境、実は干し肉を作るには非常に適しているんです
上でも言ったように干し肉に重要なのは湿度と温度。雑菌を繁殖させないために肉の温度を低く保ち、そして低湿度の環境で肉の水分を抜き腐敗しないようにする。
これが大雑把な干し肉制作の理屈です
要は細菌が繁殖する前に水分を抜いてしまえば勝ち、という理屈で成り立っているのが乾物というわけ
それに私は過去に干し飯(ほしいい)という乾燥保存食を作ったことがあるのですが、その時も確か冷蔵庫を使った気がします
それに冷蔵庫の乾燥パワーはこれまでカピカピになってきた皿の上の食い物たちがまさに身をもって証明してくれているわけですよ。私の記憶の中でね
というわけで、今回は冷蔵庫を使用して低温乾燥させることにしました
干し肉にする肉選び。脂肪が少ない牛ヒレや鶏ムネ、豚ももなどの部位がおすすめ
乾燥させる方法が確定した時点で、次は干し肉にする肉選びです
市販されているビーフジャーキーは脂身などは一切見受けられず、よくMEGWIN TVで見るゾンビ肉なんかもあまり脂身のない肉を使っています
更に言うと脂身の多い肉。例えば豚バラとかは流石の私もちょいと心配なので、今回は鶏胸肉と豚もも肉をチョイスしました

(※元はブログの記事にする予定ではなかったため、写真を撮る事はしておりませんでした。そのため、今回の記事では私の絵をイメージとして使います)
上の二種類の肉に共通する点として、脂身が少なく繊維質で硬め。そしてなんと言っても安いこと。
豚ももはだいたい100gで100円くらいですし、鶏ムネに至っては50円程度で買えてしまいます
そもそも成功するかもわからないですし、なにより手間をかけてオマケに乾燥させるんだから、わざわざたっかい肉使うことも無いでしょう。
特に鶏ムネのパサパサで固いなんてむしろ干し肉にするには好都合なんじゃないですかね?
てなわけで肉選びは終了。次の項目からはついに塩漬けに入ります
干し肉はソミュール液に漬け込むのと塩漬けのどっちがいいのか。塩抜きの必要性と味付け、保存料について
さて、肉を買ってきたわけですが、問題なのはここから。なんせ作り方が全然わからない
塩分濃度だとかワインとハーブだもかそういう面倒なことは一切やる気がないです。なので、本当に何もかも目分量、アレンジし放題
しかも干し肉なんて面倒なことはトライアンドエラーという訳にもいかない。そんなことするくらいなら普通にビーフジャーキー買うわって話
てなわけで、今回はとりあえず簡単そうな塩漬けをまず選択。豚肉と鶏肉を洗ってから5ミリくらいの薄さにカットし、それを包丁の腹で押して伸ばし適当に塩をぶち込む

塩をぶち込むことで肉の中の水分を抜くと共に肉に塩分を染み込ませて腐敗を防ぐのが目的だそうです
ただ、よく考えてみると塩漬けにした肉は当然アホほどしょっぱいわけですよ。
なので薄い塩水につけて塩を抜く塩抜きという工程が必要になる訳ですが、そんなことしてたら今回のコンセプト「なるべく手間をかけない」から外れてしまうのでは?という疑問が
他にも今回行っているのは塩漬けです。つまりは塩だけ。なんの味付けもしてないわけです
クレイジーソルトやらブラックペッパーやらはなんもかけてない。なのでこのままだと塩抜きした後にまた味付けするという二度手間みたいなことになっちゃいます
しかも後々考えると今回使ってるのは生食厳禁の豚肉と鶏肉ですし……まあ屠殺後の冷凍で寄生虫は死滅しているでしょうけども、このまま進んだらデッドエンドになる未来しか見えません
というか生肉好きじゃないですし
なので、今回は塩漬け過程でニンニクやクレイジーソルトなんかも一緒にぶち込んで、味付けと同時に塩漬け。そして塩抜き&加熱を兼ねて茹でることにしました
塩まみれの肉に醤油や胡椒、バジルやクレイジーソルト、ガーリックなど適当なものをどんどんぶち込み揉んでいく。唐揚げの下味付けみたいなイメージで何だかわからんけど揉み込む

ついでにアルコールを含む調理酒、そして防腐効果のあるアミノ酸であるグリシンと旨み成分のグルタミン酸ナトリウムもぶち込んでおきました。
あ、グリシンってのは甘みと雑味のあるアミノ酸の粉で、Amazonでキロ1000円くらいで買ったやつです。味の素グリナの主成分で、コンビニの弁当やレトルトパウチ食品など色々なものに使われていたりしますね
グルタミン酸ナトリウムについては説明不要でしょう。味の素ですよ味の素。まあ私は業務スーパーでアホほど安い同じ成分のものを買ってますが
(もう買って何年か経つけど未だに全然使いきれていないのはご愛嬌。つか冷静に考えたら一般人で味の素1キロも使い切れねーよ)
ニンニクは味付け、風味付けの役目もありますが、もうひとつアリシンによる抗菌や殺菌効果も狙っていたりします。
アリシンとはニンニクやネギなどのあの独特な香りの元となっている成分で、とても強い殺菌効果や防カビ効果などを持っているんですよ
具体的に説明すると、ニンニクやネギなどを切ったり潰したりすりおろしたりして組織を破壊した時、それらに含まれるアリナーゼという酵素群がアリインという成分をアリシンに触媒します
(因みに玉ねぎを切ると涙が出るのもSyn-プロパンチアール-S-オキシドとかいうクソ長い名前の成分が生成されるからです)
このアリシンの殺菌効果がどれほど強いかというと、人間以外の動物。特に猫や犬なんかは身近ですが少量食べただけでも注意が必要な程の毒物です
(正確にはアリシンが分解された二硫化アリルが赤血球のヘモグロビンを酸化させることにより貧血や血尿、下痢や嘔吐を起こしたりするのが原因です)
人もにんにくを生で食べるとお腹を壊すと思いますが、あれはこのアリシンが腸内の善玉菌も悪玉菌も関係なくブチ○しているからなんですね
なんならコレラ菌やチフス菌、結核菌。あのヘリコバクター・ピロリにすら有効なくらいです
またニンニクはがん予防に効く食品、デザイナーフーズのピラミッドの頂点に君臨する食品でもあります。トマトがよくガンに効くなんて言われてますが、ニンニクはそのはるか上に位置しています。最強すぎだろニンニク
……まあこれらの蘊蓄は今回の干し肉にはなんの関係もないですけど、そんなに強い効果を持ってるならなんか謎に安心感がありますよね。てなわけでみんなも干し肉を作る際はニンニクをガンガン使いましょう
因みにアリシンは揮発性及び安定性の低い化合物でもあるため、ローストガーリックなどの加工品よりは生のものをその都度すり下ろすのがオススメです
相も変わらず脱線しましたね。本筋に戻るとしましょうか
しょうゆは味付け&塩分の追加。その他の香辛料やハーブは味付けです
ちなみに私今回初めてクレイジーソルトなるものを購入したのですが、これフタの形状がちょっと気になりますね
回転スライド式なので、ちゃんと締まりきらないんですよ。わかりやすく言うと密閉ができない
しょうもないことではありますが、昔からこういう細かなところが気になってしまうんですよね。パルメザンチーズみたいにちゃんと閉まる蓋にして欲しかったです
……まあどうでもいい話ですね。次行きましょう
塩と醤油をベースにした特性調味液に一日漬け込む。肉の水分が抜けたのか肉が微妙に硬くなってる。そして塩抜きの代わりに肉を茹でて火を通す
さて、上記のように適当に作った塩分マシマシの調味液に一日漬け込んだ肉の様子の報告です
まず、硬さを確かめるため本当はいけないんですが少し齧ってみました。すると、なんとなく水分が抜けたのか全体的にしっかりとした硬さになっており、なおかつ内部にまで強い塩味が染み込んでいます
というか塩辛いです。こっから水分が抜けて塩分が凝縮されることを考えるとちょっと濃すぎたかもしれません
まあここまで来たらもう止まれませんよ。てなわけで調味液ごと湯を張った鍋にぶち込みしっかりと茹でました
これにより塩分も幾分か抜けるでしょうし、茹でることにより生肉ではなく茹で肉になります。また、油も幾分か抜けるでしょう
茹でたら塩で水分抜いた意味は?ってなるかもしれないけどもはやどうでもいいや(適当)
しっかりと茹でて、茹で上がったものをキッチンペーパーでしっかりと拭きます
で、皿に並べてあとは冷蔵庫にIN
普通は24時間ほど干すそうです。まあ適当に様子を見ながら乾燥するまで放置することにします
ちなみに茹でたてのものを試しに味見してみると、しょっぱいもののまあ食べられるレベルにはなっていました
ついに燻製の工程に入る。麦茶と蒸し網、鍋を使った家で出来る手軽な燻製の方法について。百円均一ダイソーにて全て揃うよ。ついでに燻煙の効果の原理についての説明
ついにこの時がやってきた
16時間ほど冷蔵庫に入れて置いた肉は、干し肉とは到底言えないレベルとはいえ、それでも茹で肉とは思えないようなほどパッサパサになっています
このレベルまで来たらもういいでしょう。最後の工程、燻製に入ります
なにで見たかは思いだせないけど、絶対みんな一度は見たことがあるであろう光景である吊るした肉の下で焚き火をして煙を当ててるアレ。アレが燻製です
正確には燻製における煙を当てるアレは燻煙といい、サクラやおが屑などの煙を当てることにより香り付けと殺菌成分の浸透を行う工程をそう読んでいます
これらの木材の欠片や粉をチップと良い、それを燃やす、というより現代における薫製では燃えないように燻製させたい食材と密室に入れて下から弱い熱を加え、または線香のような感じで不完全燃焼させ煙を沢山出します
これらの煙の中にはホルムアルデヒドやフェノールという成分が発生しており、これが食材のタンパク質と反応・変性して微生物が死滅し、またアルデヒドがタンパク質と結合することにより食材表面に皮膜を作り食材が腐りにくくなるというそうです
またこの燻煙により殺菌・防腐効果を高めると同時に、長時間燻すことにより食材をさらに乾燥させその結果水分活性の低下(食品内には結合水と自由水の二種類があり、そのうち自由水の割合を減らすことにより微生物の繁殖が防止されるという理屈。ちなみに塩漬けや砂糖漬けなんかでも水がそれらと結合するため自由水の割合は減ります)により保存性が高まる……という理屈だそうで
なんでこうもこの手のモノは書くのが面倒くさいのかねぇ
端的に言うと煙のアルデヒドで微生物をブチ○してんだよ
さて、この燻製ですが、はっきり言って現代人には最も難易度が高いのはこの燻製だと思います
燻煙。煙で食材を燻すわけですが、はっきり言って現代でそんなこと気軽にできます?
家の中でなんてもちろんアウトです。煙まみれで火災報知器とかが作動でもしたらたまりませんし、燻製とはいえ煙は煙な訳ですから当然部屋の中にはヤニやら煤やら臭いやらが付きまくる
ならばベランダで……となるわけですが、ベランダでタバコを吸う事すら煙たがられるこの現代、周りの目もありますし燻製なんてそう簡単に出来るわけがありません
ならば野外で……となりますが、そんなのもっとダメ。他人の土地で燻製とかアホかと。公園で焚き火なんてしたらそれこそ通報されるレベルですよ
ならば家庭でできる煙の出ない燻製キットを買う……というのが最善ではありますが、はっきり言ってそんなもん買うほどこっちはガチでやってないんですわ。しかもそれなりに高いし、メンテナンスとかもかなり面倒だという話
(まあ超大量のタバコを小部屋で燃やしたヤニを想像すりゃあね。ちょっとやそっとじゃこびり付いたのは取れやぁしないでしょ)
ってなわけで、今回私が無い脳みそをフル活用して用意したのがこちら
・蓋付き鍋
・折りたたみ蒸し網
・麦茶
要は肉に煙を当てればいいんだろ?という考えの元、どうすれば地味な感じで家の中で燻製できるか?というコンセプトの元辿り着いたのがこのセット
まず、麦茶は燻製チップの代わりです。
割り箸とか爪楊枝、それこそ私の場合落ちてる木の枝とかでも良かったんですが、削るのも面倒だし香りもないので今回はとりあえず家にあった麦茶パックの中身を使用。これを燃やして煙を出すわけです
(ちなみに乾き切ってない生木は水分を多量に含んでますが燻製的にどうなんですかね。あとは夾竹桃とかの枝はマジでヤバいので素人は絶対に真似しないでください)
あ、あとぶっちゃけ麦茶と燻製チップだとどっちがコスパいいのかは謎な感じがあります
まあでも私はいちいち成功するかもわからん干し肉のために通販で買うのもなんなので家にある麦茶パックで代用しました
お次は鍋
鍋は家にあった壊れかけの古い鍋を使います。燻製の場合煙やヤニがつきまくるので、内部でそれら全てを完結させられる蓋付きの鍋は非常に便利だと考えたわけです。燻製キットとかは網とか台とかめんどくさいですからね
(没案としてはせんべいの缶的なものがありましたが、それだと熱源の問題やらなんやらが面倒くさかったので)
中に燃えるもん入れてそのまんま火にかけりゃ煙が出る。蓋をすりゃその煙を内部で滞留させられる。燻製にはもってこいじゃないですか
それに台所には換気扇がありますし、台所なら煙なんて焼肉やら揚げ物やらでしょっちゅう出てるので気分的にもいい感じです。もちろん家の中なので周りの目とか一切関係なし
ただ換気扇の形式によってはフィルターがすぐにベットベトに汚れる可能性があるのでそういうとこは注意してくださいね。燻製の煙ってボヤの時の煙とそう変わんないですからマジで汚れるので
(ちなみにガスコンロかオールメタル対応のIHなら百均の雪平鍋と鍋の蓋で200円でこのセットは揃えられます。最悪底の深くて広いボウルでもいいかも)
で、最後に展開式の折りたたみ蒸し網
これが1番のキモです
これを中にセットしてその上に肉を置いて火にかけけば、蒸し器の要領で水蒸気の代わりに煙が食材にまんべんなくかかります。紛うことなき燻煙になるわけですね
オマケに折りたたみ式の蒸し網はいろんな形状の鍋に適応するように作られているので、汎用性も高いというわけ。
(最初は普通の蒸し網兼用落し蓋を使おうかと考えましたが、色んな鍋のサイズに会うという特性と脚が少し高いので直接火が当たらない部分を考えてこちらにしました)
ちなみに私はダイソーで購入。250円でした
展開ギミックが以外に楽しくて意味もないのにパタパタして遊んじゃいました
まあこいつらに関してはそんなに特筆して語ることもないのでさっさと次に行きましょうか
ちなみに使用感や原理はこんな感じの燻製鍋っていう普通に売られている商品と同じですね。下から熱を当てて蓋をするだけの鍋なので
ちゃんとしたいならこういう専用のやつ買った方がいいと思いますよ
自作燻製キットでは煙の被害を抑えた燻製が可能。都会だろうが集合住宅だろうがこれなら燻製し放題じゃね?
さて、早速三種の神器を使用した燻製を行っていきます
工程としては上でも語ったように鍋の底に麦茶パックの中身を敷き詰め、その上に蒸し網を引き、上に肉を並べ火にかける。あとは放置するだけです
唆るぜこれは
てなわけでこの手順でセットして、IHクッキングヒーターに鍋をセット。まずは煙を出すため強火で加熱

すると数秒でモクモクと白黄色い煙がどんどん出てくるので、蓋を閉めて火を弱火にします。あとは30分放置するだけ
ガスと違いIHは天板がある程度の熱さになると安全上の問題で勝手に加熱が止まるので、短めの時間で中身をひっくり返しながら何度か燻製しました
IHはこの記事でも書いたようにある程度トッププレートから鍋底が離れていてもちゃんと温めてくれるので、陶器製のプレートなんかがあればベストなのかなーと思います
ステンレスボウルはIHクッキングヒーターで使える。メリットと使える理由の説明について【百均のステンレスマグなど】
IHクッキングヒーターって便利ですよねどうも、♨の人です本日は、料理に使う「ステンレスボウル」をIHで直接温めてもいいのか?ということについて語っていきたいと思いますそれではどうぞ目次結論から言うと普通に使えるIHクッキングヒーターの仕組みと底が平らでなくとも使える理由についてIHでステンレスボウルを使用する危険性についてステンレスボウルをIHで使用するメリットについてステンレスボウルをIHで使うデメリットに...
で、煙の問題ですが、換気扇のパワーは凄いもんで、鍋の蓋から多少漏れてくる煙はどんどん外に流れていきます。そして鍋の蓋とフィルターには大量のヤニが
まあ予想してたことではありますが、フィルターと鍋がベッタベタになってしまうのはもうどうしょうもないと思います
鍋は燻製専用にした方がいいですね。フィルターも上からなんか新しいの被せとくとかしといた方がいいでしょう
で、あとは燻製し終わった肉をある程度放置。これは空気に当てることにより煙のエグみをマイルドにする効果があるそうです
まあ出来たてでも普通に食べられますけど、そりゃ煙のヤニでコーティングしてる訳ですからエグかったり苦かったりはするでしょう。ここは大人しく我慢です
で、数時間待てば……ついに、干し肉の完成です

ついに超絶簡単な工程で作った干し肉が完成。燻製はとても上手く行ったが味が濃すぎた

さて、出来上がった干し肉ですが、ここまで来るともう元の面影は全くありませんね
燻製した干し肉、というワードで検索して出てくるようなものほど燻製によって黒くなってはいませんが、一応燻製の色も付き表面もカチカチ。齧り付いてみるとスルメのような感覚で肉の繊維が避け食感も水分がかなり抜け切っている感じ
総評的に見て、初めての制作にしてはなかなか上手くいったと思います
最初は本当に茹でた肉が干し肉になるのか?という疑問や、燻製をどうするのか?という疑問まみれの中手探りで作っていたためどうなることかと思いましたが、完成してみると案外しっかりとした物が作成出来ましたね

正直なところもののけ姫の干し肉のような木の皮みてーにカッチカチな感じではなく、内部は普通に超絶パッサパサの肉って感じなのでこれで本当に長期保存できるのか?というのは微妙なところですが、まあ確かに質感的には常温とかでも腐らなそうな感じです。少なくとも普通に茹でたり焼いたりした肉とは比べ物にならないほど塩分濃度も高く乾燥しているので
ただ、やはり制作過程でも気になっていた塩分濃度が仇となり……単刀直入に言えば味がめちゃくちゃに濃い
2~3枚食べただけで、サラミを丸ごと1本水なしで食べているかのような感覚に陥ります
オマケに口の中の水分もかなり持ってかれるし、繊維感も強いので顎もなかなか疲れる
塩抜きをもう少ししっかりすべきでしたね。茹でる時は調味液は加えなくてよかったかもしれないです
水分が抜けることも考慮して茹で上がった際の肉を味見して、ちょい薄いくらいかな?程度になるまで確認しながら塩抜きをした方がいいと思います
幸いある程度のクオリティは保っており食べられないなんてことは無いですが、今回作ったぶんを一気に食べるのは結構きつい。
なんの苦もなく美味しく食べられるのは飲み物片手で数枚くらいが限度です
肝心の燻製の工程の効果に関しましては、やらないよりはやる方が絶対にいいですね
燻製する前とする後では肉の表面や内部の硬度が明らかに変わっていますし、また燻製することにより色味が明らかに変わるため精神衛生的にも安心感が増します
……というか燻製したらちょっとだけ焦げ目なんかも着いたりしてたし。煙+熱のダブル殺菌ですわ
味の比較では、鶏肉と豚肉だと今回は豚肉の方が美味しいかなと思いました
繊維感があるのは鶏胸肉も豚もも肉も同じなのですが、豚もも肉は繊維がしっかりとしていてビーフジャーキーのように裂け、また干し肉であるということもありもも肉が持つ硬さも気にならなくなっているのに対し、鶏胸肉は繊維がそこまで強くなく、直ぐに口内でほぐれ特有のパサパサ感が非常に目立ちます
また味の面でも、鶏肉より豚肉の方が旨味が凝縮されているような感じがしました
あと色身。鶏胸肉は白い色合いが残っているのに対し、豚もも肉はまさに干し肉!みたいな面白い色味になっていてなかなか男心を擽られます
グラム面での価格の差は40円ほどとそこそこありますが、作るのであれば豚もも肉の方がおすすめです
ただ、鶏胸肉の干し肉が美味しくないという訳では無いのでそこはあしからず。あくまでも豚もも肉に比べると劣る、というだけですからね
あとがき。市販のビーフジャーキーは美味いし干し肉の感覚を確認できるからみんな一回食え。今後は干し肉じゃなくてスモークチキンなんかも作っていくつもり
実は今回燻製仕立て、つまりは出来たてのものも我慢できずに少し食べてみたのですが、それは食べている途中に少しの苦味。そして食べ終えたあとにタバコのような風味が口の中に残りました
なんと言うのでしょう。タバコの煙を吸った時に喉に残るような、そんな嫌な香りが口の中に少しへばりつく感じ
実際のところは燻製した後にもっと干しておくらしいので、恐らくは干すことによりこの口内に残る香りは幾分か抜けるでしょう
まあ一丁前に燻製とはいえ要はただの煙ですし、この辺は特に不思議でもないですね
(そう考えるとタバコも喉と肺の燻製、という見方も出来ますね……なんか普段より割増で怖いですね)
あとやっぱり味が濃すぎました
例えるならおやつカルパスの味の濃い版みたいな。相当濃いのがイメージできると思います
美味しいんですけど、さすがに濃すぎた。塩抜きはもう少しちゃんとしておくべきでしたね
もしくは醤油がいらなかったか。醤油を入れたせいでこんなに味が濃くなった気がしなくもないです
醤油を使うのなら塩はいらないですね。あとハーブとペッパーの洋風風味か醤油やニンニクの和風風味か予め方向性を決めておいた方がいいかと思います。今回は適当にしたせいでハーブの風味が完全に消えてましたから
まあ燻製の風味は独特ですし調理過程も楽しいので一回くらいはやってみてもいいんじゃないかな?とは思いますけどね
今後は適当なブロック肉を燻製して冷蔵庫にぶち込んで、切り落としてその都度食べるブロックハム的な運用にしたいと思います。今回みたいにいちいち干し肉にしたら手間がかかって仕方ないので
市販のビーフジャーキーうめぇ
あ、干し肉がどのくらいの乾燥具合や硬さなのかを確認しておくために市販のビーフジャーキーを一度は食べておくのがオススメですよ
それではここまでお読み下さり、誠にありがとうございました
なんかこいつわけわかんねーけど興味湧いたな……ってお方がいらしましたら下の関連記事から他にも適当な記事選んで読んでみてくれると非常に嬉しいです
というわけで
以上です
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